[2月4日11時30分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所→某ラーメン店]
愛原「もしもし、伯母さん?何度もゴメン。地下室に行くエレベーターのメーカーってどこ?……分からない?いや、ボタンの所とか、ドアの横とかに書いてないかな?……うん」
私はスマホを少し離した。
愛原「今、伯母さんが見に行ってます」
善場「お手数お掛けします」
しかし善場主任は腕組みをしたまま、少し眉を潜めたままだ。
愛原「……あ、ゴメンね。何だって?……え?どっち?三菱なの?日立なの?」
伯母「だから、三菱と日立、両方書いてあるんだって!」
愛原「ええ~……」
私は伯母さんに礼を言って電話を切った。
愛原「善場主任。例の地下室に行くエレベーターは、三菱か日立だそうです。何か、2つのメーカーの名前が書いてあるんですって」
善場「それは家庭用のホームエレベーターですか?」
愛原「そうですね」
善場「それなら納得ですよ。実はエレベーターメーカーである三菱電機と日立製作所は、ホームエレベーター部門を統合させて、1つの企業として独立させたのです。名前をそのまま、三菱日立ホームエレベーターと言います。恐らく、それですね」
愛原「そうだったんですか。なまじ、防災センターの警備員を長くやってると、却って分かりませんね」
善場「そうですね」
リサ「埼玉にあった、エレンの家のエレベーターかなぁ?」
愛原「あー……どうだろう……」
善場「所長の事務所にあるエレベーターのメーカーは、どこですか?」
愛原「東芝ですね。東芝では現在製造中止になっている、4人乗りの小型エレベーターです」
善場「すると、メーカーが違うので、鍵は合いませんね」
愛原「すいません」
善場「いえいえ。メーカーから鍵を取り寄せて、それで行くしか無いようです。というか、鍵は本当に公一氏しか持っていないのですか?」
愛原「そのようです。そもそもエレベーターを設置したのも、公一伯父さんだったようで、管理者も伯父さんになっていました。だから、伯母さんは鍵の場所が分からないそうです」
民宿は地上2階建て。
バリアフリーの為と称して設置されたエレベーターなので、2階にも行くことができる。
1階と2階の行き来は無条件でできるが、伯父さんが寝泊まりしていた地下室には、鍵が無いと下りれないようになっている。
ちょうど私の事務所のエレベーター、居住区の3階と4階に行くのには、鍵が無いと操作できないのと同じだ。
善場「かしこまりました。やはり、メーカーから鍵を取り寄せる必要がありそうです。色々手続きがありますので、少し時間が掛かりそうですね」
愛原「お役に立てなくて、申し訳ありません」
善場「いえいえ。ここまででも、十分ですよ。また何かありましたら、御協力お願いします」
愛原「それはもう、是非」
こうして私達は、事務所をあとにした。
高橋「マジで大事ですね」
愛原「そりゃそうだろう。何せ、BOWを造り出してしまったんだからな。BSAAから見れば、『うおおおお!あの日本が憎きバイオテロのBOWを造りやがったぞーっ!』ってなる」
高橋「うわ……」
愛原「世界の警察を標榜していて、尚且つバイオテロ発祥の地であるアメリカ様に、『日本をバイオテロ支援国家に指定する!』なんてことになったら……」
高橋「日本オワタですね」
愛原「そういうことだよ。ただでさえ、リサを生かしていることに対しても、批判があるというのに……」
リサ「う……」
愛原「『人間に戻れるから、ちょっと待ってくれ。現に戻れた人間がいるだろう?』ってことで、リサの殺処分は保留なんだから」
高橋「その代わり、四六時中の監視付きってことで」
愛原「そういうことだよ」
リサ「それより先生、帰る前にお昼食べて行こうよ?」
愛原「少なくとも、こうであるうちは心配無い」
高橋「普通の人間の飯が食える時点では、そうですね」
愛原「ああ、分かった。お昼食べてから帰ろう」
リサ「おー!」
愛原「ちょっとお昼前だが、その方が空いてるだろう」
高橋「何にします?」
愛原「こういう寒い時期は、やっぱラーメンだろうな」
高橋「ですね」
リサ「おー!ラーメン!」
私達は近くのラーメン屋に入った。
店員「らっしゃいせー!」
愛原「ここは食券方式みたいだな。何にする?」
リサ「チャーシューメンと唐揚げ」
