報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「1月19日」

2023-10-09 20:25:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月19日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 私は事務所の応接コーナーで、新しいクライアントと仕事の依頼についての話をしていた。

 愛原「……分かりました。お引き受けしましょう」
 クライアント「ありがとうございます!どこの探偵事務所も引き受けてくれなくて、困ってたところです!」
 愛原「それで報酬の件ですが……」

 大手の探偵事務所から、そこでは扱い切れない小さな仕事を回してもらうことも可能だが、私はあえてそういう仕事は受けていなかった。
 デイライトからの専属契約だけで相当の報酬が得られているし、小さな仕事なら、たまに直接こうやってクライアントから引き受ける方がよっぽどやり甲斐があるからである。
 この辺、警備業にも似ている部分はある。

 愛原「……かしこまりました。それでは、こちらの契約書にサインを……」

 小さな仕事とは言っても、探偵事務所がよく引き受ける浮気調査とか信用調査とかではない。
 私が霧生市のバイオハザード事件から生還した唯一の探偵とか、特殊なPRをしたものだから、他の探偵事務所では断られるような奇怪な仕事を依頼されることが多かった。
 事故物件の依頼とかもそうである。
 そんな不動産会社の中には、私達に事故物件に1ヶ月ほど住んでもらうだけでいいという、バイトでも雇えば済む話だろう的な仕事を持って来る所もあった。
 何でも、その事故物件は本当に出るらしく、バイトを雇っても、2~3日で逃げ出してしまうのだとか。
 とはいうものの、こちらもオカルト探偵ではないので、そういう仕事は責任が持てないのでこちらも引き受けられない。
 今回の仕事も、また事故物件の調査依頼であった。
 何でも、前の住人が首吊り自殺をしたので事故物件となってしまい、確かに警察は自殺として片付けたそうなのだが、クライアントたる大家は、どうしても他殺ではないかと疑っているようである。
 他殺ならその証拠を掴み、警察に再捜査を依頼するとのこと。
 しかしその間、部屋に借り手が付かなくなる恐れがあると私は言ったのだが、それも覚悟のことだという。
 他殺であるのなら、当然犯人がいるわけで、その犯人に事故物件にさせられた部屋の損害賠償を請求するからとのことである。
 こういう場合、大抵は犯人側に支払い能力は無く、またその家族や親族も支払いを拒否したり、法的に縁切りをしたりして、支払い義務を逃れることが多い。
 また、そこまではしなくても、実は損害賠償請求を踏み倒しても罰則は無いので、いつまでも犯人側がそうすることも多々ある。
 そこまで私は言ったが、それでも大家さんは言うべきことや、やるべきことを全てやれればそれで良いとのこと。
 実際は裁判所が差し押さえに行ったりすることはでき、その模様は『明るい闇金融』とも言えるほどエグいものなので、犯人側に相当な圧を掛けることはできる。
 その圧に耐え切れなくて、犯人本人は強メンタルで跳ね除けたとしても、家族や親族にそこまでの者がいない場合、それが自殺に追い込まれるほどであるという。

 クライアント「それでは、よろしくお願いします」
 愛原「お任せください」

 クライアントが帰って行く。

 高橋「また、事故物件っスか。最近、多いっスね」
 愛原「そういう仕事を悉く解決していったもんだから、不動産業界でうちの事務所の名が知れ渡ってるらしいぞ」
 高橋「実際、幽霊なんていないんスけどね」
 愛原「それはどうかな」
 高橋「ええっ?」
 愛原「特異菌感染による幻覚としての幽霊はいるかもしれんぞ」
 高橋「ああ、そういうことっスか」
 愛原「それに、こっちには幽霊より怖い鬼型のBOWがいる。取り殺されるか、食い殺されるかの違いだぞ」
 高橋「カンベンして欲しいっス」
 愛原「幸い、依頼先のアパートは隣の江戸川区だ。明日にでも着手できるだろう」
 高橋「江戸川競艇の近くっスね。行くだけなら楽勝っス」
 愛原「ギャンブル絡みには強いな」
 高橋「あざっス!」

[同日15時30分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 事務所入口のインターホンが鳴らされる。

 パール「はい。愛原学探偵事務所でございます」
 リサ「ただいまです」
 パール「あら、リサさん」
 愛原「ん、リサだって?今日はもうクライアントの来訪予定は無いな。いいよ。事務所に来てもらって」
 パール「かしこまりました。……事務所に来ていいって」
 リサ「はーい」

 リサはエレベーターで来るかと思いきや、階段を上がってやってきた。

 リサ「ただいまぁ」
 愛原「ああ、お帰り。今日は早かったな?」
 リサ「今日は1時間早く終わったの。で、今日は別に呼び出しとか無かったし」
 愛原「なるほど」
 リサ「ねぇ、先生。今、仕事ヒマ?」
 愛原「ええ?」
 高橋「おう、コラ!失礼なこと言うんじゃねぇ!」
 愛原「ま、まあ、お茶しばく余裕はあるけど、どうかしたのか?」
 リサ「ちょっと着替えて来るから、わたしを撮ってほしいの」
 愛原「んん?」
 高橋「先生の貴重なヒマな時間を無駄に取らせるとは、いい度胸だ」
 愛原「高橋、いいから」
 高橋「はあ……」

 リサはエレベーターで、自分の部屋がある4階に上がって行った。
 そしてしばらくすると、また下りて来る。

 リサ「お待たせ」

 案の定、リサは体操服にブルマ姿であった。
 ブルマは学校用の緑ではなく、オーバーパンツや部屋着としての紺色のブルマである。
 但し、学販用としての物ではある。

 愛原「その姿のを撮るのか?」
 リサ「うん。わたしはモデル」
 愛原「んん?」

 因みにリサは体操服の裾をブルマの中に入れていた。
 おかげで、ブルマのタグまで見える。
 まずは真正面。
 それから、右斜め前。
 それと、後ろ姿という感じだった。

 高橋「これで囚人番号札持たせたら、ムショの写真撮影だな」
 愛原「これだけでいいのか?」
 リサ「ちょっと待って」

 リサは事務所内のトイレに行った。
 どうやら、また着替えに行ったようだ。
 今度はエンジ色のブルマであった。
 ご丁寧に体操服も、丸首や袖口が紺色だったものを、ブルマの色に合わせてそれがエンジ色になった物に着替えている。
 ポーズは同じだった。

 リサ「ありがとう!」

 因みに撮影はリサのスマホで行った。

 リサ「先生にも後で写真送るね!」
 愛原「あ、ああ。でも、どうして今更この姿の写真なんて撮るんだ?」
 リサ「今日、レイチェルの家にレイチェルのブルマが届くことになってるの」
 愛原「ああ、何かそんなこと言ってたな」
 リサ「でね、早速レイチェルがそれを穿いてみて、写真を送ってくれることになってるの」
 愛原「ふんふん」
 リサ「わたしが他の色のブルマも持ってるって言ったら、その写真を見たいってレイチェルが言うから」
 愛原「それで今、撮影させたのか」
 リサ「そういうこと。これはLINEで送っとく」
 愛原「ふーん……」
 リサ「後でレイチェルも送ってくれるはずだから、後で先生にも見せてあげるね」
 愛原「あ、ああ。ありがとう」

 リサは再び自分の部屋に戻って行った。
 何気にリサ、シレッとBSAAの養成隊員を『魔王軍』に引き込もうとしてないか?
 それとも、レイチェルが調査の為に自主的にそうしているだけなのだろうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「リサ... | トップ | “愛原リサの日常” 「1月2... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事