報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「パールと絵恋」

2021-12-08 11:47:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月2日14:00.天候:曇 宮城県遠田郡美里町某所]

 パールと斉藤絵恋は、遅れて愛原公一の家に向かっていた。

 絵恋:「何だってこんな時に、パンクなんてするのよ!?」
 パール:「申し訳ございません。あとであのバカ、シメておきますので……」
 絵恋:「ガタケの奥まで片道ドライブ、よろしく頼むわよ!」
 パール:「かしこまりました。(仙台)新港高松ふ頭に沈めてもよろしいでしょう?」
 絵恋:「それでもいいわ!」

 パールと絵恋の乗ったバイクがパンクしてしまい、その修理に追われてしまっていた。
 幸いパンクした箇所はバイクショップの近くだったので、何とかそこまで押して歩き、ショップでパンクの修理を急いで行った結果、1時間以上もロスしてしまった。

 絵恋:「もうすぐ愛原先生の伯父様の家だわ。そこの角を曲がって」
 パール:「かしこまりました」

 絵恋がスマホの地図アプリを見ながら言った。
 ところが、角を曲がった途端、パールは急停車。

 絵恋:「きゃっ!?な、なに!?」

 サイドカーに乗っていた絵恋は、衝撃でスマホを足元に落としてしまった。

 パール:「申し訳ありません、御嬢様。前方を」
 絵恋:「えっ!?」

 前方は規制線が張られ、その前にはパトカーが停車し、警察官が立って道を塞いでいた。

  警察官:「この先は事件があった関係で、立入禁止です。何か御用ですか?」

 パールと大して歳の変わらぬ20代の制服警官がやってきた。

 絵恋:「事件って?」
 パール:「おおかた、殺人事件でしょう。たかが暴走族の取り締まりで、こんな大掛かりにはやりませんわ」
 警察官:「そ、その通りです」
 絵恋:「私達、愛原先生の後を追ってここまで来たんです。愛原先生に何かあったんですか?」
 警察官:「愛原先生というと、愛原公一名誉教授ですか。その方は今……」
 パール:「もっと厳密に言うと、愛原公一名誉教授を追って行かれた、探偵の愛原学先生と一緒に行動している助手の高橋とリサ様を追って、私達はここまで来たのです」
 警察官:「失礼ですが、そういった方々とは、どういった御関係で?」
 パール:「助手の高橋は、私の彼氏です(一応)。そして、リサ様はこちらの御嬢様の親友です」
 警察官:「はあ……そうなんですか。とにかく、この先は立入禁止で……」

 と、その時だった。
 規制線の向こうで爆弾が爆発する音がしたかと思うと、銃声が聞こえて来た。
 更には、軍用のヘリが離陸して、絵恋達の上空を旋回する。

 パール:「あれはBSAA!御嬢様、どうやら事態は深刻のようです」
 絵恋:「な、何が起きてるの!?」
 警察官:「……了解!」

 警察官は手持ちの無線機で、どこかと交信していた。

 警察官:「申し訳ありませんが、規制線を拡大します。ここから離れてください」
 絵恋:「ちょっと!リサさんはどうしたの!?」
 パール:「事態は深刻のようです。ここから離れましょう!」

 パールはバイクのアクセルを吹かすと、来た道を引き返した。

 絵恋:「リサさぁぁぁん!」

 だが、その上空にいるヘリコプターからこの2人を眺める者がいた。

 リサ:「あそこ!サイトーとメイドさんがいる!」

 リサは第1形態の姿のまま、ヘリの下を指さした。

 高橋:「はあ!?あのストーカー女、ここまで追って来やがったのか!?」
 リサ:「サイトーもストーカー……」
 愛原:「静かにしろ!怪我人がいるんだぞ!」
 高橋:「さ、サーセン!」

 愛原の前に、公一がストレッチャーに横たわっていた。

 BSAA隊員:「石巻赤十字病院に搬送します!」
 愛原:「分かりました!」
 リサ:「車、どうするの?」
 愛原:「後で取りに行くさ。というか、多分、あの戦いで無くなったかもしれん」
 高橋:「弁償が大変ですね」
 愛原:「善場主任が何とかしてくれるさ」
 高橋:「それもそうですね」

 その時、愛原のスマホに着信があった。
 相手は、善場からであった。

 善場:「もしもし。報告をお願いします」
 愛原:「地下は大変な騒ぎでしたよ。結局伯父さんが、飲まず食わずで避難してただけなんですけどね」
 善場:「そうですか……。詳しい話は、現地で伺います」
 愛原:「現地で?」
 善場:「愛原公一名誉教授は、石巻赤十字病院に搬送されるとのことで、我々もそこへ向かっております」
 愛原:「あ、そうなんですか……」

[同日15:00.天候:晴 宮城県石巻市蛇田西道下 石巻赤十字病院]

 この病院にはヘリポートがあるので、そこにヘリコプターを着陸させ、公一はそこから搬入された。
 愛原達も一応、バイオハザードが発生していた中を駆け回っていたので、その検査を受けることになる。
 リサが一番頑張ったもので、地下に潜んでいたネズミやゴキブリがウィルスに感染し、それがクリーチャー化したものを退治した。
 リサについている返り血は、この時に付いたものである。

 愛原:「伯父さんは1週間飲まず食わずだったから、それで衰弱していたらしいな」

 地下には水や食料の備蓄はあったのだが、クリーチャー化したネズミ達に阻まれ、または食い尽くされていた為、取りに行くことができないでいた。
 水は幸い潜んでいた個室に、備え付けのトイレと洗面所があったので、それで事足りたが……。
 愛原達が救助に来る直前、その水が止まったので、気が気でなかったらしい。
 これはリサが1階のトイレを使う際に、水を1階に引くようにバルブを回したことで、地下1階に水が供給されなくなったかららしい。

 高橋:「すると、感染の疑いは無いわけですか?」
 愛原:「伯父さんも、色々と抗体を持ってるだろうからね」
 高橋:「なるほど……」

 しばらくして、善場が病院に駆け付けた。

 善場:「お疲れさまです。愛原所長」
 愛原:「善場主任。到着、早いですね」
 善場:「現場に駆けつけるBSAAのヘリに便乗させてもらいましたので」
 高橋:「凄いコネだ」
 善場:「それより、現場からは遺骨は発見されなかったようですね」
 愛原:「そうなんです。既にヴェルトロに持って行かれたか……」
 善場:「そのヴェルトロのことで、話があります。取りあえず、ホテルへ移動しましょう」
 愛原:「ホテル?」
 善場:「市内にホテルを取りました。皆さん、そこで一泊して頂きます」
 愛原:「ええっ!?というと……」
 善場:「愛原所長の任務は、まだ終わっていないということですよ」

 善場主任、今度は私に何をさせるつもりなのだろうか。

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