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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「ペンションをチェックアウト」

2025-02-03 20:22:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日08時30分 天候:晴 群馬県吾妻郡東吾妻町某所 ペンション『いたち草』3階301号室]

 朝食が終わり、私とリサはコーヒーやジュースのお代わりを執事から受けていた。
 食べ終わった食事は、アルバイトと思しき若い男がワゴンに乗せて運んで行った。

 執事「さて、愛原様。私に質問したい事とは、何でございましょうか?」
 愛原「実は私は、15年弱くらい前、あなたの弟さんに殴られて気絶したようです」
 リサ「ええっ!?」
 愛原「長野県白馬村の屋敷は、もう無いんですよね?」
 執事「はい。既にあの屋敷は取り壊され、更地になっていると伺ってございます。土地の所有者も変わり、現在ではインバウンド政策に乗じ、新たなホテルの建設工事が始まっているとか……」
 愛原「あの屋敷を訪れた時、私はあなたの弟に殴られて気絶させられ、屋敷の警備員達によってどこかに連れて行かれた。私の記憶が無いのは、そのせいだとあの映像を観て分かった。私がどこに連れて行かれ、何をされたか、あなたは御存知ですか?」
 執事「私の弟が愛原様にとんでもないことをしてしまい、申し訳ございません。ですが、申し訳ないことに、私もあの屋敷の事については詳しく存じないのです。あの屋敷は白井本部長の管轄にあり、研究部門の統括担当は副社長でした。ですが私は長年、社長秘書の方を務めてございまして、他の役員の担当については詳しく存じ上げません」
 愛原「どうしても知らないと?」
 執事「ですので、社長も警察の取り調べなどにロクに答えることができなかったようです。その……こういう言い方は乱暴ですが、社長はお飾りの状態だったので。アンブレラコーポレーション・インターナショナル日本支部のお飾り支部長としての存在だったと……こういうわけです」
 愛原「あの屋敷のことについて何か詳し……ああっ!」

 そこで私は気づいた。
 何でこんなことに気づかなかったのだろう。

 愛原「あなたの弟はまだ生きているんですよね!?」
 執事「は、はい。千葉刑務所で懲役10年の刑を受けまして、服役中でございます」
 愛原「千葉刑務所か……」

 初犯ではあるが、いきなり10年以上の長い懲役刑を受けた者が収監される刑務所である。
 それに対し、懲役5年の刑を受けた五十嵐元社長は、初犯で懲役10年未満の者が収監される府中刑務所にいたとのこと。

 愛原「弟さんのお名前は?」
 執事「沖野献と申します。因みに私は、沖野貢と申します」
 愛原「2人合わせて、『貢献』か」
 執事「さようでございます。アンブレラに貢献することが我が国、引いては世界の人々の為に貢献することになると信じておりましたが、実態は御存知の通りでございました」
 愛原「それは残念でしたな。あなたの弟さんに直接面会して、真相を聞こうと思います」
 リサ「でも先生、面会は家族とか親族とか、弁護士さんとか、顔見知りの人でないとできないんじゃ?」
 愛原「そこでまずは、手紙のやり取りさ。兄であるあなたにも協力して頂きたいのですが」
 執事→沖野「は、何でございましょう?」
 愛原「あなたと弟さんの兄弟仲はどうでしたか?悪い方でしたか?それとも良かった方?」
 沖野「恐らく普通だったと思います。子供の頃はよくケンカもしましたが、絶交するほどのケンカはしませんでしたし、逮捕前は親族の集まりがあると、一緒に顔を出しておりましたので。とはいえ、しょっちゅう顔を合わせるわけでもありませんでした」
 愛原「では、あなたが弟さんに手紙を出して、私との面会を斡旋して頂くことで、弟さんが受けてくれる可能性はありますか?」
 沖野「あると思います。……承知致しました。直ちに弟に手紙を書いて、愛原様の面会を受けるように伝えておきます」
 愛原「ありがとう。私も手紙を書いてみるけど、なるべく急ぎ……速達でお願いできるかな?」
 沖野「かしこまりました」
 愛原「気絶した私を連れて行った警備員達は、今どうしているか分かりますか?」
 沖野「恐らく警備員達というのは、JUSS(日本アンブレラセキュリティサービス)の警備員達ですね。残念ですが、こちらも存じ上げません。その警備会社もアンブレラ100%出資の子会社ということもあり、同じく信用を失って倒産してしまったものですから。再就職もままならなかったと聞いております」