愛原「肉が一杯だな。まあ、俺もチャーシューメンにするか。高橋は?」
高橋「俺は担々麺にします」
リサ「辛いの行くねー!」
高橋「当たり前だ」
愛原「俺が出すよ」
高橋「あざっス!」
リサ「あざっス!」
食券を買って、テーブル席に座る。
ラーメンや唐揚げを待っている間、どんどん客が入って来たので、良いタイミングだったのだろう。
高橋「そういやエレベーターの件なんスけど……」
愛原「うん」
高橋「さっきリサが、埼玉の家のエレベーターと同じって言ってたじゃないスか?」
愛原「そうだな」
リサ「まだ分かんないよ。もしかしたら、そうじゃないかって思っただけ」
愛原「まあまあ。それで?」
高橋「で、少し前、先生、こう言ってましたよね?『実はエレベーターの鍵って、メーカーが同じであれば、どこも共通』って」
愛原「あー、そういえば言ったかも。例えばうちの事務所のエレベーターは東芝だが、他のビルの東芝エレベーターの鍵を持って来ても、うちのエレベーターは操作できるということさ。家の鍵と違って、バラバラってことは無いんだな」
高橋「やっぱりそうですか。家庭用エレベーターもですかね?」
愛原「多分……。それがどうかしたのか?」
高橋「いえ。もし埼玉の家のエレベーターと、あの民宿のエレベーターが同じメーカーだったら、鍵も同じなんだろうなって。で、パールは元その家のメイドっスから……」
愛原「! そうか!メイドなら、エレベーターの鍵を持ってるかもしれないな!?」
高橋「ちょっと、パールにLINE送って聞いてみます」
愛原「頼むよ」
高橋がパールにLINEを送ったところ、すぐに返信が来た。
すると、確かに埼玉の斉藤家のエレベーターは、三菱日立エレベーターだという。
その鍵を持っているかどうかについてだが……。
高橋「うーん……。残念ながら、パールは持ってないみたいです」
愛原「そうかぁ……」
高橋「他のメイド仲間に聞いてみるとのことでした」
愛原「頼むよ」
高橋「任せてください」
そうしているうちに、ラーメンや唐揚げが運ばれてくる。
リサ「まずはお昼を食べてからだね!」
愛原「まあ、そうだな」
取りあえず私達は、ラーメンを食べることにしたのだった。
愛原「もしもし、伯母さん?何度もゴメン。地下室に行くエレベーターのメーカーってどこ?……分からない?いや、ボタンの所とか、ドアの横とかに書いてないかな?……うん」
私はスマホを少し離した。
愛原「今、伯母さんが見に行ってます」
善場「お手数お掛けします」
しかし善場主任は腕組みをしたまま、少し眉を潜めたままだ。
愛原「……あ、ゴメンね。何だって?……え?どっち?三菱なの?日立なの?」
伯母「だから、三菱と日立、両方書いてあるんだって!」
愛原「ええ~……」
私は伯母さんに礼を言って電話を切った。
愛原「善場主任。例の地下室に行くエレベーターは、三菱か日立だそうです。何か、2つのメーカーの名前が書いてあるんですって」
善場「それは家庭用のホームエレベーターですか?」
愛原「そうですね」
善場「それなら納得ですよ。実はエレベーターメーカーである三菱電機と日立製作所は、ホームエレベーター部門を統合させて、1つの企業として独立させたのです。名前をそのまま、三菱日立ホームエレベーターと言います。恐らく、それですね」
愛原「そうだったんですか。なまじ、防災センターの警備員を長くやってると、却って分かりませんね」
善場「そうですね」
リサ「埼玉にあった、エレンの家のエレベーターかなぁ?」
愛原「あー……どうだろう……」
善場「所長の事務所にあるエレベーターのメーカーは、どこですか?」
愛原「東芝ですね。東芝では現在製造中止になっている、4人乗りの小型エレベーターです」
善場「すると、メーカーが違うので、鍵は合いませんね」
愛原「すいません」
善場「いえいえ。メーカーから鍵を取り寄せて、それで行くしか無いようです。というか、鍵は本当に公一氏しか持っていないのですか?」
愛原「そのようです。そもそもエレベーターを設置したのも、公一伯父さんだったようで、管理者も伯父さんになっていました。だから、伯母さんは鍵の場所が分からないそうです」
民宿は地上2階建て。
バリアフリーの為と称して設置されたエレベーターなので、2階にも行くことができる。
1階と2階の行き来は無条件でできるが、伯父さんが寝泊まりしていた地下室には、鍵が無いと下りれないようになっている。
