報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「横須賀線・総武快速線の旅」

2024-06-02 15:06:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日16時42分 神奈川県横須賀市久里浜 JR横須賀線1684S電車5号車内]

 

 車内整備・清掃が終わると、私達は5号車に乗り込んだ。
 2階席ではなく、個室感覚の平屋席である。

 

 
(※取材時は東京行きの別の電車に乗った)

 1階席や2階席と違って天井も低くなく、網棚もある。
 ただ、全体の空間が閉鎖的なので、そういった意味で圧迫感を感じることはあるかもしれない。
 まあ、殆どの利用者は気にしないと思うが。
 逆に高身長の高橋などが、天井の低い1階席や2階席に関して圧迫感を感じることはあるらしい。
 嵩張っている土産物や鞄などは、その網棚の上に置く。

 高橋「向かい合わせにしますか?」
 愛原「いや、いいだろう。リサとしては俺とデート感覚を味わいたいらしいし、お前もパールと宜しくやっててくれ」

 もしこれが結婚前の高橋だったら、頑として反対してきただろうが、今は丸くなったな。

 高橋「はあ……。先生がそう仰るのでしたら。何か御用があったら、言ってください」
 愛原「もちろんだ」

〔この電車は横須賀線、総武快速線直通、千葉行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕

 高橋とパールには前の席に座らせ、私達は彼らの後ろに座った。

 愛原「遠慮しないで、座席ガッツリ倒していいよ」
 高橋「はあ……サーセン」

 グリーン車ではあるが、どうせそんなに深くは倒れない。
 スペック的には特急車両の普通車程度のものである。

 愛原「これは新型車だから、WiFiも入るんだよ」
 リサ「本当だ!」

 リサは早速WiFiに繋いだ。
 リサの学生用のプランだと、ギガ容量が制限されている。
 これは通信料をケチる為ではなく、あえて使い過ぎを防止する為である。
 とはいえ、WiFiに接続すればそんな制限も無くなる。
 家や事務所でも専用WiFiを飛ばしているので、家ではリサもガンガン使っているというわけだ。

〔「お待たせ致しました。16時42分発、総武快速線直通の千葉行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから発車メロディが微かに聞こえて来る。
 平屋席は窓が開かず、また、デッキとの間に自動ドアがあるので、密閉されるのである。
 個室感覚というのは、そういうことだ。
 私達が乗っている場所は、8人分の座席があるので、8人のグループがここを貸し切りにして良いのかもしれない。
 そして、電車が走り出した。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、横須賀線、総武快速線直通、千葉行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、衣笠です〕

 愛原「ここから錦糸町駅までは、凡そ1時間40分だ。新宿から浜金谷並みの時間だな」
 リサ「それで、グリーン車にしたんだね」
 愛原「まあ、そういうことだな。あとは旅行気分かな」
 リサ「ふんふん。はい、先生」

 リサはNewDaysで買ったポッキーを口に咥えた。

 リサ「ポッキーゲーム

 私はリサに一瞬呆れながらも、ポッキーに吸い付いた。

 愛原「おらぁーっ」
 リサ「んんーっ!?」

 私はリサが咥えていた部分ごと、ポッキーを引き抜いてバリボリと食べた。

 リサ「おおー……さすがは先生……も、もう一本……」
 グリーンアテンダント(👩)「失礼致します。グリーン券はお持ちではないでしょうか?」
 愛原「おおっ、グリーン券か!これと……」
 グリーンアテンダント「ありがとうございます」
 愛原「あと、キミのハートまでのグリーン券を1枚」
 グリーンアテンダント「はい?」
 リサ「

 バチッ

 愛原「ギャオッ!」

 リサに強力な静電気を食らわされる。

 リサ「お兄ちゃん、グリーン券だって」
 高橋「おう」
 グリーンアテンダント「あ、ありがとうございます」

 グリーンアテンダントは、日付の入った青いインクの改札印を押す。

 グリーンアテンダント「そちらのお客様、大丈夫ですか?」
 高橋「大丈夫っス。いつものことなんで」
 グリーンアテンダント「はあ……」
 リサ「先生用に首輪と手錠と、口を塞ぐ何かがあった方がいいかな?」
 高橋「ギャグか!」
 パール「私、持ってるけど?」
 高橋「パール用のじゃ、先生のサイズに合わねーだろ」
 リサ「何で持ってるの?」
 パール「斉藤社長のメイド時代、お仕置き用として……」
 高橋「『忠誠を誓うチョーカー』じゃねーのかーよ」

 実は違ったことが判明した。

 愛原「……リサの電撃や静電気は、発電機要らずだな」
 リサ「なーに、それ?」
 愛原「ラクーン市のバイオハザードの時、市内に放置された発電機が雨に濡れて漏電し、そこに発砲すると放電して、近くにいたゾンビなどが感電したらしいんだが……」
 高橋「霧生市の時は無かったっスねー」
 愛原「そもそも初日は雨じゃなかったしな」
 リサ「電気を放てるのは、わたしだけー」
 愛原「そんなことはないぞ」
 リサ「えっ?」
 愛原「もうこの世にはいないが、2013年、香港で起きたバイオハザードの時、ネオ・アンブレラのアジトをBSAAのクリス・レッドフィールド氏とピアーズ・ニヴァンス氏が突入してな。その時、ピアーズ氏はクリス氏を助ける為に、自らCウィルスを打ち込んでBOW化した。しかし、それでも終盤まで自我などは失われず、変化した腕から電撃を放つなどして、クリス氏をサポートしたという」
 リサ「他にもいたんだ……」
 高橋「もうこの世にいないというのは……」
 愛原「アジトが爆発となった時、ピアーズ氏は更に変化が進んで、このままでは自我が保てないと判断したのか、クリス氏1人だけを脱出ポッドに乗せて、自分はアジトと共に人生を終わらせたそうだよ」
 高橋「漢っスねぇ……」
 愛原「そう、漢だ。それでもアジトから更に執拗にクリス氏を追い掛けようとしたラスボスがいたらしいが、ピアーズは最後の力を振り絞って電撃を放ち、ついにラスボスにトドメを刺したそうだよ」
 高橋「素晴らしい漢の魅せ方です。俺も見習いたいと思います」
 リサ「わたしも!」
 高橋「オメーは男じゃねーだろ」
 リサ「だってー!」
 愛原「現状、ピアーズ氏のような攻撃ができるのはリサだから、いざという時は期待してるよ」
 リサ「任せて!……それはそれとして、ポッキーゲームの続き……」
 グリーンアテンダント「失礼します。車内販売でございます」
 愛原「缶ビールと、キミの熱いハートを1つ……」
 グリーンアテンダント「はい?」
 リサ「

 バチバチッ

 愛原「あぎゃわうっ!」
 リサ「ジュースとお菓子ください。支払いは先生のカードで」
 高橋「先生にコーヒーくらいは買ってやれよ」
 グリーンアテンダント「あ、ありがとうございます」

 JR横須賀線は、これでもダイヤ通り。

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