[8月22日19:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 たんや善次郎別館]
私は高橋とリサを連れ、両親や公一伯父さんと共に夕食を取ることにした。
ホテルのすぐ近くに“五橋横丁”というのがあり、そこの一画にある牛タン店に入った。
しっかり予約しているらしく、個室に通された。
愛原公一:「弟夫婦の無事を喜んで乾杯だべ!」
愛原薫:「兄さん、俺達の無事ば喜んでけるのは嬉しいけど、死傷者ば多ぐ出てる事故だで、あんま盛り上がんねー方がいいんでねぇが?」
公一:「んだから、身内だけでやるんでねーの」
愛原学:「いや、外部の人間もしれっといますけど?」
私は高橋とリサを指さした。
高橋:「や、やっぱ俺達は別行動で……」
公一:「いいがらいいがら!明日、家の片付け手伝ってくれるんたべ?んだったら、今から礼ばさせてもらっから」
高橋:「さ、サーセン」
薫:「兄さんはこれから小牛田さ帰ェるんだから、アルコールばダメだど?」
公一:「分がってるって。俺はノンアルビールだっちゃ」
リサもジュースである。
公一:「んで、カンパーイ!」
乾杯が始まり、愛原家の夕食会が始まった。
尚、宴会プランではあるが、内容からして1番安いものであるようだ。
それでも……。
リサ:「食べ放題じゃないの?」
学:「違うよ」
公一:「はっはっは!ほりェ、わしのも食え!」
孫に料理を分け与えるお祖父ちゃんの役をしっかりやる公一伯父さん。
高橋:「何だか羨ましいっスね」
愛原:「そうか?」
高橋:「俺は家庭に恵まれなかったもんでェ……」
リサ:「私はもっと恵まれなかったよ?」
高橋:「いや、オメーの場合は仲睦まじい家族だったのに、それを外から来たアンブレラの連中にブッ壊されたって話だろ?俺は違ェんだよ」
公一:「学は時々ブッ飛ぶヤツだけんど、よろしくやってくれな?」
高橋:「ははっ、お任せを!教授!」
愛原:「だから、元教授だって」
薫:「でも兄さん、名誉教授としての籍はあるんでしょ?」
公一:「名ばかりで、大したこと無ェよ」
薫:「『枯れた苗を元の苗に戻す化学肥料』なんて作っといて?」
公一:「したっけ、変な製薬会社が買い付けに来て大変だったんだァ。あれは俺が墓場まで持ってくからや」
愛原:「『枯れた苗を元の苗に戻す』!?そんなことができるの!?」
高橋:「教授……いや、名誉教授!パネェっすね!?」
公一:「居眠りしながら農薬ば合成する実験したっけ、何かいつの間にかできてたんだなや」
とんでもない教授である。
もしも毒ガスが発生したり、爆発なんかしたらどうしたのだろう?
でも……。
愛原:「伯父さん、もしかして、『実験で造られた化け物を元の人間に戻す』なんてのも可能?」
公一:「モノにもよっけど、理屈の上なら可能だべ」
そうか、可能なのか。
農学部の元教授とはいえ、理系の科学者がそう言っているのならそうなのだろう。
善場主任達は、そのアテを見つけたらしいのだ。
公一:「映画の話だど」
愛原:「ああ、だよね」
[同日21:00.天候:晴 同地区内 ホテル東横イン仙台駅西口中央]
夕食会が終わった私達は伯父さんと別れ、ホテルに戻った。
高橋:「先生、お風呂にお湯入れてますんで」
愛原:「悪いな」
私はテレビのチャンネルを回した。
愛原:「おっ、ニュースをやっている」
〔「……仙台市若林区○○で起きました爆発事故ですが、現場となった空き家の調査に入った警察官や消防職員が行方不明になっています」〕
愛原:「は?」
高橋:「えっ?」
〔「現場となった空き家には地下室があり、そこに放置されていた爆発物が何らかの理由により爆発したのが原因と見られ、詳しい調査に入った警察官や消防職員が行方不明になりました。現場からは人骨らしき物も多数発見されており、警察では……」〕
高橋:「旧アンブレラの関係者の屋敷跡っスよね?」
愛原:「らしいな」
高橋:「爆発したらそれで終わりってわけじゃないんスね」
愛原:「そのようだな」
何らかのブービートラップがまだ稼働していて、それに引っ掛かったか、あるいは……BOWはいないものと信じたい。
愛原:「変わった仕掛けはあの屋敷にはあったんだ。もしかしたら、中にはデストラップなんかもあったのかもしれないな」
高橋:「何しろ旧アンブレラに追われてた一家でしょう?その可能性は大っスね。てか先生、あの屋敷を探検したことがあるんですよね?」
