[5月5日18:00.天候:晴 アルカディアシティ6番街カブキンシタウン 宿屋三星亭(Three Stars Inn)]
1階の食堂兼酒場に集まったイリーナ組。
そこで夕食を注文する。
イリーナ:「今日は長旅で疲れたからね。今日の所はゆっくり休んで、クエストは明日からにするよ」
マリア:「了解です。(師匠が飲みたいだけだろうな、きっと)」
稲生:「はい。(マリア、心の中でツッコミを入れてるな……)」
そこへ宿屋に住み込みで働いている魔道士見習いのジーナが料理を運んで来た。
ジーナ:「お待たせしました。ビール中生1つと赤ワインのボトルが1つです」
イリーナ:「おー、来た来た。はいはい、マリア。飲んで飲んでー」
マリア:「頂きます」
素直にイリーナからボトルを受け取るマリア。
ジーナ:「テンダーロインステーキ300gのお客様?」
稲生:「はーい」
ジーナ:「鉄板お熱いのでお気をつけください」
人間界のファミレスでも鉄板のセリフを言われる。
稲生:「良かった。日本のステーキみたいになってる」
魔王城のレストランは、どうもアメリカ人のルーシーに合わせているらしく、赤身の多いものが使われているようだ。
他の客が注文していたステーキを見ると、どうも硬そうだったので、そこでステーキを頼むのはやめた。
対してこっちは日本人が経営していることもあってか、ステーキ肉もサシの入っているものが使われている。
ジーナ:「ソールズベリーステーキ250gのお客様?」
マリア:「ああ、私だ」
ハンバーグステーキの正式名称は、ソールズベリーステーキもしくはハンバーガーステーキという。
ジーナ:「チョコボチキンフィレステーキ2枚です」
イリーナ:「Спасибо.ここに置いてくれる?」
ジーナ:「はい」
稲生:(『ありがとう』と先生は言ったのか)
ロシア語は未だに分からない稲生だが、さすがにこれだけ一緒にいると、何となく頭には残る。
イリーナ:「じゃあ、食べましょう」
稲生:「いただきまーす」
稲生はステーキ肉を頬張った。
稲生:「ん!確かに美味い。しかもちゃんとレアで焼けている」
マリア:「ソールズベリーもちゃんと中まで火が通っていて、肉汁も適度に残っているね」
イリーナ:「これならワインが進みそうねぇ」
マリア:「師匠、飲み過ぎて明日、採点ができないなんて困りますよ」
イリーナ:「分かってるわよ」
稲生:「でも、先生。1つ教えてもらえませんか?」
イリーナ:「なぁに?」
稲生:「この町をクエストの場所に選んだのは、どういった理由ですか?」
イリーナ:「周りの席を見て御覧なさい。この町にも冒険者達の姿を多く見かけるでしょう?」
マリア:「大抵どの酒場にもいますよ」
中にはビキニアーマーの女戦士もいた。
仲間達と豪快に酒を酌み交わしている。
どうやら傭兵か何かで、一仕事終えて報酬が入ったのだろう。
ああいうのを見ると、稲生は一時共に旅をした女戦士サーシャのことを思い出すのだ。
イリーナ:「この町にはジムがあってね。そのオーナーが、エリックっていう重戦士だった男なのよ」
稲生:「エリックですか!エリックはサーシャの旦那さんですよ?ということは、サーシャもそこに?」
イリーナ:「ジムの会員達も冒険者が多いだろうから、そこで適当な仕事の依頼があるかもねって話よ」
稲生:「じゃあ、食べ終わったら訪ねてみましょう」
イリーナ:「明日にして、今日は夜の町を楽しんでみたら?」
稲生:「でも……」
マリア:「酒が入っちゃったし、夜遅くまでジムが開いてるとは思えないから、そこは師匠の言う通りかもしれない」
稲生:「なるほど……」
因みにここでは、JKの姿をしているマリアも怪しまれずに酒を飲める。
一体、王国の法律では何歳から酒が飲めるのか未だに分からない。
[同日19:00.天候:晴 三星亭→ジム“エリックス”]
夕食を食べ終えた稲生とマリアは、夜の町を歩いてみることにした。
尚、イリーナは先に部屋に引き上げている。
明日に行こうとは思ったが、場所だけでも確認しようと、ジムへ行ってみることにした。
場所はジーナが知っているので、彼女に場所を教わって、それから向かった。
稲生:「本当に賑やかな街だね」
マリア:「とても、隣国が攻めてくるかもしれないって感じには見えないな」
それでも時折、警備兵の姿を見ると、一応は警戒しているのだということは分かる。
魔王軍の一部であろうが、入隊資格は人魔不問である。
しかし、今すれ違った警備兵2人は銃を持っていたが、どちらも人間のようだった。
