報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「Stay hotel」 3

2020-06-14 21:03:22 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月10日09:00.岩手県盛岡市 ホテルドーミーイン盛岡 視点:稲生勇太]

 1階の朝食会場『Hatago』で朝食を済ませる。
 外は雨で、天気予報では今日一日中降り続けるらしい。

 稲生:「今日はホテルに缶詰めになりそうだなぁ……」
 マリア:「映画でも観ようか?」
 稲生:「そうだねぇ……」

 因みに朝食会場にマルファはいなかった。
 試しにフロントで聞いてみると、朝早くにチェックアウトしたという。
 始発の新幹線に乗ったのだろうか。

 マリア:「この『Hatago』ってどういう意味?ていうか、日本語?」
 稲生:「日本語だね。多分、『旅籠』のことだと思う。INNを日本語訳にすると『宿屋』なんだけど、それのもっと古い言い回し。多分、威吹辺りはそっちの方をよく使うと思う。……というか、使ってた」
 マリア:「そうなんだ」

 エレベーターに乗り込む2人。
 客室フロアに向かう。

 マリア:「ねぇ、この服臭う?」
 稲生:「えっ?うーん……少しマリアの匂いがする」
 マリア:「そうか……やっぱりなぁ……」
 稲生:「どうしたの?」
 マリア:「いや、昨日深酒した上に変な夢を見たせいで、変な汗かいたんだ。その臭いが染み付いたかもしれないと思って。一応、シャワーは浴びたんだけどね」
 稲生:「僕はマリアの匂い好きだから、そのままでいいけどね」
 マリア:「そう。分かった。じゃ、このまま着ておくね」
 稲生:「うん」

 エレベーターが稲生達の客室フロアに到着する。

 稲生:「その前に洗濯してこよう。僕の服も相当ヤバいから」
 マリア:「私も替えの下着がそろそろアレなんだ。私も洗濯しよう。上にあるの?」
 稲生:「そう。昨夜入った大浴場の隣」
 マリア:「分かった」

 2人は部屋に戻って洗濯物を持ってくると、再びエレベーターに乗り込んだ。

 マリア:「師匠はまだ寝てた」
 稲生:「一番体力やMPを消耗されただろうから、そっとしておいてあげよう。どうせ今日、何もやることないし。……って」
 マリア:「なに?」

 最上階でエレベーターを降りると、稲生はマリアの方を向いた。

 稲生:「明日の新幹線のキップ、買って来ないと。先生のカードを借りないとなぁ……」
 マリア:「後で師匠を起こしてカードを借りよう。ていうか、私はこの恰好じゃ外に出られないな……」
 稲生:「僕が行って来るよ。洗濯して乾燥機に掛けて乾かせば、昼くらいには行けるかもね。で、ついでにお昼買って戻ればいいんだ」
 マリア:「それはいいアイディアだ」

 コインランドリールームに入る。
 洗剤もここで買える。
 稲生はオープンシャツやズボンも入っているが、マリアは下着類が殆ど。
 一応、洗濯機は分けて使う。

 稲生:「黒い下着が多いね」
 マリア:「……勇太もじゃない」
 稲生:「魔道士だからかな」
 マリア:「知らないよ」
 稲生:「てか、マリアは?スポーティーな下着が多いね?」
 マリア:「魔界に行く時は大抵これなの。ほら、魔界は敵とエンカウントしやすいし、特に今回はそれありきのクエストだったし。動きやすいし、汚れても洗濯しやすいから」
 稲生:「あー、なるほど」

 普段は4/3カップのブラを着けるマリアも、今回はスポブラが多い。
 ショーツもビキニタイプであるものの、材質がナイロン製のスポーツタイプであった。

 稲生:(そういえば中高の時、女子は体育がある日はブラを変えていたって聞いたことあるな……)

 マリアから理由を聞いて、今やっとその謎が解けた稲生。
 洗濯機を回し、所要時間を確認する。

 稲生:「これでよし。もう暫くしたら、また来よう」
 マリア:「時間が中途半端だね。部屋に戻って映画を観ているヒマが無い」
 稲生:「確かに……。あ、そうだ。だったら……」

 稲生は湯上り処に移動した。
 大浴場や脱衣所はもう清掃の時間に入っている為、入ることができない。
 ここの湯上り処は漫画コーナーにもなっていて、ここで漫画を読み漁ることができるのである。

 稲生:「ここで、漫画ターイム!」
 マリア:「マジか。まあ、いいけど」
 稲生:「ここからすぐにコインランドリーに行けるしね」
 マリア:「師匠はいつ起こす?」
 稲生:「洗濯が終わってからでいいかな。ぶっちやけ、乾燥まで終わらないと、僕も服を着れない」
 マリア:「それもそうか」

 2人は漫画を物色して、それから椅子に座って読み漁った。

[同日11:00.同ホテル内 視点:稲生勇太]

 乾燥も終わり、洗濯は終わった。
 因みにマリア、イジメを題材にした漫画を読んでいては、久しぶりに『魔女の顔つき』になっていた。
 イジメの加害者は魔法で全員地獄界送りにするくらいの勢いだ。

 稲生:「さて、僕は着替えて駅まで行こうかなっと。マリア、お昼は何がいい?」
 マリア:「スパゲティかな」
 稲生:「分かった」

 途中のコンビニなら、それくらい売っているだろう。
 稲生は部屋に戻ると、早速洗濯した私服に着替えた。

 マリア:「はい、これ」

 部屋の外で稲生はイリーナのプラチナカードを入手した。

 稲生:「先生は?」
 マリア:「まだ寝てた。それでも何とか起こして、カードだけ借りれた」
 稲生:「ありがとうございます。それじゃ、行って来ます」

 稲生はエレベーターに乗り込んだ。
 そして、1階に向かった。

 稲生:「あっ、しまった。外、雨だったんだ。傘持っていない」

 防水性に優れた魔道士のローブも、今はクリーニング中だ。

 稲生:「あの、すいません。ちょっと駅まで行きたいんですけど、傘借りることはできますか?」
 フロントマン:「あ、はい。大丈夫ですよ」

 稲生はビニール傘を借りることができた。

 稲生:「タクシー!」

 そして雨の降りしきる公道に出ると、空車のタクシーを捕まえた。

 稲生:「盛岡駅までお願いします」
 運転手:「盛岡駅ですね」

 タクシーが駅に向かって走る。

 稲生:(えーと……先生がグリーン車で、僕達が普通車だな。コロナ禍とはいえ、そろそろ乗客数も回復してきているっていうから、席が空いてるといいんだけど……)

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