愛原:「ああ。確かに変わった仕掛けがあったよ。トラップじゃなくて良かった」
高橋:「どんなのですか?」
愛原:「暖炉の中に変な取っ手があって、それを引っ張ると、隠し部屋のドアが開いたんだ。そこは納戸になっていて、中には何も無かったけど、地下へ下りる梯子はあったな」
高橋:「下りたんですか?」
愛原:「下りたね。……ああ!確かに、何かガスボンベみたいなのがあったな!それが爆発したのか!?」
高橋:「下りた先にはボンベ以外に何があったんですか?」
愛原:「更に奥に向かう通路があったんだけど、水が溜まってて行けなかった。そもそも真っ暗だったし」
なので私と他の友人達はそこで探検を断念して、屋敷をあとにしたというわけだ。
愛原:「あっ、そうだ」
高橋:「何スか?」
愛原:「いや、梯子を登って、またリビングに戻ろうとした時、水路の奥から変な音が聞こえたんだ。不気味な音だったから、皆して急いで出たな。今から思えば……あれはBOWの唸り声だったのかもしれない」
私はそこまで言って背筋が寒くなるのを感じた。
あの時、水路を無理を進もうとしたならば、もしかしたら私はここにいなかったかもしれない。
水路があったから助かったのか、或いは水路を唸り声の主が進んで来ていたのか、それはさすがに分からない。
しかし、それからもう30年近く経っているはずなのだ。
もし仮にBOWがいたとしても、もう生きているはずがない。
高橋:「テレビで言ってた行方不明者は、BOWに食われたと?」
愛原:「だってあれから30年近くだで?生きてるわけねーだろ」
誰かが定期的に食料を提供していなければな。
だからBOWとかではなく、トレヴァー家の御家芸とされる仕掛けに引っ掛かってしまったのかもしれない。
愛原:「あくまでも立入禁止が続行されるのは、あの『お化け屋敷』の近辺だけだ。明日には実家も含めて、大部分が規制解除になる。取りあえず『お化け屋敷』のことは置いといて、家の片付けに専念しよう」
高橋:「了解っス」
私は高橋とリサを連れ、両親や公一伯父さんと共に夕食を取ることにした。
ホテルのすぐ近くに“五橋横丁”というのがあり、そこの一画にある牛タン店に入った。
しっかり予約しているらしく、個室に通された。
愛原公一:「弟夫婦の無事を喜んで乾杯だべ!」
愛原薫:「兄さん、俺達の無事ば喜んでけるのは嬉しいけど、死傷者ば多ぐ出てる事故だで、あんま盛り上がんねー方がいいんでねぇが?」
公一:「んだから、身内だけでやるんでねーの」
愛原学:「いや、外部の人間もしれっといますけど?」
私は高橋とリサを指さした。
高橋:「や、やっぱ俺達は別行動で……」
公一:「いいがらいいがら!明日、家の片付け手伝ってくれるんたべ?んだったら、今から礼ばさせてもらっから」
高橋:「さ、サーセン」
薫:「兄さんはこれから小牛田さ帰ェるんだから、アルコールばダメだど?」
公一:「分がってるって。俺はノンアルビールだっちゃ」
リサもジュースである。
公一:「んで、カンパーイ!」
乾杯が始まり、愛原家の夕食会が始まった。
尚、宴会プランではあるが、内容からして1番安いものであるようだ。
それでも……。
リサ:「食べ放題じゃないの?」
学:「違うよ」
公一:「はっはっは!ほりェ、わしのも食え!」
孫に料理を分け与えるお祖父ちゃんの役をしっかりやる公一伯父さん。
高橋:「何だか羨ましいっスね」
愛原:「そうか?」
高橋:「俺は家庭に恵まれなかったもんでェ……」
リサ:「私はもっと恵まれなかったよ?」
高橋:「いや、オメーの場合は仲睦まじい家族だったのに、それを外から来たアンブレラの連中にブッ壊されたって話だろ?俺は違ェんだよ」
公一:「学は時々ブッ飛ぶヤツだけんど、よろしくやってくれな?」
高橋:「ははっ、お任せを!教授!」
愛原:「だから、元教授だって」
薫:「でも兄さん、名誉教授としての籍はあるんでしょ?」
公一:「名ばかりで、大したこと無ェよ」
薫:「『枯れた苗を元の苗に戻す化学肥料』なんて作っといて?」
公一:「したっけ、変な製薬会社が買い付けに来て大変だったんだァ。あれは俺が墓場まで持ってくからや」
愛原:「『枯れた苗を元の苗に戻す』!?そんなことができるの!?」
高橋:「教授……いや、名誉教授!パネェっすね!?」
公一:「居眠りしながら農薬ば合成する実験したっけ、何かいつの間にかできてたんだなや」
とんでもない教授である。
もしも毒ガスが発生したり、爆発なんかしたらどうしたのだろう?