 慢性的な人手不足の警備業界だ。
 普通は同業他社から引く手があるだろうが、さすがに火中の栗を拾うことはしたくなかったようだ。

 愛原「分かりました」
 沖野「それでは私は、弟への手紙をしたためて参ります」
 愛原「ありがとう」

[7月2日09時30分 天候:晴 ペンション『いたち草』駐車場]

 チェックアウトした私達は、駅まで送ってもらえることになった。
 車はトヨタのプロボックスである。
 しかし、運転席や助手席のドアの所には、『ペンション いたち草』という文字が書かれていた。
 送迎しようと思えば、できるのではないか。
 私とリサはリアシートに乗り込み、執事の沖野氏が運転席に乗り込む。
 これが高級車ならサマになるだろうに、4ナンバーの商用車という辺りが何ともミスマッチだ。

 沖野「最終的には駅まで送らせて頂きますが、立ち寄らせて頂きたい所がございます」
 愛原「どこですか?」

 すると沖野氏は、私に封筒を見せた。

 沖野「御依頼通り、弟宛ての手紙をしたためさせて頂きました。速達で送付する御用意もできてございます」

 確かに封筒には上部に赤い線が入り、『速達』と赤字で書かれていた。

 沖野「ですが、切手がございません。途中で切手を購入し、ポストに投函する所を見届けて頂きたいのです。これがせめてもの、私の愛原様に対する誠意でございます」
 愛原「分かりました。そういうことでしたら、それでお願いします」
 沖野「かしこまりました。その後で、駅まで送らせて頂きます」
 愛原「分かりました」

 沖野氏は車を発進させた。
 舗装はされているが、1車線だけの狭い道を走る。
 対向車が来たらアウトだが、ペンションに用のある者しか通らない道なので、滅多なことでは対向車と遭遇することはないという。
 善場係長への電話報告は、駅に着いてからしようと思った。
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“私立探偵 愛原学” 「一夜明けたペンション『いたち草』」

2025-02-03 15:18:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日07時00分 天候:晴 群馬県吾妻郡東吾妻町某所 ペンション『いたち草』301号室]

 

 枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
 電波は入らないものの、それ以外の機能なら使える。
 私は手を伸ばしてアラームを止めた。
 隣のベッドではリサが寝ている。
 麻酔がよく効いているらしく、夜中に起き出すことは無かった。
 私は起き上がると、バスルームに向かった。
 最初に入室した205号室にはトイレと洗面所しか無かったが、それより豪華な301号室はバスルームがある。
 温泉に入ろうかとも思ったが、リサを1人にしておくのはどうかと思い、それは諦めた。
 ただ昨夜、執事が貸切風呂を解放してくれたので、昨夜はそこに入った。
 その前に入った大浴場をコンパクトにした感じで、家族風呂としてはちょうど良い感じであった。
 バスルームの洗面所で顔を洗ったり、トイレを済ませる。
 戻ると、リサはまだ寝ているが、寝返りを打ったりしているので、そろそろ目が覚めるだろう。

 愛原「リサ、そろそろ起きろ」

 私がリサの肩を布団の上から揺すった。

 リサ「ウ……」
 愛原「!?」
 リサ「ウガァァッ!!」

 リサは鬼形態のまま飛び起きた。
 が、すぐに赤い瞳を私の方に向けて剥いた牙を隠す。

 リサ「あ……先生」
 愛原「寝ぼけてるんじゃない!もう朝だぞ!」
 リサ「朝……?朝ぁっ!?」
 愛原「そうだよ。さすがに今日は天気がいい」

 私はシャッとカーテンを開けた。
 梅雨晴れの強い朝日が部屋に差し込んで来る。

 リサ「うお、眩しッ!」

 リサは昨日着てた服のまま寝ていた。
 まあ、脱がすわけにも行かなかったし……。

 愛原「お前も早く朝の支度をしろ。朝8時に朝食が来るから」
 リサ「はーい」

 リサはベッドから起き上がった。

 リサ「うわ、制服のまま!」
 愛原「しょうがないだろ。脱がすわけにはいかなかったし……」
 リサ「先生ならいいのに……。とはいえ、ちょっと臭っ」

 リサの体臭が強くなっていた。
 自分でも分かるほどに。
 昨夜、両親による自分の製造工程を観てオ○ニーしていたからだろう。

 愛原「シャワーでも浴びろよ。この部屋、シャワー付いてるから」
 リサ「ホントだ!部屋が違う!」
 愛原「昨夜の斉藤さんの部屋を使わせてもらうことになったんだよ。こっちの方が広いしな」
 リサ「ふーん……」

