報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「藤野へ向かう」

2024-04-18 15:30:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月22日? 天候:不明 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター地下秘密研究施設]

 警備員A「『2番』、入れ!」
 リサ「ちょっと、ここって……!」

 刑務所の刑務官のような、いかつい制服を着た警備員達に連れて行かれたのは、明らかに独居房と思しき場所。
 突き飛ばされるかのように、中に押し込まれる。

 リサ「ちょっと!何すんの!気を付けてよ!ぎゃっ!」」

 リサが文句を言うと、角を掴まれる。

 看守長「言葉には気をつけろ。今日から私が、キミの神様なんだからな。分かったな?」
 リサ「な……!」

 他の警備員とはもっと違う、軍服のような制服を着た看守長らしき男は冷たく言い放つと、リサをベッドの上に突き飛ばした。
 それから、他の警備員達と共に出て行く。

 リサ「何なんなだよ、ここ!」

 室内は3畳間の上に粗末なベッドがあり、汚い洗面所とトイレがあるだけ。
 しかも、そのトイレは……。

 リサ「和式!和式!」

 リサのトラウマを抉る和式トイレであり、しかも真上には監視カメラもあった。
 窓は高窓があり、そこから脱走するのは可能だった。

 リサ「こんな所に居られない!」

 リサは持ち前の身体能力で高窓にジャンプすると、そこの鉄格子を破壊して、外に脱出した。
 たちまち鳴り響くサイレン。

 警備員B「『2番』が逃げたぞーっ!」
 警備員C「BOWが脱走した!」
 警備員D「殺せ!射殺しろ!!」

 警戒棒型のスタンガンの他、ショットガンを持った警備員達が追い掛けてくる。

 看守長「やはり化け物は跡形も無く殺さなねば……」
 リサ「!!!」

 待ち伏せしていた看守長は、ロケットランチャーを持っており……。

 リサ「ちょっと!冗談でしょ!」
 看守長「大正の日輪刀は、文字通り日本刀だが、令和の日輪刀はこれだ!!」

 看守長は何の遠慮も無く、リサにロケットランチャーをブッ放した。
 ラスボスキラーたるロケットランチャーを受けたリサは……。

[同日05時12分 天候:曇 東京都八王子市三崎町 ホテル東横イン八王子駅北口・リサとレイチェルの部屋]

 リサ「わあーっ!」
 レイチェル「!?」

 リサの飛び起きに、レイチェルもバッと起きた。
 レイチェルはリサのようにホテル備え付けの寝巻を着用しておらず、軍用のブーツを履いたまま、ショットガンを持った状態で寝ていた。
 リサが飛び起きたことで、レイチェルもベッドから飛び降り、銃を構えて警戒する。

 レイチェル「何かありましたか!?」
 リサ「夢だったのか……」
 レイチェル「夢?何か怖い夢でも見ましたか?」
 リサ「いやあ……。これから行く藤野に行ったら、独房に入れられたって話」
 レイチェル「独房?プリズンですか?」
 リサ「そう。何か、ヤだなぁ……。断って帰ろうかな」
 レイチェル「残念ですが、BOWに拒否権はありません」
 リサ「だろうなぁ……」
 レイチェル「私が聞いた話では、確かに脱走防止は考えられているそうで、こういうホテルみたいな部屋ではないものの、プリズンみたいな所ではないようですよ」
 リサ「うーん……」
 レイチェル「脱走防止ということを考えると、どうしてもプリズンと似た設計になってしまうのは、しょうがないかと」
 リサ「せめて愛原先生がいればなぁ……」
 レイチェル「一応、中までは入れるらしいですけどね。私達も一緒に確認しますよ。それよりリサ、汗かいてます。シャワーを浴びた方がいいですよ」
 リサ「そうする」

 リサはベッドから出ると、バスルームに向かった。

[同日06時30分 天候:晴 同ホテル1階・朝食会場]

 愛原「なに?藤野の宿泊施設が独房みたいだった!?」

 愛原と合流して朝食会場に行く時、エレベーターの中でリサは夢の中の話をした。

 リサ「そうなの!しかもトイレが和式!和式だったの!上にはカメラまであってね!」
 愛原「そりゃ最悪だ。だけど、これから行く所の宿泊施設は、個室と水回りは別だって聞いてるぞ」
 リサ「えっ?そうなの!?」
 愛原「うん」

 エレベーターが1階に到着する。

 スタッフ「おはようございます」
 愛原「おはようございまーす」

 朝食開始時間になったばかりのせいか、まだ客は少ない。

 レイチェル「ロビーがカフェテリアに変わるわけですか」
 愛原「そういうことだよ」

 リサは早速トレイと皿を取ると、料理を盛り始めた。
 ウィンナーやミニハンバーグなど、肉類を中心に大目に。

 愛原「あまり食い過ぎるなよ?」
 リサ「分かってるよ」

 愛原は窓の外を見て言った。

 愛原「何とか雨は上がったようだ。このまま晴れてくれるといいな」
 レイチェル「雨の中だと、視界が効きにくいですからね」
 愛原「兵士目線で見ると、そうなるのか」
 リサ「ドリンクバー、ドリンクバー」

 リサが飲むのはオレンジジュースと決まっている。
 レイチェルはトマトジュースを入れた。
 愛原は水とコーヒー。
 テーブル席に向かい合って食べ始める。

 愛原「昨夜はリサの悪夢以外、何も無かったか?」
 レイチェル「今のところは。愛原センセイの所は何かありましたか?」
 愛原「やたらパトカーのサイレンが鳴り響いて、銃声まで聞こえたの、知ってるか?」
 リサ「えっ、そうなの!?」
 レイチェル「それは聞こえました。ただ、地元警察の業務に、BSAAは基本的に介入しませんので」

 協力を求めたり、求められたりすることはある。
 その時はその時である。

〔「……昨夜未明、東京都八王子市で、乱闘騒ぎが同時多発的に発生し、多数のケガ人が発生しました」〕

 愛原「あれだよ」

 愛原は朝食会場の天井から吊るされているテレビを指さした。
 今はNHKニュースをやっている。

 愛原「まあ、上野利恵一派の『半鬼』達と栗原蓮華一派の手下達がケンカでもしたんだろうなぁ……」
 リサ「メーワク!!」
 レイチェル「端末からは、特にアラームは出ませんでしたが……」
 リサ「弱い鬼達がケンカしただけのことだから、出るまでも無かったんでしょうよ。警察が対処できるくらいだもんね」
 愛原「まあ、そういうことだな。でもおかげで、こうして一夜明けることができた。夜が明けたら、もうこっちのモンだ。特に、蓮華達はもうこれで動くことはできないだろう。油断は禁物だが、しかし一安心ではある」

 愛原の言葉に、リサとレイチェルは大きく頷いた。

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