いわゆる「ねじれ国会」で政治の停滞が国民の大きな関心事になっているが、この折りに自民党の衆参両院の有志議員が、「衆参両院を統合し、一院制の新『国民議会』を創設する議員連盟」を結成することになったとのニュースが流れた。私はかねてから参議院は不要と思っているので、その立場からこの動きを歓迎したい。そのための憲法改正こそ急いで欲しいものである。
2007年7月の参議院選挙で与野党が逆転したのがことの起こりで、とくに民主党は小沢党首をはじめとしてそれが直近の民意の反映だと意気軒昂であった。政治のプロらしからぬはしゃぎようである。なぜかというと参議院はその発足からして民意を反映させる機関ではなかったからである。参議院不要論を私は3年前のブログ、総選挙雑感(2) 『風見鶏のヤス』の子は不肖の子および『ずっこけ風見鶏』は参議院廃止論に拍車をかけるなどで述べたが、参議院の性格について次のようにまとめた。
《両院制をもつ国家では第二院の設置の目的として以下のようなことが考えられている。
①特権的少数者の利益保護を目的とする貴族院型
②社会の職能的集団を代表させようとする職能代表型
③高い知性・専門知識の会議体として構成しようとするブレーン・トラスト型
④他院のコントロールを目的とする期間内統制型
⑤連邦を構成する各邦を代表する連邦型
(世界大百科事典、平凡社)
現行の参議院は②に加えて③④の役割を果たすことが期待されていた。
しかし現状はどうか、誰が考えても同じ結論しか出ない。何一つ当初の期待に応えていないのである。》
参議院が直近の民意を反映すべき性格のものなら、議員の任期6年は長すぎるし、そのうえ議員の半数を3年ごとに選び直すことはその趣旨を曲げるだけである。民意を反映すべきものなら衆議院のコピー化しかあり得ないが、それでは衆議院に屋上屋を重ねるだけのことで、頭でっかちになれば独りでに転んでしまうのが落ちである。いよいよその時期が到来したと見るべきだろう。二院が同じ結論をだすのなら衆議院一つでよいし、異なった結論をだすのなら現在見られているように政治が機能不全になるだけだから衆議院一つでよい。
無用の長物であればまだしも、金食い虫の上政治を衰退させた参議院を一刻も早く廃止するために、たとえ自民党の党利党略から出たにせよ今回の動きを大いに歓迎したい。