日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

小沢さんがヤンキーゴーホームを叫ぶ?

2010-09-13 13:06:34 | Weblog
《小沢氏は一つの切り札 代表選、むのたけじ氏に聞く》という12日付けasahi.comの見出しを見て、「むのたけじ氏」という名前に何か見覚えがあるような気がした。その記事を読んで、そうだ、あの人だと思い出した。2年前に出版されたこの岩波新書を私は読んでいたのである。


聞き手の黒岩比佐子さんは、むのたけじさんを《九三歳の現在(2008年)もジャーナリスト・評論家として活動している。文字どおり、二十世紀の戦前・戦中・戦後を生き抜いてきた”時代の証言者”だといえるだろう》と紹介している。また表紙裏には《敗戦の日に戦争責任をとる形で朝日新聞社を去った著者は、いま、その選択を悔いる。残って「本当の戦争」を伝え直すべきだった、と。》とも記されている。では「本当の戦争」とはどのようなものなのか。

 いつも戦争の話になると、戦争を体験した父親が、自分の娘や息子にそのことを言わない、だから困る、ということになる。(中略)

 少なくとも、戦争のことを一番よく知っているのは、実際に戦場で戦った人たちです。ところが、戦場へ行けばわかりますが、行ってしまえばもう「狂い」ですよ。相手を先に殺さなければこちらが殺される、という恐怖感。これが、朝昼晩とずっと消えることがない。(中略)

 本当にいやなことだけれども、戦場にいる男にとっては、セックスだけが「生きている」という実感になる。しかも、ものを奪う、火をつける、盗む、だます、強姦する・・・・・ということが、戦場における特権として、これまでずっと黙認されてきました。(33-34ページ)

 あえて言いますが、ほとんどの男は、とても自分の家族、自分の女房や子供たちに話せないようなことを、戦場でやっているんですよ。中国戦線では兵士に女性を強姦することを許し、南京では虐殺もした。その苦い経験に懲りて、日本軍は太平洋戦争が始まると、そういうことはやるな、と逆に戒めた。軍紀の粛正を強調したんです。(35ページ)

など重い話が続く。慰安所でどういう光景が見られるか・・・・・、と生々しい情景が具に語られている。しかし語られているのはもちろん従軍体験だけではない。主題はあくまでも表紙のタイトル「戦争絶滅へ、人間復活へ」である。そしてこのむのさんに私が大いに共感を覚えたところがある。「男天下」から「女中心」の社会へを提言しているからである。

 人間は約一万年前から農耕生活を始めましたが、身体の構造は昔から男のほうが強くできているので、それが力仕事に生かされていきました。戦争というものが始まると、さらにそれが生かされて、男が支配者として権力を握るようになった。
 それからはずっと男中心の社会を続けてきたといえるけれども、いま世界のどこを眺めても活路は見えないでしょう? だから、もう一度ここで母系社会に戻って、母が中心になっていくべきですよ。女が主導する社会に変わっていかなければだめだ。

このむのさんにたとえば蓮舫さんとか女性候補を挙げてほしかったが、明日に迫った民主党代表選については次のように語っている。

 私個人も感じから言うと、好きなタイプではない。だけど、今の政治状況では、小沢は一つの切り札だと思う。好き嫌いを置いてやらせてみたい。

 彼の言っている、沖縄の普天間基地問題は、アメリカと対等の関係を結び、日米軍事協定を見直すということ。そうしないとアメリカの言いなりで、戦争の可能性を高める側にいるしかない。今度戦争が始まれば核戦争。雇用だ年金だなんてのんきなことを言ってられない。それを防ぐ側にならないといけない。

 そのためにしっかりと「アメリカの世界ナンバー1主義はダメだ。対等に話し合いましょう。日本には、基地を受け入れるという自治体が一つもない」と言って交渉できるのは、小沢だけでしょう。


 彼が頑張る背景には、南部人ということがあると思う。今は相当薄れてきたけど、彼くらいの年齢の東北人だと、すぐ出てくる言葉は「白河以北一山百文」。東北の人間がいくら束になっても百文の価値しかないと言われた。

 口に出さないけど、そう扱ってきた中央政府・官僚に対して、実力を見せてやるという気が、根っこにあると思うな。地元の人たちが「岩手から6人目の総理を」というスローガンを掲げていたのも、そういうことでしょ。
(asahi.com 2010年9月12日)

もしむのさんの見方が的を射ているとすれば、小沢さんで普天間基地問題が新しい局面を迎えることになるのかもしれないが、そういう期待をいだいてよいものやらどうやら、心が揺れ動く。鳩山首相 ついにヤンキーゴーホームを叫ぶとはと期待して、そうはならなかったことの後遺症が重いのである。

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