ちょうど私の事務所のエレベーター、居住区の3階と4階に行くのには、鍵が無いと操作できないのと同じだ。
善場「かしこまりました。やはり、メーカーから鍵を取り寄せる必要がありそうです。色々手続きがありますので、少し時間が掛かりそうですね」
愛原「お役に立てなくて、申し訳ありません」
善場「いえいえ。ここまででも、十分ですよ。また何かありましたら、御協力お願いします」
愛原「それはもう、是非」
こうして私達は、事務所をあとにした。
高橋「マジで大事ですね」
愛原「そりゃそうだろう。何せ、BOWを造り出してしまったんだからな。BSAAから見れば、『うおおおお!あの日本が憎きバイオテロのBOWを造りやがったぞーっ!』ってなる」
高橋「うわ……」
愛原「世界の警察を標榜していて、尚且つバイオテロ発祥の地であるアメリカ様に、『日本をバイオテロ支援国家に指定する!』なんてことになったら……」
高橋「日本オワタですね」
愛原「そういうことだよ。ただでさえ、リサを生かしていることに対しても、批判があるというのに……」
リサ「う……」
愛原「『人間に戻れるから、ちょっと待ってくれ。現に戻れた人間がいるだろう?』ってことで、リサの殺処分は保留なんだから」
高橋「その代わり、四六時中の監視付きってことで」
愛原「そういうことだよ」
リサ「それより先生、帰る前にお昼食べて行こうよ?」
愛原「少なくとも、こうであるうちは心配無い」
高橋「普通の人間の飯が食える時点では、そうですね」
愛原「ああ、分かった。お昼食べてから帰ろう」
リサ「おー!」
愛原「ちょっとお昼前だが、その方が空いてるだろう」
高橋「何にします?」
愛原「こういう寒い時期は、やっぱラーメンだろうな」
高橋「ですね」
リサ「おー!ラーメン!」
私達は近くのラーメン屋に入った。
店員「らっしゃいせー!」
愛原「ここは食券方式みたいだな。何にする?」
リサ「チャーシューメンと唐揚げ」
愛原「肉が一杯だな。まあ、俺もチャーシューメンにするか。高橋は?」
高橋「俺は担々麺にします」
リサ「辛いの行くねー!」
高橋「当たり前だ」
愛原「俺が出すよ」
高橋「あざっス!」
リサ「あざっス!」
食券を買って、テーブル席に座る。
ラーメンや唐揚げを待っている間、どんどん客が入って来たので、良いタイミングだったのだろう。
高橋「そういやエレベーターの件なんスけど……」
愛原「うん」
高橋「さっきリサが、埼玉の家のエレベーターと同じって言ってたじゃないスか?」
愛原「そうだな」
リサ「まだ分かんないよ。もしかしたら、そうじゃないかって思っただけ」
愛原「まあまあ。それで?」
高橋「で、少し前、先生、こう言ってましたよね?『実はエレベーターの鍵って、メーカーが同じであれば、どこも共通』って」
愛原「あー、そういえば言ったかも。例えばうちの事務所のエレベーターは東芝だが、他のビルの東芝エレベーターの鍵を持って来ても、うちのエレベーターは操作できるということさ。家の鍵と違って、バラバラってことは無いんだな」
高橋「やっぱりそうですか。家庭用エレベーターもですかね?」
愛原「多分……。それがどうかしたのか?」
高橋「いえ。もし埼玉の家のエレベーターと、あの民宿のエレベーターが同じメーカーだったら、鍵も同じなんだろうなって。で、パールは元その家のメイドっスから……」
愛原「! そうか!メイドなら、エレベーターの鍵を持ってるかもしれないな!?」
高橋「ちょっと、パールにLINE送って聞いてみます」
愛原「頼むよ」
高橋がパールにLINEを送ったところ、すぐに返信が来た。
すると、確かに埼玉の斉藤家のエレベーターは、三菱日立エレベーターだという。
その鍵を持っているかどうかについてだが……。
高橋「うーん……。残念ながら、パールは持ってないみたいです」
愛原「そうかぁ……」
高橋「他のメイド仲間に聞いてみるとのことでした」
愛原「頼むよ」
高橋「任せてください」
そうしているうちに、ラーメンや唐揚げが運ばれてくる。
リサ「まずはお昼を食べてからだね!」
愛原「まあ、そうだな」
取りあえず私達は、ラーメンを食べることにしたのだった。
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