報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「リサの視点で過ごす愛原公一宅」

2020-09-09 15:32:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月26日00:00.天候:曇 宮城県遠田郡美里町 愛原公一の家]

 リサは愛原達とは襖挟んだ隣の部屋で寝た。

 リサ:「サイトー、ワガママ言って仙台に来るみたい」
 ジョン:「?」

 結局、リサと一緒に寝ることになった柴犬のジョン。
 某“お父さん犬”みたいに白い毛色が特徴。

 リサ:「サイトーってのはね、私の初めての人間の友達で、私のおやつ
 ジョン:「!?」
 リサ:「何だかお腹空いちゃった。あの家で人間の血を飲んだからかなぁ……?」

 もちろん、普通の食事は沢山食べている。
 なので、普通に胃袋は満たされている。

 リサ:「久しぶりの人間の血だったの。分かる?」
 ジョン:(分からんワン)
 リサ:「美味しそうな血の匂いにつられて、つい夢中になっちゃったんだけど、邪魔なお姉さんを引っ叩いたら首がもげちゃったんだ。でも、それでお兄ちゃんが助かったんだからいいよね」
 ジョン:(首もいだの!?)
 リサ:「サイトーが仙台に来たら、ちょっと分けてもらおうかな……」
 ジョン:(オレは食べないで欲しいワン……)

[同日07:00.天候:曇 愛原公一の家]

 枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす……。

 リサ:「ん……」

 リサが眠そうにしていると、ジョンがペロッとリサの顔を舐めた。

 ジョン:「ハッ、ハッ。(朝だワン。起きるんだワン)」

 リサは手を伸ばしてスマホのアラームを止めた。

 リサ:「おやすみ……」
 ジョン:「ワン!?ワンワン!ワンッ!」

 二度寝を始めたリサに吠えるジョン。

 リサ:「うるさいよ……?」

 リサが半分目を開けた。
 しかしその目はいつもの人間の目ではなく、瞳が赤くなった鬼の目であった。

 ジョン:「ワウッ!?キャン!キャンキャン!」

 リサの眼光に驚いたジョン、慌てて部屋の外に逃げ出そうとする。
 襖なので、隙間に前足を入れようとしたり、鼻先を突っ込もうとするうちに襖が少し開いて、ジョンはその隙間に強引に体を滑り込ませるような形でリサから逃げて行った。

 リサ:「しょうがない。起きるか……」

 リサは大きく伸びをして布団から出た。
 因みに今、白いTシャツに黒いオーバーパンツ姿である。

 愛原公一:「おーい、ジョン。外は雨が降りそうだから、今日は庭で遊ぶだけにしとけ」

 公一はリサの部屋から逃げて来たジョンを庭に連れ出した。

 リサ:「おはよう、先生……」
 愛原学:「おはよう、リサ。……ってリサ、寝癖すっげぇ……」
 リサ:「えっ!?……あっ!」

 リサは今、腰まであるロングなのだが、あっちこっち寝癖で凄いことになっていた。

 リサ:「枕が変わるといつもこれ。やっぱり短くしたいなぁ……」
 愛原学:「だが、それがいい」
 リサ:「んん?」
 愛原学:「というか、短く切ったところで、またオマエ、髪を触手のように伸ばしたら、ロングに戻るだろうが」
 リサ:「それもそうか」
 愛原学:「ショートは人間に戻ってからにしたらどうだ?」
 リサ:「……なるほど。先生は私に、人間に戻って欲しい?」
 愛原学:「そりゃあな」
 リサ:「確かに私も、獲物探したり何なりメンドくさいと思う。人間に戻れるなら、戻った方がいいかも……」
 愛原学:「BOWは不老不死なんだろ?で、リサは俺と一緒に暮らしたいんだろ?そんな時、リサがBOWだったら、結局先に死ぬのは俺の方になる。お前が人間に戻れれば、俺が歳を取ればお前も取ることができる。それで一緒に暮らしても、何の問題も無くなるってわけだ」
 リサ:「分かった。私、人間に戻る」
 愛原学:「日本人版シェリー・バーキン氏になれれば、万々歳らしいからな、頑張れよ」
 リサ:「うん、分かった」

