報恩坊の怪しい偽作家!

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“大魔道師の弟子” 「マリアの屋敷」 3

2017-09-05 10:33:58 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月20日10:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 稲生:「よ、よし!装備は万全だ!」

 稲生は何故か作業服に着替え、ヘルメットを被っていた。
 で、こっちにカメラ目線。

 稲生:「今日はこの屋敷のギミックやトラップを点検する日なんですよ。僕がそれをやるハメになりまして……。では、行ってきます」

 稲生はエントランスホールを出発した。

 稲生:(イリーナ先生、『人形達も一緒に行くから心配無いよ』って言ってたけど……)

 稲生は後ろをチラッと見た。
 後ろには、人形形態のミク人形とハク人形が血染めの包丁を振り回してついてきている。

 稲生:(これ絶対、僕が逃げ出さないようにする為の監視だよなぁ……)

 稲生はまず屋敷の西側を見ることにした。
 エントランスホールの1階から西側の観音扉を開けると、そこは大食堂になっている。
 普段からここで稲生達も食事をするわけだが、実はここにも仕掛けが施されている。
 普通に立っている大きなノッポの古時計。
 今は普通に振り子も動いている。
 稲生はあえてその振り子を外した。
 ボーンボーンと鐘が10回鳴る。
 外した振り子の丸い分銅を持って、大食堂の反対側に抜ける。
 薄暗い廊下があって、そこでは1人のメイド人形が掃除をしていた。
 もちろん今はメイド人形として掃除をしているのだが、これが侵入者だと分かると……。

 メイド人形A:「!!!」

 メイドの白いエプロンのポケットから、小型のハンドガンが出て来た!

 稲生:「わあっ!僕です、僕!」
 メイド人形A:「……これは失礼しました」

 メイド人形はハンドガンをポケットにしまうと、再び掃除の続きを始めた。

 稲生:「ふー……びっくりした」

 厨房の前を通ってその隣の遊戯室に入る。
 遊戯室の中にも振り子時計があった。
 しかし、こちらは分銅が付いていない。
 稲生が大食堂から持って来た分銅をつけると、またボーンボーンと鳴って、振り子が文字盤の後ろに引っ込んだ。
 それと釣瓶方式で文字盤の後ろから出て来たのは、一本の鍵。

 稲生:「これが無いと裏口から外に出れないとは……。えーと、この仕掛けの作動は異常無しと……。それじゃ、次に行こうかな……」

 2階の渉外室。
 応接間ではなく、渉外室である。

 稲生:「えーと……隣の小部屋には、これ見よがしにショットガンが掛けられていて……。本当に魔道師の屋敷なのかな?」

 稲生はショットガンを壁から取った。
 そして、隣の渉外室に戻る。
 すると、外に出るドアが開かない。
 天井がズズズと落ち込んでくる。
 このままではペッシャンコだ!

 稲生:「ミクさん!止めてください!」

 稲生が部屋の外に向かって叫ぶと、落ち込んで来た天井が止まる。
 そして、ズズズと上がって行った。

 稲生:「怖い怖い」

 魔道師との交渉に決裂した相手を、ここで天井落としで圧死させるのが目的らしい。
 幸いなのは、ただの1度も使ったことが無いということだ。

 稲生:「えー、次は3階のトラップ……」

 段々と難易度の高い場所に行く度、稲生の絶叫が邸内にこだましたことは言うまでもない。

[同日12:00.天候:晴 マリアの屋敷1F大食堂]

 イリーナ:「ランチの時間だお♪」
 マリア:「ちょっと待ってください。まだ、ユウタが戻って来ていません」
 イリーナ:「おかしいな。午前中に終わらせるように言っといたのに……」
 マリア:「この屋敷の仕掛け全部を点検するのに、午前中だけでは時間が足りません」
 イリーナ:「だ・か・らぁ〜、できる所だけでいいって言ったのに」
 マリア:「ユウタは真面目なんですから、全部をやろうとするでしょう。とにかく、もう少し待ちましょう。幸い、ミカエラの報告では、どこかのトラップに引っ掛かったという話は来ていないので」
 イリーナ:「でも、せっかくのパスタが冷めちゃうねぇ……」
 マリア:「きっと、もうすぐ戻って来ますよ」

 稲生、マリアの足元の床の切り込みをズズズとスライドをさせて、地下から出て来た。

 稲生:「うわ、ここどこだ?……あ、あれ!?」

 稲生の目に飛び込んで来たのは、足を広げて椅子に座っているマリアの【お察しください】。

 マリア:「わあーっ!?どこから出て来たんだ!?」

 マリアがびっくりしてテーブルの下を覗き込む。

 稲生:「マリアさん!?」

 稲生が慌てて頭を上げた。
 ゴンッとテーブルに頭をぶつける。
 ヘルメットを被っていなかったら、頭をケガしていたかもしれない。

[同日12:15.天候:晴 同場所]

 イリーナ:「……なるほど。荷物エレベーターの点検をしていたら、地下室まで連れて行かれたのね」
 稲生:「地上に戻る為のギミックをついでに点検していたら、ミクさんが時間だって言うので……。急いで非常階段で戻ってみたら、ここに……」
 イリーナ:「フムフム。それで、マリアのパンツの色は何色だった?」
 稲生:「はい、それはピンクの花柄……どわっ!?」
 マリア:「What?!」

 サクッとヘルメットにマリアが投げたフォークが突き刺さった。

 イリーナ:「本当に怖いのは、屋敷内のトラップよりマリアかもね」
 稲生:「気をつけまーす……」

 稲生、やっとパスタに手を付けた。
 稲生のはミートソースである。

 稲生:「先生、時間切れで全部のギミックは点検できませんでした」
 イリーナ:「いいのよ。続きは別の日にやってちょうだい」
 稲生:「午後は何をすればいいんですか?」
 イリーナ:「地下のプールは点検した?」
 稲生:「はい。今、水を入れているところです」
 イリーナ:「そう。それは良かった。午後は皆でプールで泳ぐわよ!」
 稲生:「おおっ、そういうことでしたか!」
 マリア:「確かにここも暑いですからね。早速この前買った水着を着られるな」

 元々は魔法の実験場だった場所。
 今ではプールがあるる

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1 コメント

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あとがき (雲羽百三)
2017-09-05 11:42:46
 “バイオハザード”シリーズの舞台を見て思いついたネタ。
 あれだけのギミックや即死トラップ、バイオハザード発生前はちゃんと点検されていたのかなぁと思った次第。
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