 リサは自分の荷物の中から替えの下着を取ると、臭う服を脱ぎ始めた。

 愛原「おいおい、バスルームの中で脱げよ」
 リサ「いいじゃない。わたし達、夫婦なんだから」
 愛原「オマエ、まだ17歳だろ」
 リサ「魂の年齢は五十ン歳」

 リサは結局、上のポロシャツだけ脱いだ。
 その下は白系のブラを着けている。

 リサ「あーあ。白だと汚れが目立つんだよねぇ……」

 リサはブツクサ言いながら、バスルームの中に入って行った。
 今着ていた下着は普通の4/3カップブラと、ショーツだったが、着替えとして持って行った下着は黒のカルバンクラインだった。
 バスルームの中からシャワーの音が聞こえた時、部屋の内線電話が鳴った。
 洋風のアンティークなデザインのダイヤル式電話である。
 なので着信音もジリジリベルである。

 愛原「はい、もしもし?」
 執事「おはようございます。フロントでございます。御朝食は予定通り、8時で宜しゅうございますか?」
 愛原「あ、はい。それでお願いします」
 執事「かしこまりました。それで御相談なのですが、チェックアウトの御予定は何時になさいますか?」
 愛原「そうだなぁ……。ここは10時だったよね?」
 執事「さようでございます」
 愛原「このペンションの最寄りの駅から、10時台の高崎方面の電車に乗りたいとは思っているよ」
 執事「かしこまりました。実は御主人様を警察署にお迎えに参るに当たり、ついでと言っては何ですが、愛原様方を駅までお送りできればと思いまして……」
 愛原「あ、そうなんだ」

 結局、オーナーは警察署に一晩泊められたらしい。

 執事「設備の不具合について、建築基準法とか、消防法とか、そういうことを警察は捜査したがっているようなので、その前にチェックアウトされることをオススメします」
 愛原「分かりました。では、是非車に乗せてください」
 執事「かしこまりました。では、後ほど御朝食をお持ち致します」
 愛原「宜しくお願いします」

 電話を切ってから、私は首を傾げた。
 このペンションのシェフでもあるオーナーは警察署に留置されているのに、朝食は誰が作ってくれるのだろうかと。

[同日08時00分 天候:晴 同ペンション301号室]

 リサは予想通り、カルバンクラインなら平気とばかり、その下着上下だけでバスルームから出て来た。
 そして、バッグの中から着替えのブラウスを取り出して着替えた。
 ポロシャツは1着しか持ってきていなかった為、着替えとしてのもう1着は半袖のブラウスだ。
 替えのスカートは無いのだが、仕方が無い。

 リサ「あーあ、スカート少しシワになってる」
 愛原「スカートの替えなら、家にあっただろう。それは後でクリーニングだな」
 リサ「うん」

 という会話をしていると、部屋のドアがノックされた。

 執事「失礼します。おはようございます。御朝食をお持ち致しました」

 ワゴンに乗せて、執事が朝食を運んで来る。

 

 オムレツとウィンナーと生野菜だった。
 他にロールパンが2つ。
 オーソドックスな朝食だった。
 聞くとこれは、執事が代わりに作ったものだという。

 執事「お飲み物は何になさいましょう?」
 愛原「コーヒーを」
 リサ「オレンジジュース」
 執事「かしこまりました」

 執事は、まるで車内販売のワゴンに乗っているようなポットからコーヒーを注いだ。
 オレンジジュースに至っては、ミニッツメイド。

 執事「それでは、ごゆっくりお過ごしください」
 愛原「ありがとう。……後で話、いいかな?」
 執事「は、かしこまりました」

 執事は頷くと、空になったワゴンを押して退室した。
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