報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「帰省最終日の朝」

2024-02-09 15:18:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月26日07時00分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区作並元木 鷹泉閣岩松旅館・客室]

 枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
 私はそれで目が覚めた。
 隣で寝ているリサも、それで目が覚める。

 愛原「ううーん……」
 リサ「ううーん……」

 今度は悪い夢を見なかったようだ。

 愛原「おはよう」
 リサ「おはよ……」

 リサは結局また私の布団に入り込んでいた。
 布団の中はリサがかいた寝汗で、香しい匂いが染み付いている。
 人食いをしていないリサでさえ、体臭はある。
 ましてやこれが、人食いした鬼だと、物凄い体臭になるという。
 だから、それを隠す為に消臭剤や香水で誤魔化すとのこと。
 何しろ、旦那を1人食い殺した上野利恵でさえ、リサ以上の体臭がするのだから、人食いは本当に大変だ。
 布団から起きて、室内の照明を点ける。

 リサ「眩しっ!」

 リサは自分の布団の所に再び潜り込んだ。

 愛原「こらこら、起きろ。着替えて、朝飯に行くぞ」
 リサ「! おおー!そうだった!」

 再び布団から出る。
 浴衣がはだけて、白いスポブラとショーツが見えてしまっている。

 リサ「バイキング?」
 愛原「そうだよ。俺は向こうで着替えてくるから、お前も着替えろよ」
 リサ「はーい」

 私は隣の洋室に寝ているはずの両親を起こしに行ったが、ベッドにはいなかった。
 テーブルの上にメモ書きが置いてあり、それを見ると、『朝風呂に行ってきます』とのこと。
 私とリサは夜中に入ったからもういいが、両親達は2回目の温泉を堪能しているようだ。
 私はバスルームに入ると、そこで顔を洗った。
 高橋達は起きただろうか?
 一応後で、モーニングコールをしておこう。

 愛原「リサー、使っていいぞー」
 リサ「んー」

 リサは往路と同じ私服に着替えていた。
 違うのはTシャツくらい。
 この上に、パーカーを羽織るわけである。
 リサはブラを換えたのか、寝る時着けていたスポブラを荷物の中にしまうところだった。

 リサ「顔洗って来るけど、わたしの荷物、勝手に開けて下着漁らないでよ?w」

 リサはニヤッと笑った。
 口元から牙が覗く。

 愛原「そんなことするか!w」

 何を今さら……。
 私は洋室のテレビを点けた。

〔「おはようございます!日曜日の“ニュース万歳\(^o^)/”のお時間です!まずは速報からです。先週、国会の審議中に居眠りをした宇集院連太郎氏は……」〕

 リサのヤツ、あと何枚下着を持って来ているのだろう?
 洗濯が大変だろうなぁ……。
 リサはまだ洗面所にいるかな?
 ちょっとだけ……ちょっとだけ確認をば……。
 私はそーっと、次の間である和室に移動した。
 この時、私の足元にはリサが放った寄生虫が潜んでいたらしい。
 私が移動したのを確認した寄生虫は、テレパシーで宿主に御注進。

 リサ「フフフフ……」

 リサは私が次の間に向かうところを確認したらしい。
 だがしかし……。

 愛原母「ただいまぁ」
 愛原父「温泉は朝の方が熱いなぁ!」

 両親が大浴場から帰って来た。
 私は急いで、洋室に戻る。

 愛原学「お、お帰り!早かったね!?」
 リサ「チッ……!」
 母「そう?6時過ぎに起きて、お父さんと行ったからね。学達は朝風呂行かないの?」
 学「じ、実は夜中、リサと行って来たんだ」
 父「夜中、何かガサゴソ音がすると思ったらそれか」
 学「いやあ、夜中に目が覚めて、なかなか寝付けなかったもんで。な?リサ」
 リサ「う、うん」
 母「仲良さそうに寝てたわね。まあ、いいけど。もう着替えちゃったのね?」
 学「まあ、もう風呂はいいや」
 母「準備ができたら、朝ごはんに行こうね」
 学「ちょっと高橋達、起こしてくる」

 私は室内の電話機を取った。
 それで、高橋とパールの部屋の番号を押す。

 学「もしもし、高橋?おはよう!もう起きたかい?……そうか。それじゃ、皆で朝食バイキングに行こうと思うんだけど、一緒に来るかい?……分かった。それじゃ、会場でな」

 私は電話を切った。

 学「高橋達も準備して行くから、会場で落ち合おうって」
 母「そう」

 高橋とパールはツインの部屋に泊まっているので、フロアが違う。
 リサも朝の支度が終わると、皆で朝食会場に向かった。

[同日08時00分 天候:晴 同旅館・朝食会場]

 朝食会場は夕食会場と同じ。

 学「おはよう。眠れたかい?……いや、『楽しめた』かい?と聞いた方がいいか?」
 高橋「おはざっス!おかげさまで、『楽しめた』っス!」
 父「そうか。キミ達は、婚約中だったね?」
 高橋「そうです!作者が婚活に失敗中なもんで、なかなか婚姻届を出せないんス」
 学「メタ発言すなw」
 父「保証人はいるのかい?」
 学「先生はサインして下さるそうです。ただ、もう1人が……」

 パールのツテで斉藤秀樹元社長にお願いしていたものの、海外へ逃亡。
 公一伯父さんにお願いするも、彼もまた逃亡。
 善場主任には断られ、宙に浮いている状態。

 父「それなら、私がサインしようか?」
 高橋「えっ、本当ですか!?」
 学「いいの?」
 父「いいよいいよ。婚姻届はどこにある?」
 高橋「あー、家っス」
 父「それなら、簡易書留か何かで送ってくれ」
 学「返信用封筒も入れとけよ?」
 高橋「はい!」

 そんなことお構いなしのリサは、朝食の品を山のように盛っていた。

 パール「お茶でございます」
 父「おっ、ありがとう」

 そういえば高橋達も私服に着替えている。

 学「お前達は朝風呂に入ったのか?」
 高橋「いえ、俺らは部屋の風呂で十分っス!」
 パール「お、同じく……」

 なるほど。
 ベッドだけではなく、部屋備え付けの風呂でもイチャラブしたのだな。
 まあ、それはそれで良し。

 父「それで、帰りはどうするんだ?」
 学「ちょうどホテルの前から、市営バスが出てる。ホテルの前始発だから、必ず座れるよ。それで市街地まで戻ろうと思う」
 父「ここから市営バスでか。相当、時間掛かりそうだな……」
 学「まあ、1時間強ってところだな。ホテルの前始発だよ」

 仙台市営バス840系統作並線は、本来はもっと山の方まで路線があった。
 本来の起終点は『作並深沢山』という所。
 渓流釣りのポイントがあるので、それの利用者を狙ったものだろう。
 とはいえ、バスで釣りに行く利用者は少なく、結局は作並温泉街止まりとなり、その先は廃止となった。

 母「仙山線には乗らないの?」
 学「今はもう作並始発が無いからね、座れるかどうか分かんないんだよ」
 母「なるほど」
 学「チェックアウトの10時、正にその10時ちょうど発の便がある。これで戻ろうと思う」
 母「分かったわ」
 父「まあ、連れて来たのは学だからな。帰りも学に任せることにしよう」
 学「バスが発車するのは10時ちょうどだから、それまでゆっくりしてて」
 父「了解」

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