[7月10日14:03.天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、大宮です。東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、北海道新幹線、宇都宮線、埼京線、川越線、京浜東北線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。大宮の次は、上野に止まります〕
新幹線が新潟県を出る頃、雨が降り出してきた。
しかも、今は雷付きだ。
どうやら、“魔の者”に新幹線に乗ったことがバレたらしい。
新幹線を止めんとばかりに雷を鳴らしてくるが、どうも海外から操作しているらしく、ネット回線と違ってインフラが貧弱なのか上手いこと雷を落とすことができないらしい。
この事から、“魔の者”はやはり、日本国内に入ることができないようだ。
〔「大宮でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。大宮駅13番線に入ります。お出口は、右側です。お降りの際、お忘れ物の無いよう、ご注意ください。本日、傘のお忘れ物、多くなっております。よくお確かめください」〕
列車は雨に濡れながら、大宮駅、新幹線上り副線ホームに入線した。
本線ホームの14番線は、東北新幹線系統が使用する。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。13番線に到着の電車は、上越新幹線“とき”320号、東京行きです。次は、上野に止まります」〕
勇太達はここで列車を降りた。
停車時間が短い為か、エスカレーターに乗る頃には既に発車ベルが鳴り響いている。
大宮駅の在来線ホームは全て発車メロディ(回送列車を除く)だが、新幹線ホームはベルである。
勇太:「参ったなぁ……。あちこちに影響が出始めちゃってる」
“魔の者”が下手な鉄砲を数撃っているせいで、地方の線区に影響が出始めていた。
『上越線【運転見合わせ】 上越線は大雨の影響により、○○~××間で運転を見合わせています。運転再開のメドは立っていません』『吾妻線【運転見合わせ】 吾妻線は大雨の影響により、渋川~大前間で運転を見合わせております。【以下略】』『信越本線【遅延】 信越本線は大雨の影響により、高崎~横川間で遅れが発生しています』
マリア:「京浜東北線は?」
勇太:「通勤電車の方は大丈夫みたい」
マリア:「油断はできないから、急ごう」
勇太:「そうだね」
2人は新幹線改札口を出ると、在来線コンコースに出た。
中距離電車の方にも少なからず影響は出ているのか、発車標を見ると、『遅れ5分』とか『遅れ10分』とか出ている。
そこまで長い距離を走るわけではない通勤電車、埼京線や京浜東北線の方には影響は無いみたいだが、川越線もそろそろヤバいかもしれない。
そうなると、乗り入れをしている埼京線にも影響が出ることとなる。
2人は急ぎ足で、京浜東北線のホームに向かった。
勇太:「あれ?」
京浜東北線のホームに降りると、雨が止んでいた。
しかも、雲間から暑い夏の日差しが覗き始めている。
勇太:「晴れたよ!?」
マリア:「どうやら私達がこの駅で降りたものだから、『上京するわけではない』と安心したのかもしれないな。それか、打ち止めになったか」
勇太:「そうなんだ」
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。1番線に停車中の電車は、14時19分発、快速、大船行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
とはいうものの、これから乗り換える京浜東北線。
反対側の終点まで走り通す電車であるが、大丈夫だろうか?
南浦和駅までは前の車両ほど混んでいるので、なるべく後ろの車両……最後尾の車両に乗り込んだ。
〔この電車は京浜東北線、快速、大船行きです〕
〔This is the Keihin-Tohoku line rapid service train for Ofuna.〕
自動放送が流れた後、車掌が乗務員室と客室との間のドアを少しだけ開ける。
〔「ご案内致します。この電車は14時19分発、京浜東北線、南浦和、川口、王子、田端、上野、東京方面、根岸線直通、快速、大船行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
スピーカーの音量を確認していたようだ。
しかし、車掌がドアを閉めると同時に、せっかく顔を出していた太陽がまた厚い雲に覆われた。
マリア:「ちっ、まだ監視してやがるのか」
マリアは舌打ちした。
どうやら、稲生達がこの電車に乗り換えたことに気づいたらしい。
もちろん勇太達は蕨駅で降りるつもりだが、電車自体は都内へ向かうわけだから……。
[同日14:19.天候:雨 JR京浜東北線1417B電車10号車内]
2番線に、次の折り返し電車が到着する。
それを合図にするかのように、発車メロディが流れ始めた。
2番線のとは違い、随分と大人しめな曲調である。
さいたま市の市歌“希望(ゆめ)のまち”から取っているらしい。
原曲自体は、もっと元気な歌なのであるが……。
〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車は1回でドアを閉めることができた。
駆け込み乗車は無かったということだ。
駆け込もうとして失敗した客はいたかもしれないが。
大宮駅の京浜東北線ホームには、まだホームドアが無い。
なので、電車のドアが閉まり切れば、すぐに発車する。
尚、設置準備はされているので、そのうち設置するつもりではあるようだ。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は京浜東北線、快速、大船行きです。停車駅は田端までの各駅と、上野、御徒町、秋葉原、神田、東京、浜松町、浜松町から先の各駅です。次はさいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕
電車が上屋のある駅構内から外に出ると、再び降り出して来た大雨に当たった。
雨が止んだからと、換気の為に窓を開けた乗客がいたが、これではまた閉めざるを得なかった。
勇太:「まあ、僕達が降りたら、また止むよ」
マリア:「そうだな」
“魔の者”に、今日の旅の目的が帰省であると分からせれば良いのだ。
