思い立ったが吉日、県庁近くにある行きつけの理髪店に11時の予約を入れてでかける。のんびりと四方山話を交わしているうちに仕上がっていく。マスターは私より少し若い同年代で話がよく合う。奥さんと二人でやっているが、客は私一人。奥さんはレッドソックスとヤンキーズの試合に釘付けで、何がどうなったのか突然奇声をあげる。ホームランが出たのだろうか。「コラ、びっくりするやないか」とマスター、でも口調がやさしい。顔そり中でなくて良かった。マスターが大病で入院中は、この奥さんが臨時助手のおばさんと何ヶ月も店を支えてきたものだから、マスターは奥さんをあだおろそかには出来ないのである。
終わったらちょうど12時、お昼時である。最近はナイフ・フォークから遠のいていたものだから、久しぶりに5分もかからないLe Bistroに足を向ける。案じていたが幸い予約無しで入れた。淡路由良港から直送のスズキのアーモンド焼きとでも云うのか、それをアントレに選ぶ。オードブル、葉っぱのサラダ、パン、コーヒのランチメニューである。うに、牡蠣、アワビなどの食材をテーブルまで持ってきて説明されたものだから、ついつい牡蠣を注文してしまった。それと白のグラスワイン。
どこの牡蠣か、説明を忘れてしまったが味は忘れていない。もう一つ食べたかった。
スズキのポアレ、アーモンドに合わせてナッツのソースとか。香ばしい。
ゆがいた筍を炒めた付け合わせがなかなかよかった。
デザートもすすめられたものだからついつい手を出した。苺をゼリーでかためたもの?
このお店、なかなかすすめ上手である。
ワインでいい顔色になったものだから、酔い覚ましにいつものコースを歩き始める。トアロードを上がり山本通を東行、すると北野坂でのInfioratoに出会った。今日が初日でちょうど飾り立てが終わったところである。ラッキー、とばかり見てまわる。
花の色の取り合わせがとても綺麗。近くでまじまじと眺めると色が強烈である。ところがInfiorataの欠点と言えば申し訳ないようであるが、構図が大きいものだから側に立って眺めても、何が描かれているのか分からない。大人国に入り込んだガリバーのような心境である。北野坂に臨時の登坂リフトでも設けて、上空から見下ろせるようなサービスが出来ないものかな、と思った。
やっぱり『大人』がいた。
私が美女に見えたのか愛想のいい男の子。
今日は気温もほどほどでなかなか良い日和だった。強い風が通り抜けると帽子を飛ばされそうになるが、薫風の趣を感じた。その風に背を押されるように北野坂を下り、そして気がついたらジュンク堂に入り込んでいた。