剣と魔法のファンタジーなのだが、スチームパンクの世界を越えて、既に現代に近づきつつある。
銃は1人はショットガン、もう1人はマシンガンを持っていた。
一方でビキニアーマーの女傭兵もいたりするのだから、無節操な世界だ。
もっとも、凶悪なモンスターも未だに存在しているというこの町。
それに対抗するには、銃くらい必要なのだろう。
そもそも、日本だって銃そのものは戦国時代から存在していたわけだし(火縄銃)。
稲生:「あった。ここだ」
マリア:「あれ?まだ営業してる?」
ジムの入口のドアは開けられ、看板や中は明かりが灯っていた。
何より、会員達が汗を流している様子が見て取れる。
稲生:「こんばんはー」
トレーナー:「いらっしゃい。入会ですか?」
稲生:「いえ。こちらのオーナーさんに会いたくて伺ったんですけど……」
トレーナー:「会長に?どんな用件ですか?」
稲生:「ここの会長さん、エリックって名前でしょう?僕、知り合いなんです。特に、エリックの奥さんのサーシャには」
トレーナー:「奥さんとも。お名前は?」
稲生:「魔道士の稲生勇太って言います。こっちはマリアンナ・スカーレット」
トレーナー:「ちょっと待っててくださいね。今呼んで来ますから」
稲生:「すいません」
トレーナーが奥へ行く。
マリア:「屈強な男に交じって、女もいる」
どちらかというと、女性会員の方は剣の素振りをしていた。
恐らく、こちらはサーシャに教わっているのではないだろうか。
サーシャは剣の腕前が凄いので。
それに対し、エリックは重戦士なので、剣よりもゴツいバトルアックスとかを持っていた。
稲生:「まさかここでジムをやっているとはな」
マリア:「でも、クエストの場所にはならなさそうだね」
少しして、トレーナーが戻って来た。
トレーナー:「お待たせしました。会長と奥様がお会いされるそうなので、どうぞ奥の部屋へ」
稲生:「ありがとうございます」
会員:「会長達、魔法使いさんと知り合いなんですかい?」
トレーナーもそうだが、プロレスラーみたいな体躯の会員が話し掛けて来た。
トレーナー:「お2人とも、昔は冒険者だったからね。そりゃ、魔法使いさんと知り合いにもなるさ。あんたはあと10セットね」
会員:「へいへい」
稲生達はトレーナーの案内でジムの奥へ向かった。
1階の食堂兼酒場に集まったイリーナ組。
そこで夕食を注文する。
イリーナ:「今日は長旅で疲れたからね。今日の所はゆっくり休んで、クエストは明日からにするよ」
マリア:「了解です。(師匠が飲みたいだけだろうな、きっと)」
稲生:「はい。(マリア、心の中でツッコミを入れてるな……)」
そこへ宿屋に住み込みで働いている魔道士見習いのジーナが料理を運んで来た。
ジーナ:「お待たせしました。ビール中生1つと赤ワインのボトルが1つです」
イリーナ:「おー、来た来た。はいはい、マリア。飲んで飲んでー」
マリア:「頂きます」
素直にイリーナからボトルを受け取るマリア。
ジーナ:「テンダーロインステーキ300gのお客様?」
稲生:「はーい」
ジーナ:「鉄板お熱いのでお気をつけください」
人間界のファミレスでも鉄板のセリフを言われる。
稲生:「良かった。日本のステーキみたいになってる」
魔王城のレストランは、どうもアメリカ人のルーシーに合わせているらしく、赤身の多いものが使われているようだ。
他の客が注文していたステーキを見ると、どうも硬そうだったので、そこでステーキを頼むのはやめた。
対してこっちは日本人が経営していることもあってか、ステーキ肉もサシの入っているものが使われている。
ジーナ:「ソールズベリーステーキ250gのお客様?」
マリア:「ああ、私だ」
ハンバーグステーキの正式名称は、ソールズベリーステーキもしくはハンバーガーステーキという。
ジーナ:「
イリーナ:「Спасибо.ここに置いてくれる?」
ジーナ:「はい」
稲生:(『ありがとう』と先生は言ったのか)
ロシア語は未だに分からない稲生だが、さすがにこれだけ一緒にいると、何となく頭には残る。
イリーナ:「じゃあ、食べましょう」
稲生:「いただきまーす」
稲生はステーキ肉を頬張った。
稲生:「ん!確かに美味い。しかもちゃんとレアで焼けている」
マリア:「ソールズベリーもちゃんと中まで火が通っていて、肉汁も適度に残っているね」
イリーナ:「これならワインが進みそうねぇ」
マリア:「師匠、飲み過ぎて明日、採点ができないなんて困りますよ」
イリーナ:「分かってるわよ」
稲生:「でも、先生。1つ教えてもらえませんか?」
