報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「JR東海からJR東日本へ」

2023-08-25 16:34:01 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月9日11時57分 天候:曇 静岡県熱海市田原本町 JR東海道本線428M列車先頭車内→熱海駅]

 

 私達を乗せた電車は、熱海までずっと賑わっているわけではなかった。
 新幹線の止まらない沼津はもちろん、三島でも下車客は多かった。
 その為、熱海駅に着く頃には空席が目立つほどとなっていた。
 観光客の多くは、やはり新幹線を利用するらしい。
 あと、新幹線乗り換え客は、“こだま”しか止まらない熱海駅よりも、“ひかり”の止まる三島駅で乗り換えるようだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点の熱海、熱海に到着致します。お出口は、右側です。熱海から新幹線ご利用のお客様、お急ぎになりますと、12時2分発、“こだま”712号、東京行きは7番線から発車致します。この後の“こだま”714号、東京行きは同じく7番線から12時35分の発車です。伊東線と東海道線は、お乗り換えです。お降りの際、お忘れ物の無いよう、お支度ください。ご乗車ありがとうございました」〕

 遠巻きに東京方面へは新幹線の乗り換えを勧める車掌。
 同じJR東海だから当然と言えば当然か。
 電車は熱海駅3番線ホームに入線した。
 在来線としてはJR東海と東日本の境界駅だが、伊東線ホーム以外は共同使用となっているようだ。
 その為、15両編成の電車が止まれる長さのホームに、たったの3両編成の電車が入って来るのはミスマッチである。

 

〔ご乗車、ありがとうございました。あたみ、熱海です。車内にお忘れ物、落とし物無いよう、ご注意ください。東海道線上り、湯河原、小田原、横浜方面ご利用のお客様は、階段を下りまして、4番線へお乗り換えください。伊東線、来宮、網代、伊東方面ご利用のお客様は、階段を下りまして、1番線にお乗り換えください。到着の電車は、普通電車、沼津行きです〕
 
 首都圏の滑らかな自動放送とは違い、合成音声の、ややイントネーションのズレた自動放送が出迎えた。
 ホームの駅名看板はJR東日本タイプの物で、JR東海タイプは無い。
 電車を降りた後、私達は……。

 愛原「トイレ休憩を挟もうと思うから、すぐ次の電車じゃなく、12時31分発の高崎行きにしよう」

 2階の在来線ホームから、1階のコンコースに下りた。
 すると途中に、駅弁を売る売店があった。

 リサ「駅弁……」
 愛原「お昼時だからな、後で買おう」
 リサ「おー!」

 改札口手前の通路を進んで、トイレに向かう。
 そこでトイレ休憩を挟んだ後、コンコース内の売店に向かった。

 愛原「海に近い場所のせいか、魚系が多いな。リサ、どうする?」
 リサ「“箱根山麓豚弁当カルビ&ロース”」

 それでも肉系を選ぶリサだった。
 私は魚でいいな。

 愛原「あと、グリーン券はホームで売ってる」
 高橋「ICカードに登録する方法ですよね?」
 愛原「まあな。でも、後でチャージしてやるから」
 高橋「本当ですか?ありがとうございます」
 愛原「いいよいいよ。2階席行くか?」
 高橋「俺はどっちでも……」
 
 荷物がある場合は、網棚のある平屋席の方が良い。

[同日12時25分 天候:曇 同駅→東海道線1874E列車5号車内]

〔♪♪♪♪♪。まもなく、5番線に、湯河原、小田原、東京方面、普通電車、高崎行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。足元のオレンジ色の乗車口、1号車から15号車でお待ちください。グリーン車は、4号車と5号車です〕

 折り返し運転ではなく、既に整備済みの電車がやってきた。
 当駅始発だからだろう。
 2階建てグリーン車の平屋席に入った。
 やはり、荷物は上に置きたい。
 そして、海側の席に座った。

 愛原「冬の荒れた海を見るのも、オツなものだよ」
 リサ「そういえば、ちょっと風が強いね。雪は……無いけど」
 愛原「熱海という所は、冬は比較的暖かい所だからな。だけど、海に近いんで、海風が強く吹くことがある。さっきもオマエ、スカートが風でめくれてたぞ。気をつけろ」
 リサ「ブルマ穿いてるから大丈夫だよ」
 愛原「そういう問題じゃない」

 因みにリサは、紺色のブルマを黒いスカートの下に穿いていた。

 リサ「それより食べよう」
 愛原「それはそうだな」

 座席のテーブルを出して、そこに駅弁とお茶を置いた。

 高橋「先生、『例のブツ』、網棚に置いちゃっていいんスか?」
 愛原「このタイプの棚は、さっきの211系と違って落ちにくいから大丈夫だよ。313系もだったけど」
 高橋「……そうですかね」
 愛原「さすがにロングシートの、それも旧型電車の網棚に置く気にはなれなかったから、さっきの東海道線では足元に置いといたけどね」

 床に置いて、足と足の間に挟む。
 ロングシート車に座る時の荷物の置き方。

〔この電車は、東海道本線、上野東京ライン、高崎線直通、普通電車、高崎行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕
〔「12時31分発、東海道本線、品川、東京、上野方面、高崎線に参ります、普通列車の高崎行きです。終点の高崎まで、各駅に停車致します。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

 私は駅弁を食べながら、善場主任にメールを打った。
 この電車がダイヤ通りに走れれば、新橋到着は14時14分である。
 その旨を伝えると、主任からは了解の旨の返信が来た。

 リサ「先生、この電車にも車内販売はあるよね?」
 愛原「あるよ」
 リサ「よっし!食後のデザート買お」(^^♪
 愛原「冬休み最後の旅行だ。別にいいさ」

 私達は駅便を食べながら、発車を待った。
 今のところ、平屋席の区画に、私達以外の乗客が乗って来ることはなかった。
 熱海からは新幹線の独壇場で、在来線はあまり乗客が乗らないのかもしれないし、乗るにしても特急の方に乗るのだろう。

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