報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 仙台市内 4

2021-07-19 22:04:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月30日06:45.天候:晴 宮城県仙台市青葉区本町 ホテルドーミーイン仙台駅前7F客室(稲生の部屋)]

 稲生:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」

 朝の勤行を終えた稲生は、朝風呂に行くことにした。
 因みにこの場合、風呂に入る前に勤行をするのと、入ってから勤行をするのとではどちらが正しいのだろう?
 『体を清めてから勤行する』方が正しいように思えるし、『温泉ということは湯治になるから、勤行の前に湯治とは何事だ』という解釈もできる。
 稲生は後者と判断した。

 稲生:(シャワーを浴びるだけなら、『体を清めてから勤行』と言えるけど、温泉だと『勤行の前に湯治』と解釈できるからやめておこう)

 ということである。

 稲生:(マリアはまだ寝てるかな……)

 というわけで、今回は稲生1人で行こうとしたが……。

 稲生:「おっ!?」

 部屋の電話が掛かって来た。

 稲生:「もしもし?」
 マリア:「おはよう。起きた?」
 稲生:「うん。もう起きて、勤行したところ」
 マリア:「温泉って朝も入れるよね?」
 稲生:「もちろん、入れるよ」
 マリア:「もし良かったら一緒に行かない?」
 稲生:「願ったりかなったり!一緒に行こう!」

 稲生は電話を切ると、急いで部屋着に着替えてタオルを手にした。

 稲生:「おっと!部屋の鍵と小銭入れ!」

 危うく大事なものを忘れるところであった。
 それらを手にし、部屋を出て隣のマリアの部屋に向かう。

 稲生:「マリア」

 ドアをノックすると、しばらくしてマリアが出て来た。

 マリア:「勇太、おはよう」
 稲生:「おはよう。よく眠れた?」
 マリア:「一応ね」
 稲生:「今日はサバトの日だから、温泉で裸になろうって?」
 マリア:「それもあるかな。そうそう。組によっては、デンマークのヌード・ビーチに行くらしいよ」
 稲生:「ああ!そういえば、そんな所あるよね」
 マリア:「日本には無い……よね?」
 稲生:「無いなぁ。その代わり、温泉や銭湯では皆して裸で入るんだよ」
 マリア:「うん。ヌード・ビーチならぬ、ヌード・スパってね」

 欧米ではスパでも水着で入るのが一般的である。
 もちろん、欧米にヌードビーチはあるものの、日本のようにヌード禁止ビーチも別にあるので悪しからず。

[同日07:30.天候:晴 同ホテル9F大浴場]

 朝風呂を堪能した稲生達は、お休み処で休んでいた。

 稲生:「はい、スポーツドリンク」
 マリア:「ありがとう」

 風呂上がりにスポーツドリンクを飲む。

 マリア:「そういえばここ最近、プール以外の運動していないなぁ……」
 稲生:「魔道士ってこの辺、出不精だよね。だからファンタジーの世界では、明らかにステータスが戦士より弱い」
 マリア:「うん、確かに」
 稲生:「この辺、サーシャにも指摘されたっけな」
 マリア:「逆に戦士は脳筋だから、その辺は私達がフォローしてあげるんだよ」
 稲生:「よく脳筋って日本語知ってるね?」
 マリア:「エレーナが言ってたよ」
 稲生:「いや、それにしても、凄いと思う」
 マリア:「長く日本に住んでると、そういうの覚えちゃうよね」
 稲生:「ふむふむ。じゃあ、飲んだら今度は朝食に行くか」
 マリア:「昨日あれだけ飲み食いしたのに、朝は朝でお腹空くね」
 稲生:「健康的な証拠だよ。行こう」

[同日08:00.天候:晴 同ホテル1Fレストラン“旅籠”]

 エレベーターで1階に下り、レストランに向かう。

 稲生:「あ、そういえば、夜食にラーメンも出るんだったな。食べ損ねたな……」
 マリア:「夕食の時、あれだけ飲み食いして何言ってるの」
 稲生:「『締めはラーメン』という言葉が、日本にはありましてですなぁ……」
 マリア:「What!?」

 好きな料理を銘々に取って行く。

 稲生:「おっ、オムレツ作ってる」

 ライブキッチンでオムレツを作っていた。

 稲生:「これも食べよう」
 マリア:「オムレツかぁ……。今朝の師匠の朝食もそれだったみたいだな」
 稲生:「イリーナ先生、もう朝食食べたんだ?」
 マリア:「年寄りの朝は早いからねぇ……」

 マリアはニッと笑った。
 ダークグリーンのマスクをしていても、そういう表情をしたのが稲生には分かった。

 稲生:「テレビの近くがいいかな?」
 マリア:「こういう時、日本語が理解できて良かったと思うよ」

〔「次のニュースです。IOCのバッカ会長は、昨日の記者会見で、『去る有名な占い師に、東京オリンピックは何としてでも開催するべきだと言われた。従って、私は無事に開催されることを望む』と発言し、これを受けて瓦斯総理は……」〕

 稲生:「え?占いで決めたの?」
 マリア:「どうせそんなことだろうと思った。恐らく、占い師というのは表向き。その本当の顔は……」
 稲生:「まさか、うちの先生?」
 マリア:「東アジア魔道団がバラ撒いたウィルスが……。いや、やめておこう。少なくとも、私達は何の心配も無いから」
 稲生:「ええっ?どういうこと?」
 マリア:「私達はタッパとして動いているだけだけど、それでも陰謀側の方だから。だから、大丈夫」
 稲生:「そ、そうなの?利権絡みで言うなら、電【ぴー】やパ【ぴー】もそうだろうけど、そこで社員として働いている人達が恩恵に預かれているかどうか……」
 マリア:「正社員なら大丈夫だろう。あいにくと勇太はまだそこでは試用期間の契約社員のようなものだけど、大丈夫。『正社員登用』(マスター認定)への『道』(登用試験)は用意されてるから」
 稲生:「なるほど」
 マリア:「さてと、裏の話はここまでにして、何時の新幹線に乗る?」
 稲生:「食べてすぐ出るのは慌ただしいから、まあ、9時台の新幹線でいいんじゃないかな?」
 マリア:「なるほど。それはいいかもね」
 稲生:「一応、実家へのお土産でも買っておこう。……先生へのお土産はどうする?」
 マリア:「それは仙台じゃなくて、東京とかで買ったら?ここではあくまでも、勇太の御両親への土産だけで」
 稲生:「そうだね」

 取りあえずは朝食を食べた後、一息吐いてから仙台駅に向かうことになった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “大魔道師の弟子” 「青い目... | トップ | “大魔道師の弟子” 「青い目... »

コメントを投稿

ユタと愉快な仲間たちシリーズ」カテゴリの最新記事