イリーナ:「なぁに?」
稲生:「この町をクエストの場所に選んだのは、どういった理由ですか?」
イリーナ:「周りの席を見て御覧なさい。この町にも冒険者達の姿を多く見かけるでしょう?」
マリア:「大抵どの酒場にもいますよ」
中にはビキニアーマーの女戦士もいた。
仲間達と豪快に酒を酌み交わしている。
どうやら傭兵か何かで、一仕事終えて報酬が入ったのだろう。
ああいうのを見ると、稲生は一時共に旅をした女戦士サーシャのことを思い出すのだ。
イリーナ:「この町にはジムがあってね。そのオーナーが、エリックっていう重戦士だった男なのよ」
稲生:「エリックですか!エリックはサーシャの旦那さんですよ?ということは、サーシャもそこに?」
イリーナ:「ジムの会員達も冒険者が多いだろうから、そこで適当な仕事の依頼があるかもねって話よ」
稲生:「じゃあ、食べ終わったら訪ねてみましょう」
イリーナ:「明日にして、今日は夜の町を楽しんでみたら?」
稲生:「でも……」
マリア:「酒が入っちゃったし、夜遅くまでジムが開いてるとは思えないから、そこは師匠の言う通りかもしれない」
稲生:「なるほど……」
因みにここでは、JKの姿をしているマリアも怪しまれずに酒を飲める。
一体、王国の法律では何歳から酒が飲めるのか未だに分からない。
[同日19:00.天候:晴 三星亭→ジム“エリックス”]
夕食を食べ終えた稲生とマリアは、夜の町を歩いてみることにした。
尚、イリーナは先に部屋に引き上げている。
明日に行こうとは思ったが、場所だけでも確認しようと、ジムへ行ってみることにした。
場所はジーナが知っているので、彼女に場所を教わって、それから向かった。
稲生:「本当に賑やかな街だね」
マリア:「とても、隣国が攻めてくるかもしれないって感じには見えないな」
それでも時折、警備兵の姿を見ると、一応は警戒しているのだということは分かる。
魔王軍の一部であろうが、入隊資格は人魔不問である。
しかし、今すれ違った警備兵2人は銃を持っていたが、どちらも人間のようだった。
剣と魔法のファンタジーなのだが、スチームパンクの世界を越えて、既に現代に近づきつつある。
銃は1人はショットガン、もう1人はマシンガンを持っていた。
一方でビキニアーマーの女傭兵もいたりするのだから、無節操な世界だ。
もっとも、凶悪なモンスターも未だに存在しているというこの町。
それに対抗するには、銃くらい必要なのだろう。
そもそも、日本だって銃そのものは戦国時代から存在していたわけだし(火縄銃)。
稲生:「あった。ここだ」
マリア:「あれ?まだ営業してる?」
ジムの入口のドアは開けられ、看板や中は明かりが灯っていた。
何より、会員達が汗を流している様子が見て取れる。
稲生:「こんばんはー」
トレーナー:「いらっしゃい。入会ですか?」
稲生:「いえ。こちらのオーナーさんに会いたくて伺ったんですけど……」
トレーナー:「会長に?どんな用件ですか?」
稲生:「ここの会長さん、エリックって名前でしょう?僕、知り合いなんです。特に、エリックの奥さんのサーシャには」
トレーナー:「奥さんとも。お名前は?」
稲生:「魔道士の稲生勇太って言います。こっちはマリアンナ・スカーレット」
トレーナー:「ちょっと待っててくださいね。今呼んで来ますから」
稲生:「すいません」
トレーナーが奥へ行く。
マリア:「屈強な男に交じって、女もいる」
どちらかというと、女性会員の方は剣の素振りをしていた。
恐らく、こちらはサーシャに教わっているのではないだろうか。
サーシャは剣の腕前が凄いので。
それに対し、エリックは重戦士なので、剣よりもゴツいバトルアックスとかを持っていた。
稲生:「まさかここでジムをやっているとはな」
マリア:「でも、クエストの場所にはならなさそうだね」
少しして、トレーナーが戻って来た。
トレーナー:「お待たせしました。会長と奥様がお会いされるそうなので、どうぞ奥の部屋へ」
稲生:「ありがとうございます」
会員:「会長達、魔法使いさんと知り合いなんですかい?」
トレーナーもそうだが、プロレスラーみたいな体躯の会員が話し掛けて来た。
トレーナー:「お2人とも、昔は冒険者だったからね。そりゃ、魔法使いさんと知り合いにもなるさ。あんたはあと10セットね」
会員:「へいへい」
稲生達はトレーナーの案内でジムの奥へ向かった。
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