日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

プリウスのリコール届け出 そしてアメ車の暴走とフロアマットのこと

2010-02-09 21:43:10 | Weblog
今日になってトヨタが新型プリウスなど22万台(日本のみ)のリコールを届け出た。昨年5月以降に販売した3代目プリウスで、滑りやすい路面を低速で走行中に1秒前後ブレーキが利かなくなるという問題があり、米国、日本などでクレームが寄せられていた。これに対してトヨタは当初「ブレーキを強く踏めば車は止まる。フィーリング(運転感覚)の問題だ」(佐々木真一副社長)として欠陥とは認めずに「フィーリング(運転感覚)」面を強調したが、一方ではアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の制御ソフトを修正してこの問題を解決した車を今年の1月から生産しているのである。フィーリングとか余計なことを言わずに、制御ソフトの修正で最初から対応しておけばよいと思うのに、なんだかもたもたしたあげくに結局この件でリコールを届け出たのである。今年1月21日以降、稼働部がすり減るというアクセルペダルの不都合によるリコール、さらには昨年秋の米国でのレクサス暴走事故の原因が、アクセルペダルの戻りを邪魔するフロアマットのせいであるとしてのリコールと続いての不祥事である。

ビッグ3も日本の自動車産業もしょせんは虚業?(2008年12月5日)でも述べたことであるが、「稼げる間に稼げとばかりに借金まみれの米国人に車を次から次へと売りつけた」トヨタの売り急ぎ体質がこのようなトラブルの遠因であるように思う。トヨタがどのように立て直しを計るのか注目したいと思うが、今日はトヨタの躓きの一歩となったフロアマット問題で、私には分かりかねることがあるのでそのことを述べてみようと思う。

もう30年ほど前の話になるが、私が米国ロサンゼルスの空港でレンタカーをした時のことである。手続きを済ませアメ車に乗り込みエンジンを始動した。エンジン音が高いとは思ったがそのままシフトレバーをドライブに入れた途端、車が急に勢いよく走り出したのである。ブレーキを力一杯踏み込んでも停まってくれない。そのままシフトレバーを急いでニュートラルに入れてようやく車を停めてなんとか事なきを得た。レンタカーのオフイスに戻り苦情を申し立てると、アイドリングを高くしているからそれが下がるまで待つんだと言われ、そんなものかと思って引き下がった。確かにアイドリングが落ち着くまで待つとそれからは不都合は起こらなかった。しかしアクセルも踏まないのに車が飛び出した時は、そのまま暴走を続けていたらどうなったことかとあとから思い出してぞーっとした。

だからアメリカでレクサスが暴走して交差点に入り他車と衝突して大破炎上し、4人が亡くなったという痛ましい事故で私が疑問に思ったのは、ブレーキを踏んでも利かないのならなぜシフトレバーをニュートラルに戻さなかったのだろうということであった。見逃しているのかも知れないが、この時のドライバーがブレーキを踏む以外にどのような操作をしたのか詳細は不明である。事故車のシフトレバーの位置がどこにあったのか、どこかに報告があるのなら見たいものである。このニュースを報じたasahi.com(2009年10月1日1時38分)に次のような図解が出ていた。

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明らかにシフトレバーをニュートラルに入れてブレーキを踏む操作が想定されているし、されにニュートラルに入らない時にエンジンを止める操作も取り上げられている。このいずれの対応もこの事故車では取られていなかったのだろうか。それが私の抱いた疑問である。これは同時にこの図解への疑問にもなる。何が原因でシフトレバーをニュートラルに入れられなくなるのだろう。この図解ではそういうこともあり得るといとも安易に想定しているようであるが、アクセルペダルが戻らないという機械的な理由だけでニュートラルにレバーを戻せなくなるとは私にはどうしても理解できない。機械的な理由だけならアクセルペダルのバネを強くするのも一つの対処の仕方であろう。というのも昔のアメリカでのフロアマットの使われ方を私は知っているからである。

まだ日本車がほとんど走っていなかった頃のアメリカで生活した日本人なら経験したことだと思うが、たとえばシアーズのようなところで買ったフロアマットを自分の車に敷こうとすると、必ずと言っていいほどアクセルペダルを覆う形で上に一部が乗っかるか、またはペダル全体を覆ってしまっていた。自分の車種にぴたりと合ったフロアマットなんてあるはずもなく、車の大きさに合わせて汎用のものを買ったからである。今の日本人には想像も出来ないかも知れないが、フロアマットがアクセルペダルにかかることは少なくともかってのアメリカ人にとっては当たり前のことであったと言える。思うにそれを知っているアメリカのメーカーは、アクセルペダルのバネがフロアマットを跳ね返すぐらいには強くしていたのではなかろうか。そう言えば私の乗っていたFord Futuraもハンドルはパワーステアリングのような洒落たものではなく、腕力で回していた。ところが今や電子制御万能になってきている。だから仮にフロアマットが第一義的にアクセルペダルの戻りを邪魔したとしても、それだけで終わればニュートラルに戻すことで対処が出来るはずのところ、それが出来なかったとすれば、なにか電子制御系統に異常が生じてそれが制御不能を引き起こす可能性を考えなければならないのではなかろうか。素人談義はこれまでに止めるが、まんざら的外れでもないことを次の新聞報道が示唆しているような気がする。

トヨタ車暴走 米、電子制御系を調査
リコール問題 制裁金検討か
 【ワシントン=岡田章裕】米運輸省のラフード長官は2日公表した声明の中で、昨年起きたトヨタ自動車の高級車「レクサス」の暴走事故に関連し、「エンジンの燃料弁の電子制御システム(ETC)が原因である可能性がある」と指摘、徹底調査する意向を明らかにした。

 電波の干渉が、意図しない加速を引き起こす可能性があるとしている。

 トヨタは「電気系統に問題はない」と説明してきただけに、新たな不具合が見つかれば、さらに信頼を損なうことになる。調査は数か月かかる見通しだ。

 ETCは、ドライバーがアクセルを踏み込んだ深さに応じて電気信号をエンジンに送り、燃料弁を調節して車の速度を上げ下げする。

 大規模リコールを行うアクセルペダルの不具合について声明は、「問題は決着しておらず、欠陥の可能性を調査し、リコールの履行状況の監視を続けていく」と強調した。また、米メディアは大規模リコール問題で、運輸当局がトヨタに民事制裁金を科すことを検討していると報じた。
(2010年2月3日 読売新聞)