報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「まあ、夜の病院って言ったらホラーだしね」

2018-07-25 10:18:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月11日02:00.天候:雷雨 宮城県仙台市内某所 とある大病院]

 私の名前は愛原学。
 都内で探偵事務所を経営している。

 愛原:「ん……」

 私はふと夜中に目が覚めた。
 2人用の病室。
 隣のベッドでは高橋君が寝ている。

 愛原:「トイレ……」

 私は高橋君を起こさないよう、そっとベッドから出た。
 そして、廊下に出るのだが……。
 うん、まるであの時の、廃校地下の秘密研究所のような雰囲気だ。
 もっとも、ここは廃病院ではなく、れっきとした現役の病院。
 ゾンビが歩いていたり、リサの元仲間のボスクラスのクリーチャーが歩いていようはずがない。
 いや、当のリサはいるのだが、普段は人間の姿をしている。
 そしてこの時間だから、スヤスヤ寝ていることだろう。
 私は暗い廊下をトイレに向かって進んだ。

 愛原:「ん?真っ暗だ……」

 トイレの中も真っ暗だったので、スイッチはどこだろうかと一瞬探してしまったが何のことはない。
 カチッという音がして、眩しいほどの照明が点いた。
 まあ、人感センサー式のトイレというわけだ。
 私は急いで奥の便器に走った。

 高橋:「先生……」
 愛原:「わっ、びっくりした!」

 突然、トイレの入口の方から声を掛けられた。
 振り向くと、そこには眠そうな顔の高橋がいた。

 愛原:「何だ、高橋君か。びっくりさせるな」
 高橋:「ヒドいじゃないですか。俺は先生と地獄の果てまでもお供しますと言ったはずですよ」
 愛原:「いや、覚えてないし!てか、地獄までは付いてきても、夜中のトイレまで付いて来るな!」
 高橋:「いいえ、先生。あの船の中で俺は言いましたよ」
 愛原:「だから船の中の記憶が無いんだって!」

 いま高橋、さりげなく夜中のトイレまで付いて来るなという私の指示を否定しなかったか?
 まあいい。

 愛原:「早く用を足して戻るぞ」
 高橋:「はい」

 私は便器から離れると洗面所に向かった。
 バシューという音を立てて、センサー水洗式の水が流れる。
 他の誰もいない便器からも、だ……!

 愛原:「知っててもびっくりするんだよなぁ。いきなり流れられると」
 高橋:「ああ、分かります」

 センサー水洗式小便器の場合、長時間使用が無くても勝手に水が流れることがある。
 便器によってはその旨表示していることもあるのだが、何しろ流れ方が盛大な為、こういうシンと静まり返っている中で流れ出すと、そういう仕様であると分かっていてもびっくりするものである。

 高橋:「そっちの大便器でも勝手に水が流れることがありましたよ」
 愛原:「ほお?」
 高橋:「センサー式は便利ですけど、その分、ちょっと不気味な所もありますよね」

 だが、そこで私はあることに気づいた。

 愛原:「……おい、高橋」
 高橋:「何でしょうか?」
 愛原:「個室の大便器のは……ボタン式だぞ?」
 高橋:「ええっ!?」
 愛原:「……お前、寝ぼけてたんじゃないのか?」
 高橋:「ですかねぇ……」

 その時だった!
 ザザザーッと音がして、誰もいないはずの大便器の水が流れた。

 愛原:Σ(゚Д゚)
 高橋:(゚Д゚;)

 1番奥の便器だ。
 私達はそーっと個室を覗いてみた。
 ……当然ながら、誰もいない。
 そして、やはりそこの便器も壁のボタンを押して水を流すタイプだった。

 高橋:「せ、先生……?」
 愛原:「さ、病室に戻ろうか。高橋君」

 私は極めて平静を装い、高橋の肩をポンと叩いた。

 高橋:「そ、そうですね」

 ゾンビやクリーチャー相手ならもう慣れているのだが、さすがにこういう目に見えない不可解な現象は慣れていない。
 私達は再び薄暗い廊下に出た。
 と、その時だった。
 近くの階段の上から、男の叫び声がした。

 愛原:「何だ!?」
 高橋:「他のフロアでも、何か出たんじゃないですか?」
 愛原:「ここでは何も出なかった!何も無かったぞ!いいな?高橋君!」
 高橋:「は、はい!」

 ところが止せばいいのに、私と来たら……。

 愛原:「ちょっと見に行ってみようか?」
 高橋:「マジですか?」
 愛原:「もちろん、高橋君も来るよな?『地獄の果てまでもお供する』んだろ?」
 高橋:「た、確かに……」

 私と高橋君は階段を上った。
 この病院は6階建てで、私達がいるのは5階だ。
 だから、最上階で何かあったと見える。
 私達が階段を上り、最初の踊り場まで行こうとした時だった。

 高橋:「!?」

 突然、背後の廊下をサーッと行く者がいたような気がした。

 愛原:「どうした、高橋君?」
 高橋:「気のせいですかね。今、そこの廊下をサーッと何かが行ったような気がするんです」
 愛原:「おいおい、やめてくれよ。もしクリーチャーがいたとしても、叫び声は上から聞こえたんだぞ?」
 高橋:「まあ、そうですよね」
 愛原:「だから早く上に行き……」

 ところが、そんな私達の困惑をよそに、ザッザッザッと廊下を横切って行く者がいた。

 愛原:(・.・;)
 高橋:(・。・)

 しばらく目を点にしていた私達。

 愛原:「今の……何だと思う?」
 高橋:「クリーチャー……ですよね?」
 愛原:「追うぞ!」
 高橋:「はい!」

 幽霊には免疫が無いのでどうしようも無い私達だが、クリーチャー系なら任せとけ!
 当然のことながら、クリーチャーなど見たことも無い人達を次々に驚かせていく。
 だが、そのクリーチャーは脅かすだけで何もしない。

 高橋:「! 先生、あいつ、もしかして……!?」
 愛原:「多分な……」

 色々な姿へと変化していく。
 4足方向のトリケラトプスだの、コモドオオトカゲみたいな形態になったりだの、何だか暴走しているようにも見えるが……。
 最後は病室へと戻って行く。
 部屋に入る直前、リサ・トレヴァーは人間の姿に戻っていた。

 高橋:「テメ、寝てんじゃねぇぞ、コラ!」

 高橋君はリサの病室の前で伸びている黒服の胸倉を掴んで引き起こした。

 愛原:「高橋君。もしかして、リサは夢遊病だったのか?色々と変化しながら廊下を歩き回るとは……」

 ホラーの正体なんて、案外地味なものだよ、うん。
 ……いや、BOWとして改造されたリサを地味だと思う私がおかしいのか?

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2018-07-25 19:14:28
https://news.goo.ne.jp/article/kyodo_nor/nation/kyodo_nor-2018072501001641.html

 おおっ!それなら死刑囚の部屋も全部冷房切っときゃ、一気に全員執行できるじゃんw
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