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俳人杉田久女(考)、旅行記&つれづれ記、お出かけ記など。

俳人杉田久女(考) ~悲願の『杉田久女句集』出版~(81)

2016年11月13日 | 俳人杉田久女(考)

久女の死後、昭和27(1952)年に角川書店から高浜虚子の序文とともに『杉田久女句集』が出版されました。この句集こそ、久女生前の悲願が結実したものでした。
<『杉田久女句集』>

文庫本サイズの小さな句集で、収録句は1401句、最後に長女石昌子さんの「母久女の思い出」と年譜が載せられています。全部で175ページ、1ページに10句掲載され、装幀は池上浩山人でした(上の写真は久女展の図録を写しました)。


私はこの句集をH.23年の「花衣 俳人杉田久女」展で見ました。ネット古書店でみるとこの本は値段が高く、又、手に入れにくいらしく、私が現在持っているのは、北九州市立文学館が発行している下の『杉田久女句集』です。内容は上の角川書店発行のものと同じで
す。


虚子は序文とともに、悼久女と前書きがある下の悼句を寄せています。

       「 思い出し 悼む心や 露滋し      虚子 」


最初のページに、上の虚子の自筆悼句が印刷されています。
<最初のページに載っている虚子の悼句>

そして目次があり、その次のページに久女が熱望してやまなかった虚子の序文が載っています。しかし今日、この序文も何かと問題の多い文章だと久女研究者達に言われているようです。この序文については後の記事でふれましょう。


久女の長女石昌子さんは、久女の没後すぐに母から託された句集出版を決心しました。

昌子さんは、久女の師高浜虚子に母の死を知らせる手紙を書き、小倉からの荷物の中にあった墨書の遺句稿を原稿用紙に清書することから始めました。墨書のままでは印刷に廻しにくいのと句稿の散逸を恐れてのことだと思います。句稿は巻紙に美しい筆跡で墨書してありました((71)の記事の写真)。その後、
虚子から返事が来て7か月後に悼句をおくられました。

久女存命中は幾度懇願しても句集出版を許さなかった高浜虚子でしたが、受け取った句稿に目を通し、選句をして序文を与えました。

この様に久女の死後、彼女の長女昌子さんの懇請と尽力が実り、また関わりのある多くの人々の力添えで、
ようやく句集出版の運びとなりました。久女の死後六年余のことでした。

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