 リサは寝癖を直しに洗面所に行った。
 台所から料理や高橋の匂いがする。
 どうやら、ここに来ても高橋は食事当番であるようだ。

 リサ:「! そうだ!サイトーからのライン」

 寝癖を直して歯を磨いている時、リサは斉藤絵恋からラインが来ていたことを思い出した。
 明らかに斉藤からの方が送信数が多く、リサはしばしば既読スルーにすることが多い。
 で、たまに放置し過ぎると、斉藤が泣きながら直電してくるという流れだ。
 如何に斉藤は友達が少ないかが分かるだろう。
 リサもこの点に関してはウザさを感じているが、自らリサに食われることを望んでいる希少な人間である為、付き合いを続けている。

 朝の支度を終えると、リサはもう1度自分の寝室に戻った。

 愛原学:「リサ、布団は畳んでおけよ?後でクリーニングに出すらしいから」
 リサ:「はーい」

 リサは愛原学にそう言われ、部屋に戻ると、布団を畳んだ。
 そして着替えるが……。

 リサ:「ポロシャツ汚れたなぁ……」

 吉田家での戦いにおいて、リサのポロシャツは血や体液で汚れていた。
 もちろん着替えは用意していて、今度は制服のブラウスを着た。
 制服のスカートはスパッツの上から穿いた。
 着替えが終わってから、スマホを見てみる。

 リサ:「サイトー……」

 リサは呆れた。
 たかだか顔を洗って着替えている間に、もういくつも来ていたからだ。

 斉藤:『リサさん!これで返してくれなきゃ電話する!』

 とまで……。

 リサ:「あー、ハイハイ……」

 リサはまるで生理が来たかのような感覚になりながら、斉藤にラインを返した。
 現在地を教えてやったら……。

 斉藤:『私も美里町に行く!JR八高線で行けばいいのね!』
 リサ:「八高線?昨日乗った電車、そんな名前だったっけ???」

 リサが首を傾げていると……。

 愛原学:「リサ、朝食だぞー!」

 と、リサを呼ぶ声がした。

 リサ:「はーい!」

 リサが返事をして部屋を出る。
 朝食会場たる茶の間に行く途中、玄関の前を通って行くのだが、固定電話機の後ろにこの町の地図が貼られていた。
 田舎の家あるあるである。

 リサ:「八高線……無いな」

 小牛田駅から出ているのは東北本線と陸羽東線、そして石巻線である。

 愛原公一:「さすが高橋君!料理の腕前も凄い!学もいい弟子を入れて幸せだな!?」
 高橋:「ありがとうございます!教授!」
 愛原学:「ま、まあ、家事能力に関しては非の打ち所が無いとは思うけどね……」

 リサが茶の間に行くと、公一が高橋を褒めていた。

 愛原学:「おっ、来たか。じゃあ、早速頂こう」
 愛原公一:「うむうむ。久しぶりの複数人での食事じゃ。ワシは嬉しいぞ」
 リサ:「先生。この町に、八高線っていうJRは走ってない?」
 公一:「八高線?」
 学:「あれだろ?東京の八王子から群馬県の高崎までを結ぶJR線だろ?八王子の『八』と高崎の『高』で八高線だ。それがどうかしたのか?」
 リサ:「私が今、美里町にいるってラインしたら、サイトーがそれに乗って会いに行くってうるさいの」
 高崎:「ガチのビアンだ。気持ち悪ィ」
 学:「高橋。お前もLGBTのGだったろうが。今はBか」
 高崎:「心外です!俺は至ってノーマルですよ!」
 学:「嘘つきやがったな、このヤロー……!」
 公一:「おお、思い出した!美里町は美里町でも、ここは宮城県遠田郡美里町(ちょう)、八高線は埼玉県児玉郡美里町(まち)ではないかね?」
 リサ:「ええっ!?」

 リサはスマホを見た。

 斉藤:『今、新幹線に乗ったわ!それから大宮で川越線に乗り換えればいいのね!』
 リサ:「サイトー、乙……」

 Ω\ζ°)チーン

 愛原学:「どうした、リサ?」
 リサ:「こうして、斉藤絵恋は宮城県から排除されたのだった」
 愛原学:「ん?」

 こうして、斉藤絵恋は宮城県から排除されたのだった。

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