
京都まで一弦琴のお稽古に通っていた頃、帰りには地下鉄四条烏丸駅近くのくまざわ書店によく立ち寄った。昨日は久しぶりの京都だったのでこの書店に顔を出したところ、平積みされている「奇縁まんだら」にお目にかかった。正・続が隣り合わせに並べられて「正」が10冊ぐらい積み重ねられているのに「続」が2冊しかない。「正」を手にとってぱらぱらとめくると何やら面白い。2冊しかしかない「続」が今にも売り切れてしまいそうな気になり、思い切って正・続とも買ってしまった。
実は瀬戸内寂聴さんの小説はほとんど読んでいない。手元にあるのは瀬戸内寂聴訳「源氏物語」巻一~巻十ぐらいのものである。ご縁がなかったのだろう。「続」こそ二00九年五月十五日第一刷とあるものの、「正」はもう一年も前に発行されているのに気がついていなかった。このたび新たに縁が生まれたのであろう。「はしがき」が次のように始まる。
そして続く。
この人たちの記憶を老い呆けてしまわない前に書き残しておこうと、日経朝刊に書き連ねたものをまとめたのがこの本のいわれである。
読み始めたら面白い。私の大好きなゴシップの宝庫なのである。永井龍男さんの言葉として
をわざわざ取り上げているくらいで、だから寂聴さんもこの本の中で多くの作家のゴシップを直接の見聞に基づいて惜しみなく披露している。まさに絶品である。「正」を息も継がずに読み終えてしまった。
「正」に取り上げられたのは次の順番の21人である。名前の後ろの数字は、横尾忠則さんによる人物画を含めて、その人に割り当てられたページ数である。読み始めて、もしかすると寂聴さんとの関わりや思い入れの深さを反映しているのかな、とふと思ったので数えてみたが、分からない。せっかく数えたので挙げておく。また右の欄は「小見出し」からとったもので登場人物の一面を表しているが、順番はわざと変えている。興味をお持ちの方はそれぞれを結びつけていただきたい。「続」を直ぐに読んでしまうのがもったいないので、こんなお遊びをしてみた。正解は次回に。
実は瀬戸内寂聴さんの小説はほとんど読んでいない。手元にあるのは瀬戸内寂聴訳「源氏物語」巻一~巻十ぐらいのものである。ご縁がなかったのだろう。「続」こそ二00九年五月十五日第一刷とあるものの、「正」はもう一年も前に発行されているのに気がついていなかった。このたび新たに縁が生まれたのであろう。「はしがき」が次のように始まる。
生きるということは、日々新しい縁を結ぶことだと思う。数々ある縁の中でも人と人との縁ほど、奇なるものはないではないか。
そして続く。
ふり返れば茫々の歳月が流れ去っていた。
長い生涯であった。その間に何が愉しかったかと思いをこらせば、それは人との出逢いとおびただしい縁であった。
この世で同じ世代を生き、縁あってめぐりあい、言葉を交わしあった人々の俤が、夜空の星のように、過ぎてきた過去の空にきらめいている。
長い生涯であった。その間に何が愉しかったかと思いをこらせば、それは人との出逢いとおびただしい縁であった。
この世で同じ世代を生き、縁あってめぐりあい、言葉を交わしあった人々の俤が、夜空の星のように、過ぎてきた過去の空にきらめいている。
この人たちの記憶を老い呆けてしまわない前に書き残しておこうと、日経朝刊に書き連ねたものをまとめたのがこの本のいわれである。
読み始めたら面白い。私の大好きなゴシップの宝庫なのである。永井龍男さんの言葉として
「近頃の小説は面白くない。面白かったら悪いみたいな風潮がある。小説でも随筆でも面白くないのはよくない。本が売れなくなった原因は、ゴシップを嫌悪する風潮が強くなったからだ。文学といえば人生のゴシップですよ。小説の中で、ちょっと生きをつくところがなくちゃね」
をわざわざ取り上げているくらいで、だから寂聴さんもこの本の中で多くの作家のゴシップを直接の見聞に基づいて惜しみなく披露している。まさに絶品である。「正」を息も継がずに読み終えてしまった。
「正」に取り上げられたのは次の順番の21人である。名前の後ろの数字は、横尾忠則さんによる人物画を含めて、その人に割り当てられたページ数である。読み始めて、もしかすると寂聴さんとの関わりや思い入れの深さを反映しているのかな、とふと思ったので数えてみたが、分からない。せっかく数えたので挙げておく。また右の欄は「小見出し」からとったもので登場人物の一面を表しているが、順番はわざと変えている。興味をお持ちの方はそれぞれを結びつけていただきたい。「続」を直ぐに読んでしまうのがもったいないので、こんなお遊びをしてみた。正解は次回に。
ⓐ島崎藤村 5
㋐浮気の数だけ着物の数
ⓑ正宗白鳥 5
㋑前掛けをした文豪ってカワイイ!
ⓒ川端康成 13
㋒謹厳な批評家も春画へは興味
ⓓ三島由紀夫 14
㋓芸術は共同作品でいい
ⓔ谷崎潤一郎 12
㋔小説がうまくなくても、大評論家として名を残す
ⓕ佐藤春夫 14
㋕肥りすぎであぐらをかいている女大親分作家
ⓖ舟橋聖一 8
㋖善女も悪女も小説の肥料
ⓗ丹羽文雄 9
㋗○○立女形はトイレも女用
ⓘ稲垣足穂 10
㋘小説家○○が美男だったから私は文学を志した
ⓙ宇野千代 14
㋙ピストルで仇討ちに行くコキュの情熱
ⓚ今東光 15
㋚寝た寝ないで男を判別する美人老作家
ⓛ松本清張 10
㋛金持ちの息子でもドラ息子とは限らない
ⓜ河盛好藏 9
㋜文豪になる前の○○さんに送ったファンレターが縁
ⓝ里見 13
㋝天然の旅情の尽きる海の果て
ⓞ荒畑寒村 14
㋞学生や女子供の列が続いたお葬式
ⓟ岡本太郎 14
㋟複雑怪奇な小説家ならではの四角関係
ⓠ檀一雄 10
㋠自他ともに認めた男前の艶聞多き作家
ⓡ平林たい子 14
㋡天才も朝酒に酔えば三島由紀夫のこきおろし
ⓢ平野謙 14
㋢粋人になるには元手がかかる
ⓣ遠藤周作 14
㋣大作家になれば、お金持ちになれるんだなあ!
ⓤ水上勉 14
㋺学歴のむなしさ 独学のおそろしさ