でも……。
愛原:「伯父さん、もしかして、『実験で造られた化け物を元の人間に戻す』なんてのも可能?」
公一:「モノにもよっけど、理屈の上なら可能だべ」
そうか、可能なのか。
農学部の元教授とはいえ、理系の科学者がそう言っているのならそうなのだろう。
善場主任達は、そのアテを見つけたらしいのだ。
公一:「映画の話だど」
愛原:「ああ、だよね」
[同日21:00.天候:晴 同地区内 ホテル東横イン仙台駅西口中央]
夕食会が終わった私達は伯父さんと別れ、ホテルに戻った。
高橋:「先生、お風呂にお湯入れてますんで」
愛原:「悪いな」
私はテレビのチャンネルを回した。
愛原:「おっ、ニュースをやっている」
〔「……仙台市若林区○○で起きました爆発事故ですが、現場となった空き家の調査に入った警察官や消防職員が行方不明になっています」〕
愛原:「は?」
高橋:「えっ?」
〔「現場となった空き家には地下室があり、そこに放置されていた爆発物が何らかの理由により爆発したのが原因と見られ、詳しい調査に入った警察官や消防職員が行方不明になりました。現場からは人骨らしき物も多数発見されており、警察では……」〕
高橋:「旧アンブレラの関係者の屋敷跡っスよね?」
愛原:「らしいな」
高橋:「爆発したらそれで終わりってわけじゃないんスね」
愛原:「そのようだな」
何らかのブービートラップがまだ稼働していて、それに引っ掛かったか、あるいは……BOWはいないものと信じたい。
愛原:「変わった仕掛けはあの屋敷にはあったんだ。もしかしたら、中にはデストラップなんかもあったのかもしれないな」
高橋:「何しろ旧アンブレラに追われてた一家でしょう?その可能性は大っスね。てか先生、あの屋敷を探検したことがあるんですよね?」
愛原:「ああ。確かに変わった仕掛けがあったよ。トラップじゃなくて良かった」
高橋:「どんなのですか?」
愛原:「暖炉の中に変な取っ手があって、それを引っ張ると、隠し部屋のドアが開いたんだ。そこは納戸になっていて、中には何も無かったけど、地下へ下りる梯子はあったな」
高橋:「下りたんですか?」
愛原:「下りたね。……ああ!確かに、何かガスボンベみたいなのがあったな!それが爆発したのか!?」
高橋:「下りた先にはボンベ以外に何があったんですか?」
愛原:「更に奥に向かう通路があったんだけど、水が溜まってて行けなかった。そもそも真っ暗だったし」
なので私と他の友人達はそこで探検を断念して、屋敷をあとにしたというわけだ。
愛原:「あっ、そうだ」
高橋:「何スか?」
愛原:「いや、梯子を登って、またリビングに戻ろうとした時、水路の奥から変な音が聞こえたんだ。不気味な音だったから、皆して急いで出たな。今から思えば……あれはBOWの唸り声だったのかもしれない」
私はそこまで言って背筋が寒くなるのを感じた。
あの時、水路を無理を進もうとしたならば、もしかしたら私はここにいなかったかもしれない。
水路があったから助かったのか、或いは水路を唸り声の主が進んで来ていたのか、それはさすがに分からない。
しかし、それからもう30年近く経っているはずなのだ。
もし仮にBOWがいたとしても、もう生きているはずがない。
高橋:「テレビで言ってた行方不明者は、BOWに食われたと?」
愛原:「だってあれから30年近くだで?生きてるわけねーだろ」
誰かが定期的に食料を提供していなければな。
だからBOWとかではなく、トレヴァー家の御家芸とされる仕掛けに引っ掛かってしまったのかもしれない。
愛原:「あくまでも立入禁止が続行されるのは、あの『お化け屋敷』の近辺だけだ。明日には実家も含めて、大部分が規制解除になる。取りあえず『お化け屋敷』のことは置いといて、家の片付けに専念しよう」
高橋:「了解っス」
あの三菱ふそう製なら、さもありなんって感じだけど、これは違うな。
いすゞか日野製だろう。
あとそれよりも私が気になったのは、「乗客4人」という客の少なさだ。
どこへ行ったか、GoToキャンペーン……。
・千位は所属する営業所を表す
1:奥戸営業所、2:市川営業所、3:松戸営業所、
4:新都心営業所、5:千葉営業所、8:金町営業所、
0:習志野出張所、E:江戸川営業所、
H:新習志野高速営業所、N:長沼営業所。
・百位はシャーシのメーカーを表す。
1・2:いすゞ、3・6:三菱ふそう、4・5:日野(トヨタを含む)、
7:日産ディーゼル(日産を含む)。
?十位と一位は車両の導入順に付けられる番号。
ですから,新習志野高速営業所所属のいすゞ製です。
さすが詳しいですね!何かでお調べになったんですか?
原因は不明ですが、まさかいすゞ製のバスが燃えるなんてびっくりですね。
車種は違うものの、昨日は同じメーカーのバスに乗ったもので。