実両親のフランス滞在最終日、何とも秋晴れの日、家族写真を撮りに隣村のプラへ出かけてきました。ここで私、撮れなかったお宮参り代わりの着物写真をぜひ、撮りたかったのです。実両親がわざわざ着物を対で用意してくれたのに、生後1カ月目のその日は暑くて、子供を炎天下に連れ出さない方がいいという義両親の意見で家の中の記念撮影で済ませた経緯があったから、実両親が来たら神社代わりの教会へ着物を持って出かけようと思っていました。
でもね、「どんな形であれ、あちらのご両親が出向いてくれて、やったはやった。この子たちが３つになったら着物を持って日本へいらっしゃい。この着物で七五三のお祝いをしたらいい。」と諭してくれた母の一言で、何だか吹っ切れました。子供のことで自分の思い通りにできないなんて、これから幾つもいくつも出てくるでしょう。しばしジレンマを感じるけれど、こうやって少しずつ自分の中で消化して、これからの子育てを思って私も忍耐強くなっていくんだなあ。
ところで、「さあ、６人で写真を撮ろう！」と言った主人の言葉に、「６人？お父さんでしょ、お母さんでしょ、主人に私・・・あー、双子を入れて６人か。」と数えてしまった私はまだまだ、母親の自覚がないですね…。
シャモニへ戻ってきたら、すでに冬となっていました。実父が何を撮っているかって？雪ですよ、見たことがないんですから！シャモニ近辺の車で上れる一番高い「モンテ峠」の“雪深さ”を、わざわざ見に行ってきました。
体が冷えてしまったから、引き続き車を走らせて、フォルクラ峠のカフェでお茶してきました。実はここ、スイスなんです。このオフシーズンに開いているカフェを探して車を走らせたら、国を越えてしまったと言うわけ・・・と言っても、シャモニは国境の町なので、30分の距離なのですが。島国日本人からしたら、「ちょっとお隣の国へコーヒーを飲みに行ってきた」は驚きますよねえ。
もっと驚いたのは、めったに働くことのない国境警察が今日はやる気があって、国境を通過する際に私たちは止められてしまいました。まさかスイスまで行くなんて思っていなかったから、実両親にパスポートを持参するよう言わなかった私は、一人でドキドキ。結局は行き先を聞かれただけでパスポートコントロールもなかったのだけれど、危ないアブナイ。日本からの観光客は落とすのが怖くて意外とパスポートを持たずに外へ出てしまいますが、ヨーロッパでは自分を証明するＩＤカードを持参するのが基本ですよ。
えー、順番が逆ですが、昨夜は双方の両親が初めて顔合わせをしました。
「恐れることは何もない！」
これまで私は、何を怖がっていたのでしょう。国際結婚だから家族間で直接の会話は出来なくても、皆がそこに集まって一緒に食事をすることがこんなに意味を持つこととは、想像もしていませんでした。会話にならなくても一生懸命交流しようとする義父、お箸の国の人が食べられるものをと朝から台所にたってくれた義母、ちゃーんと日本からお土産を用意して場を盛り上げてくれた実両親、皆ありがとう。「言葉は通じなくても顔合わせの食事会はするべき！それだけで家族のつながりが出来るから。」と言ったのは、同じく国際結婚した友人からのアドバイス。結婚式もやらなくて、入籍してから半年以上も経っているし、義父は手術したばかりのところへ、主人の兄妹家族も平日で忙しいから、遠く実家まで訪ねて行っていいか迷いましたが、無理を押して良かった。私自身が双方を、家族と思えるのです。
キャバレールから、主人の実家のあるクレルモン・フェラン（ Clermont-Ferrand ）へやって来ました。寒ーい。南仏とフランス中央高地ではやはり、気温がぜんぜん違います。でも家では私たちの到着を、兄妹家族も全員集合して、温かく迎えてくれました。実は、私たちは結婚式をしていないので、双方の両親がここで初めて、顔合わせをしたのです。
さて、今回は少し遠回りながらも、モンペリエまで出てからクレルモンへと北上しました。だってこの高速道路、400kmは走ったのにまったく無料なんですよ。やるな、フランス！
さらには途中、世界一高い橋として知られるミヨー橋（ Viaduc de Millau ）を通過します。渓谷に架かるこの橋は、地上から道路までの高さが270ｍ、一番高い主塔は東京タワーよりも高く、早朝に川霧が発生すると雲海の上に浮かぶ橋のように見えるんですって。これ程までに高く作ったのは、周囲の景観を壊さないためなんだそうです。確かに、大自然の中にあっても、この巨大な人工物はとっても美しいものに見えました。圧巻されますから、ぜひご覧あれ。
キャバレールとも明日でお別れ。今日は大掃除だ。えぇーい、泣く子は誰だ？仕事にならんぞ！「こういう時はな、おんぶして仕事したもんだよ。」と、実父が息子をおんぶ。持ち主の私もまだやったことのない、エルゴ抱っこ紐でのおんぶ初挑戦でした。背中で揺られて、息子は楽しそう。重いと言いながら実父は、嬉しそう!?