報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「夏はプール!」

2018-07-30 10:10:03 | アンドロイドマスターシリーズ
[7月29日10:00.天候:晴 東京都豊島区池袋 フォーシーズンズ・ビルディング]

 敷島の経営するボーカロイド専門芸能事務所、敷島エージェンシーは親族が経営する大手総合芸能事業“四季エンタープライズ”の子会社となっている。
 その本社ビルのある建物はサンシャイン60もかくやというほどの超高層ビルであり、その内部は単なるオフィスだけでなく、社員らに対する様々な福利厚生施設も用意されている。
 で、そのうちの1つが……。

 敷島:「やっと、うちも使わせてもらえるようになったか……」

 敷島はビール片手にプールサイドの椅子に座り、ホッと一息付いていた。
 そう、ここには屋内プールがあるのだ。

 敷島:「頭の固いオッサン達が、『ロボットの機械油が漏れ出したらどうする!?』とか、『漏電して周囲の人間が感電したらどうする!?』とかホザいてたもんなぁ……」
 アリス:「ホントよねぇ。天才のアタシが造るロイドやロボットが、そんなポンコツなわけないじゃない」
 敷島:「ボカロはオマエが造ったわけじゃないだろ」

 アリスがいるのは、社員の家族までなら連れ込み可となっているからだ。
 当然、トニーもいる。

 トニー:「ママー」
 アリス:「Hi.上手く泳げた?」
 トニー:「10めーとる」
 アリス:「Wow!凄いスゴーイ!じゃあ次はママと一緒に泳ごうか」
 敷島:「そっちの浅い方に行けよ。向こうの深い方は……」

 普通は飛び込み台の下とか、ウォータースライダーの出口などがある所は結果的に飛び込む形になるので深くなっている。
 フィットネスクラブも兼ねているこのプールにはそのようなものは無く、どうして敷島がそんなことを言ったのかというと……。

 鏡音リン:「スクリューパイルドライバー!」
 鏡音レン:「波動拳!」

 この悪戯好きボーカロイド2号機、鏡音姉弟が本当に『遊んで』いるからである。
 まるで本当に魚雷や機雷が爆発したかのような大きな波しぶきが上がる。

 シンディ:「こらーっ!フザけ過ぎると退場処分にするわよ!!」
 リン:「出たーっ!鬼軍曹!」
 レン:「逃げろーっ!」
 シンディ:「誰が鬼軍曹よ!」

 一目散に逃げる鏡音姉弟。
 シンディは逃げるリンとレンを追おうとするが、逃げ足の速さはボカロ一である。
 シンディが追う度、青いホルターネックのビキニブラに包まれた豊かな胸が揺れる。

 敷島:「盛り上がってるなぁ」
 エミリー:「シンディも大概ですね。後で言っておきます」

 エミリーは敷島に瓶ビールを注ぎながら言った。
 エミリーもまたシンディと同じサイズの胸をしており、シンディとは色違いの黒ブラの隙間から胸の谷間が見えた。

 敷島:「はは(笑)、いいよいいよ。いつものことだし」
 エミリー:「そうですか」
 敷島:「向こうの撮影の邪魔にだけならないようにしてくれればいい」

 敷島が指さした先には、ボーカロイド年長組の撮影が行われていた。
 元々はこの撮影にかこつけたものである。
 今はマルチタイプとは色違いの赤いビキニを着用したMEIKOの撮影が行われていた。

 敷島:「やっぱりMEIKOのイメージカラーは赤だな」
 エミリー:「だいぶ前、あえて青い衣装にしてみましたところ、それも反響が大きかったですね」
 敷島:「赤い京急があえて電車の色を青くしたことがある。それを参考にしてみたら、上手く行ったってことさ」

 そんなことを話しているうちに、MEIKOの撮影が終わったらしい。
 敷島はMEIKOの所に行った。

 敷島:「よお、お疲れさん」
 MEIKO:「社長、お疲れ様です」
 敷島:「撮影、終わったみたいだな」
 MEIKO:「おかげさまで」
 カメラマン:「社長さん、ちょっと画像を確認してもらいたいんですけど……」
 敷島:「はいはい、何でしょう」

 オフのはずなのだが、ものの見事にボカロの仕事に巻き込まれる敷島だった。
 もっとも、敷島の場合はこれも楽しみの1つだからいいのか。

 敷島:「このプールの底から上に向けて撮影した、MEIKOの泳ぐシーンは何かに使えそうだな」
 カメラマン:「肝心の顔が写っていませんが……」
 敷島:「いやいや。こういうのが却ってウケたりするもんだよ。この画像、取っといて」
 カメラマン:「分かりました。次にプールサイドで撮影したものですが……」

 次に撮影の準備をしているのが巡音ルカである。
 MEIKOもどちらかというと豊かな胸をしているのだが、ルカはボカロの中でも90cmという更に豊かな胸を持っている。
 量産型として初めての成人女性タイプということで、それを主張する為に、あえて胸を大きくさせたのだという。
 尚、身長は160cmと低い方である。

 敷島:「完全防水になっているから、こういうプールや海での撮影もOKだな」
 エミリー:「何年か前、江ノ島海岸に行って、海水の耐性実験(という名の海水浴)を行いましたが、私も含めて全員問題無しということが判明しています」
 敷島:「そうだな。何故かレンだけが問題行動を起こしたわけだが、別に海水のせいではなかったようだし……」

 と、そこへ……。

 敷島:「おっと!俺のスマホ!」

 さっきまで敷島が座っていた所のテーブルの上には、飲みかけのビールのグラスがある。
 その横に、敷島のスマホが置かれていた。
 で、そこに着信が入る。

 敷島:「井辺君からだな。……はい、もしもし?」
 井辺:「社長、井辺です。お休みのところ、申し訳ありません」
 敷島:「いいよいいよ。半分くらい仕事みたいなもんだし。で、どう?MEGAbyteの方は?」
 井辺:「はい。予定通り、午前中には有楽町でのイベントを終えて、午後からそちらのプールの撮影に参加できそうです」
 敷島:「そうかそうか。じゃあ、こっちの撮影スタッフに午後イチからMEGAbyteの方よろしくって伝えておくよ。……ああ。それじゃ」

 敷島は電話を切った。

 敷島:「じゃ、MEGAbyteのことを伝えて来るか」

 敷島は飲みかけのビールのグラスをグイッと空にすると、再び撮影会場に向かった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “大魔道師の弟子” 「プール... | トップ | “戦う社長の物語” 「AIが... »

コメントを投稿

アンドロイドマスターシリーズ」カテゴリの最新記事