日々是好日

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原発反対運動が福島原発事故を拡大させた?

2011-03-20 20:11:17 | 社会・政治
今日の朝刊第一面の見出しが『福島原発 通電可能に 燃料冷却に一歩前進』なので、先行きは分からないまでも少しは胸をなで下ろした。緊急課題であった「燃料棒の冷却」が可能になりそうだからである。しかし「燃料棒の冷却」が制御下に置かれるまでにはまだまだ時間がかかることだろう。

「燃料棒の冷却」を続けながら早急に行うべきことは、建屋内に入り損傷の実態を明らかにすることだろう。現在も原発作業員による作業が進められていることだろうが、どうしてかその詳細の伝わってこないのが歯がゆい。使用済み核燃料プールや原子炉格納容器などに亀裂などの損傷があるのかないのかを始めとして現状を把握の上、「燃料棒の冷却」を制御下に置くための作業を最優先すべきでは無かろうか。

建屋内の放射能汚染の程度すら伝わってこない。測定されているのかいないのか、それすら分からない。通常の定期点検なら作業員が防護服・マスク・安全靴などを着用して建屋内に入るのであろうが、事故後の建屋内にも通常の防御服で入っているのだろうか。その作業実態すら「秘密」なのであろうか。放射能汚染されている環境下でも作業出来るような特殊な防護服が備えられているのだろうか。それとも、放射能測定ロボットのようなものが働いているのだろうか。これまでの成り行きをみるとどちらも否定的にならざるをえない。だからこそ私は福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!と叫んだのである。これら米軍部隊は「核戦争」の戦場での行動を想定しての装備と訓練が完備していると思われるからである。

ここに「でんきの情報広場」という電気事業連合会のホームページがある。この「原子力発電所の安全確保」には「安全を守る技術的なしくみ」として「多情防護」「自己制御性」「アクシデントマネジメント」が挙げられている。その「アクシデントマネジメント」には次ぎのような文面がある。

アクシデントマネジメントによる安全対策

過去事故の研究を通じて、過去事故に至るプロセスを検討した結果、次の機能を強化することが対策として有効であることがわかりました。

* 原子炉停止機能の強化
* 原子炉および格納容器への注水機能の強化
* 格納容器からの除熱機能の強化
* 電源供給機能の強化

原子力発電所の安全設計では、「原子炉を止める」「原子炉を冷やす」「放射能を閉じ込める」という3つの機能ごとに対策がとられていますが、アクシデントマネジメント対策は、これらの機能を高めることになります。

例えば、アクシデントマネジメントでは、異常が発生し、非常用炉心冷却装置(ECCS)もすべて故障した場合を想定し、本来、消火用に使うポンプで炉心に注水し、燃料を冷却するといった対策を考えます。そのため、いざというときに消火用のポンプも動員できるよう、消火用の設備にそのための設備を備えておきます。

このようにアクシデントマネジメントでは、異常事態に際して、本来はほかの機能のために用意されている設備までフル活用し、異常事態の拡大防止と影響の緩和のための対策を行います。

アクシデントマネジメントは、このような施設や設備の整備のほかに、シビアアクシデントが発生したときに迅速に対応するための詳細なマニュアルの整備、通報連絡体制、教育・研修なども含まれます。

各電力会社は、各発電所のアクシデントマネジメント策を整備し、その内容を取りまとめた報告書を、2002年5月に国に提出しました。原子力安全委員会もレビューを行い、各電力会社の対策は妥当であると評価されています。

ここでアクシデントに対して機能強化すべき対策として挙げられた4項目がもっともなものであったにせよ、その実態がどうであったかを、今、われわれが固唾を飲んで注視しているのである。ここで気になるのが非常用炉心冷却装置(ECCS)もすべて故障した場合を想定し、本来、消火用に使うポンプで炉心に注水し、燃料を冷却するといった対策を考えます。そのため、いざというときに消火用のポンプも動員できるよう、消火用の設備にそのための設備を備えておきます。の強調部分である。これでは作業環境が放射能で汚染されることなんてまったく考えていないように私は感じてしまう。

福島第一原発事故は今回の東北関東大震災による「想定外」の出来事と受け止められているかのようである。もう少し正確には、そのように報じられていると言うべきなのかもしれない。私も福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しようで、《科学者が実験をしていて秘かに興奮を押し隠すのは「想定外」の出来事に出くわしたときである。》と述べている。なぜ想定外を括弧で囲むのかと言えば、実は科学者にとっては想定外と思われることの生じるのも想定済みだからである。人智がすべてを見通すなんてあり得るはずがない。

同じことが技術者についても言える。たとえば原発が強度設計を上回る強度で建設されたとしても、所詮は無数の人間の共同作業で出来上がったものである。あらゆる部品とすべての設備に人手が加わっている。それだけでに人為ミスを完全に排除することは不可能で、ところによっては規定の強度を満たしていないこともありうる。だからこそ上に引用した異常事態への対応がそれなりに考えられたのであろう。したがって、日本の原発が米国のスリーマイル島とソ連のチェルノブイリを上回る惨事を引き起こすこともあり得る、という考えを抱いた技術者が居るのも当然のことで、そういうことを考えもしなかったという技術者がもし居たとすると、この方が異常なのである。その意味では、米国のスリーマイル島とソ連のチェルノブイリを上回る惨事を起こさせないためにも、原発を日本で造るべきでないという原発反対運動が起こるのも自然なことである。

しかしスリーマイル島もチェルノブイリも原爆のように一瞬で爆発したわけではない。それなりのたどるべき経緯をたどって破滅に至ったのである。いずれも福島第一原発が稼働を始めてから後の事故であるが、このことを知った日本の原発技術者が、施設が大規模に破壊され、放射能が大量に洩れた環境下で「燃料棒の冷却」を行わなければならない事態が起こりうることを当然想定したであろう。また、その作業にどのような装備・機材が必要なのかその整備を考えたに違いない、と思いたい。ところが強い放射能環境下でも作業可能な放水車やポンプ車、さらにはロボット注水・放水車に重装備の防護服などを原発が整備したとすると必ずや人目を引き、安全を喧伝している日ごろの主張との矛盾を突かれて、ますます原発反対運動の拡大することを原発の経営者側が懸念したことも想像するに難くない。したがって強い放射能環境下でも迅速に作業を推し進める対策をなおざりにした、と。その意味では原発反対運動が今回の事故の拡大化をもたらしたと言えなくまない。もちろんこれはあくまでも私の憶測に過ぎないが、そうとでも考えないことには原発側の「無手勝流」振りが理解出来ないのである。

福島第一原発の近くにある福島第二原発では、停電の影響で原子炉の冷却機能が喪失したもののやがて1号機から4号機まですべてが「冷温停止」の状態になり、また女川原発でも1号機から3号機に至るまですべて「冷温停止」の状態とのことである。福島第一原発でも初動の遅れからかなりの放射能を周辺にまき散らすことになり、その恐れはまだまだ続くであろうが、これ以上の惨禍の広がりはなんとしても抑えて欲しい。そしてこの機会にこそ、今回の自衛隊、消防隊、警察、さらには消息が流れてこない米国専門部隊を合わせての装備・機材を大きく上回る世界最強の原発危機鎮圧隊の創設を真剣に考えるべきであろう。日本で稼働中の原発すべてを即刻運転停止に出来ないとすれば、これしか考えられる対策は無い。

先ほどNHKの7時からのニュースで地震発生当時福島第一原発の現場で作業していた方々からの生々しい状況が、そして東京消防庁のハイパーレスキュー隊隊長などから活動状況が伝えられた。ただただご無事を祈るのみである。


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