長崎市から202号線で西彼杵半島を北上すると、左手に海が広がり、さらに走り続けること4、50分、外海(そとめ)地区に入ります。海にせり出した斜面に、初夏の陽射しを浴びて遠藤周作文学館の屋根が見えて来ました。海が背景の素晴らしい場所に建つ、瀟洒な外観の文学館です。
<遠藤周作文学館>
ここ外海地区は遠藤周作の代表作、『沈黙』の舞台であり、執筆中に彼がたびたび訪れたキリシタンの里でもある事、そして彼が「ここは神様が僕のためにとっておいてくれた場所」と言って、外海地区の景観をとても気に入っていたこと等が縁になり、彼の死後、夫人の協力のもと、ここに文学館が設立されたのだそうです。
館内に入るとエントランスホール正面に、笑いをかみころした様な、又少し気取った様な、大きな遠藤周作の肖像写真が飾られています。高窓にはステンドグラス風のガラスが入っていて、何だか教会の様な感じもするエントランスホールです。ここまでが写真撮影可でした。
<エントランスホール>
展示室は遠藤周作の生涯とその足跡を辿る常設展示室と、テーマ展示室の二室で構成されている様で、純文学から狐狸庵もののエッセー、戯曲など多彩な彼の仕事が一望出来ます。
創作の苦闘の跡を感じさせる『沈黙』やその他多くの小説の草稿、小説のモデルになった人物に関するメモ、取材旅行の写真や作家達、家族と取り交わした書簡等が、詳しい説明とともに展示されていました。
遠藤周作の純文学作品はキリスト教と向き合った重苦しいものが多いですが、人を見る目に暖かさがあり、それが彼の小説の魅力になっていると思います。
彼は母親に勧められて12歳の時に受洗したのだそうですが、この事は日本人がいかにキリスト教と向き合うかを考える、彼の生涯の出発点になったようです。後に彼はこれを、「だぶだぶの洋服を和服に仕立て直す作業」をすることだと、何かに書いていたのを思い出しました。
執筆時に使っていた机や椅子などと共に、彼の聖書も展示してありましたが、思いのほか傷んでいないのが意外でした。聖書を何冊か持っておられて、展示品はそのうちの一つなのかもと、思ったりしました。どんな思いでこの聖書をめくっておられたのでしょうね~。
テラスからは果てしない凪いだ海が見渡せました。海を見ていると、忙しい日常から離れ、心が開放される様な気がし、色々な事を思いますね~。又このテラスから眺める、遠く広がる海をオレンジに染めて沈む夕陽の美しさは格別とのことです。
<テラスより>
<テラスより>
今回は行きませんでしたが、テラスからずっと向こうの山辺には出津文化村が見えました。『「旧出津救助院」「出津教会」「ド・ロ神父記念館」「外海歴史民俗資料館」「外海子ども博物館」、遠藤周作氏の「沈黙の碑」が点在する一帯を出津文化村とよんでいる』そうです(説明書より)。
<出津文化村>
この文学館では遠藤作品の映画やビデオ上映会、講演会なども行われている様です。文学館のすぐ近くには、「道の駅・夕陽が丘そとめ」がありました。
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