日々是好日

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米国務省のケビン・メア日本部長発言に感情的に反発する前に

2011-03-08 20:26:21 | 社会・政治
ことの起こりは沖縄タイムスの次の記事のようである。

沖縄は「ごまかしの名人」 メア米日本部長が発言

 米国務省のメア日本部長(前駐沖縄総領事)が昨年末、米大学生らに国務省内で行った講義で、日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄はごまかしの名人で怠惰」などと発言していたことが6日までに分かった。

 メア氏は米軍普天間飛行場の移設問題など日米交渉に実務者として深く関与、移設先を名護市の辺野古崎地区とした現行案決着を米側で強く主張してきた人物の一人。発言は差別的で、日本と沖縄への基本認識が問われる内容だ。
(2011年3月6日 17時36分)

さらに朝日新聞は次のように報じている。

ゆすり発言「米国の本音か」 沖縄県議会が抗議決議へ

 沖縄は「ゆすりの名人」、「怠惰でゴーヤーも育てられない」。米国務省のケビン・メア日本部長(前在沖縄米総領事)が昨年12月、米国の大学生相手の会合でした発言に、沖縄で一斉に抗議の声が上がった。県議会は8日に米政府に対する抗議決議をする方針だ。「これが米国の本音か」。米軍統治下で強制的に基地をつくられ、今も負担を強いられ続ける沖縄の人たちの不信は深まるばかりだ。

 県議会の決議は発言撤回と謝罪を求める内容で、全会一致で可決する見通し。県政与党の自民党県連の新垣哲司会長は「許せない沖縄差別発言だ。こんな人物は日本部長を辞めてほしい」と批判した。

 メア氏は2009年まで3年間、在沖縄米総領事を務め、いまは米政府の対日政策責任者。講義では、普天間飛行場については「(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港と同じ」と特段危険性はないとの認識も示したとされる。
(2011年3月8日5時31分)

14人の米国大学生が東京と沖縄へ約2週間の研修旅行に出発する直前の昨年12月3日、大学側の要請で前在沖縄米総領事であったメア氏が国務省内で講義を行ったとのことである。複数の学生が作製したその講義録(A4判3ページ)の内容が3ヶ月以上かかって日本人に届けられたようである。本職の米国外交官でもあったメア氏の発言として不用意であった言えばそうかもしれないが、もしかしたら彼の本音をやや迂遠な手段ではあるが日本人に知らせる意図でもあったのかなと私は思ったりする。この講義録にこのような一文があるからである。

Japanese politicians do Tatemae and Honne all the time. Okinawan politicians will agree to a negotiation in Tokyo but return to Okinawa and claim they did not. The US Ambassador and other representatives to Japan are constantly criticized for speaking the truth because the Japanese culture is too focused on tatemae and honne.

メア氏が日本人のTatemaeHonneにイライラしている様子がうかがわれるではないか。ここは本国アメリカの国務省内である。日本人ども、私の本音を耳にせよ、とばかりに素直に自分の思っていることを話したのでは、とも私には思えてくる。交渉相手がこういう考えの持ち主であることが分かれば、その分話がしやすくなるのではと私は思う。「ゆすりの名人」発言について、原文は次の通りである。

Japanese culture is a culture of "Wa"(harmony) that is based on consensus. Consensus building is important in Japanese culture. While the Japanese would call this "consensus," they mean "extortion" and use this culture of consensus as a means of "extortion." By pretending to seek consensus, people try to get as much money as possible. Okinawans are masters of "manipulation" and "extortion" of Tokyo.

この最後の強調部分を見て私はあれっと思った。私が以前に同じ趣旨のことを守屋武昌著 「普天間」交渉秘録 は面白い ついでに沖縄科技大のこともで次のように述べているからである。

正直なところ、このような話を聞かされるといい気がしない。沖縄は米軍の軍事基地があることを逆手にとって、政府から実に上手にカネを引き出しているようにすら感じるからである。政府(守屋)は最初キャンプ・シュワブ陸上案(演習場内)から出発した。そうすると沖縄はいろんな障碍を言い立てて、沿岸部の海の方へ引きずりこもうとする。沿岸部に最も近い最小限の埋め立てでいったん話がまとまると、次は出来るだけ沖の方に引き出そうとする。そこで政府がもし承知するとこんどは環境派の出番で、絶対反対を叫ぶ。移転策が頓挫し解決が長引けば長引くほど沖縄には毎年政府からカネが流れ込む。それが沖縄の狙いである。その間、一方では米軍が本当に出ていったら金づるがなくなるから、ジェスチャーだけで米軍基地を県外にとか叫んで、沖縄が虐げられている姿を世間にアピールする。これではまるで沖縄の人たちが一丸となってそれぞれの役割を演じ、政府から毎年多額のカネを上手に巻き上げているようにも見える。もしかしてかっての沖縄戦のリベンジを本土に対してこのような形でやっているのかな、とげすが勘ぐりを始めるくらいである。

私が守屋氏の著書を読んで感じたことを、日米交渉の米国側実務者であったメア氏も実感していたようである。メア氏の発言経緯を無視して沖縄県議会がメア氏に発言撤回を求めるのはことの成り行き上いたしかたないとしても、差別発言とか侮辱発言とかに矮小化すべきではないと思う。それよりも先ほどのTatemaeHonne発言に続いて、彼が次のように述べていることこそ問題視すべきであろう。

The US Military and JSDF have different mentalities. The US Military trains to prepare for possible deployment, but the JSDF train without actually preparing for deployment. Local people oppose toe night training by the US Military but is is necessary because modern warfare is often fought at night. Night training is essential to maintain deterrence capability.
I don't think Article Nine of the Japanese Constitution should change. I doubt it will ever be changed. It would be bad for the United States if the Japanese Constitution was changed because Japan would not need the United States' Military. If the Japanese Constitution was changed the United States would not be able to use Japanese land to advance US interests. The high host nation support the Japanese government currently pays is beneficial to the US. We've got a very good deal in Japan.

ここに沖縄米軍基地の虚構性が述べられているが、強調部分に明らかなメア氏の、そして米国政府の本音に対してこそ日本のマスメディア、そして日本政府は真正面から立ち向かうべきであろう。




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1 コメント

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日本人はゆすりの名人 ケビン・メア氏の発言を検証 (Mazda Haruto)
2011-03-09 05:25:45
ちょうど私もこの記事を検証していたところです。
メア氏の発言で不謹慎なのは在日米軍駐留がアメリカが
儲かるって話の方ですよね。これにマスコミは無反応で
言葉尻だけで「ゆすり発言」をあおっています。

翻訳自体あえて沖縄の人を批判してるのを日本人全体が
ゆすりをする国民だと思わせるかの様な訳になっていますし
誰かの意図があって今頃発表されたとしか思えないです。

きちんと検証もせずにオフレコ発言に抗議する枝野氏、
いきなり遺憾の意を表明する管総理。いつからそんな国
になったのかとそれじゃまるであっちの国ですw