だが結局、猜疑心の強い“魔の者”は、勇太達が蕨駅の外に出るまで、雷雨を降らせ続けたのである。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、大宮です。東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、北海道新幹線、宇都宮線、埼京線、川越線、京浜東北線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。大宮の次は、上野に止まります〕
新幹線が新潟県を出る頃、雨が降り出してきた。
しかも、今は雷付きだ。
どうやら、“魔の者”に新幹線に乗ったことがバレたらしい。
新幹線を止めんとばかりに雷を鳴らしてくるが、どうも海外から操作しているらしく、
この事から、“魔の者”はやはり、日本国内に入ることができないようだ。
〔「大宮でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。大宮駅13番線に入ります。お出口は、右側です。お降りの際、お忘れ物の無いよう、ご注意ください。本日、傘のお忘れ物、多くなっております。よくお確かめください」〕
列車は雨に濡れながら、大宮駅、新幹線上り副線ホームに入線した。
本線ホームの14番線は、東北新幹線系統が使用する。
〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。13番線に到着の電車は、上越新幹線“とき”320号、東京行きです。次は、上野に止まります」〕
勇太達はここで列車を降りた。
停車時間が短い為か、エスカレーターに乗る頃には既に発車ベルが鳴り響いている。
大宮駅の在来線ホームは全て発車メロディ(回送列車を除く)だが、新幹線ホームはベルである。
勇太:「参ったなぁ……。あちこちに影響が出始めちゃってる」
“魔の者”が下手な鉄砲を数撃っているせいで、地方の線区に影響が出始めていた。
『上越線【運転見合わせ】 上越線は大雨の影響により、○○~××間で運転を見合わせています。運転再開のメドは立っていません』『吾妻線【運転見合わせ】 吾妻線は大雨の影響により、渋川~大前間で運転を見合わせております。【以下略】』『信越本線【遅延】 信越本線は大雨の影響により、高崎~横川間で遅れが発生しています』
マリア:「京浜東北線は?」
勇太:「通勤電車の方は大丈夫みたい」
マリア:「油断はできないから、急ごう」
勇太:「そうだね」
2人は新幹線改札口を出ると、在来線コンコースに出た。
中距離電車の方にも少なからず影響は出ているのか、発車標を見ると、『遅れ5分』とか『遅れ10分』とか出ている。
そこまで長い距離を走るわけではない通勤電車、埼京線や京浜東北線の方には影響は無いみたいだが、川越線もそろそろヤバいかもしれない。
そうなると、乗り入れをしている埼京線にも影響が出ることとなる。
2人は急ぎ足で、京浜東北線のホームに向かった。
勇太:「あれ?」
京浜東北線のホームに降りると、雨が止んでいた。
しかも、雲間から暑い夏の日差しが覗き始めている。
勇太:「晴れたよ!?」
マリア:「どうやら私達がこの駅で降りたものだから、『上京するわけではない』と安心したのかもしれないな。それか、打ち止めになったか」
勇太:「そうなんだ」
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。1番線に停車中の電車は、14時19分発、快速、大船行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
とはいうものの、これから乗り換える京浜東北線。
反対側の終点まで走り通す電車であるが、大丈夫だろうか?
南浦和駅までは前の車両ほど混んでいるので、なるべく後ろの車両……最後尾の車両に乗り込んだ。
〔この電車は京浜東北線、快速、大船行きです〕
〔This is the Keihin-Tohoku line rapid service train for Ofuna.〕
自動放送が流れた後、車掌が乗務員室と客室との間のドアを少しだけ開ける。
〔「ご案内致します。この電車は14時19分発、京浜東北線、南浦和、川口、王子、田端、上野、東京方面、根岸線直通、快速、大船行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
スピーカーの音量を確認していたようだ。
しかし、車掌がドアを閉めると同時に、せっかく顔を出していた太陽がまた厚い雲に覆われた。
マリア:「ちっ、まだ監視してやがるのか」
マリアは舌打ちした。
どうやら、稲生達がこの電車に乗り換えたことに気づいたらしい。
もちろん勇太達は蕨駅で降りるつもりだが、電車自体は都内へ向かうわけだから……。
[同日14:19.天候:雨 JR京浜東北線1417B電車10号車内]
2番線に、次の折り返し電車が到着する。
それを合図にするかのように、発車メロディが流れ始めた。
2番線のとは違い、随分と大人しめな曲調である。
さいたま市の市歌“希望(ゆめ)のまち”から取っているらしい。
原曲自体は、もっと元気な歌なのであるが……。
〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車は1回でドアを閉めることができた。
駆け込み乗車は無かったということだ。
駆け込もうとして失敗した客はいたかもしれないが。
大宮駅の京浜東北線ホームには、まだホームドアが無い。
なので、電車のドアが閉まり切れば、すぐに発車する。
尚、設置準備はされているので、そのうち設置するつもりではあるようだ。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は京浜東北線、快速、大船行きです。停車駅は田端までの各駅と、上野、御徒町、秋葉原、神田、東京、浜松町、浜松町から先の各駅です。次はさいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕
電車が上屋のある駅構内から外に出ると、再び降り出して来た大雨に当たった。
雨が止んだからと、換気の為に窓を開けた乗客がいたが、これではまた閉めざるを得なかった。
勇太:「まあ、僕達が降りたら、また止むよ」
マリア:「そうだな」
“魔の者”に、今日の旅の目的が帰省であると分からせれば良いのだ。
だが結局、猜疑心の強い“魔の者”は、勇太達が蕨駅の外に出るまで、雷雨を降らせ続けたのである。