日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

裾は短し膝閉じよ乙女

2007-05-30 14:29:55 | Weblog
阪急電車で大阪に出かけた。若い男女の二人連れが乗り込んできて、向かいの座席に坐った。女性がちょうど私の真ん前で、バッグを膝の上に置いた。私の目測では膝上25cmの裾の短いワンピースを着用していた。

電車が動き出し男女はなにか言葉を交わしている。そのうちに女性がバッグから化粧用品を取りだして顔をいじくり始めた。どういう関係だろうかと訝しく思った。恋人同士のデートなら、ちゃんと身だしなみを整えてくるだろう、ましてや化粧においておや、である。女性は目の周りを黒く塗り始めた。手鏡と睨めっこであれやこれやいじくっている。最近は珍しくもない光景、しかし私に云わせると傍若無人の振る舞いである。それよりなによりこの女性の坐り方がいけない。ワンピースの裾が大きくずり上がり、その上膝を大胆に開いているものだから奥の奥まで見通せる。視野を遮るものがなにもない。と云ってもスッポンポンではなくて、布きれのようなものが奥に挟まっている。卑猥な光景なのだ。

目のやり処に困った。目を労るために最近は電車の中での読書を止めている。そうかと云って居眠りは私の主義に反する。視線を真正面からずらして阪急電車の路線図を見たり窓越しに景色を見たり、また広告に目を向けたりするのだか、何だか落ち着かない。私の両側にご婦人が座っていて、このご婦人方にも当然向かいの女性のあられもない姿が目に入っているはずだ。私が落ち着きなく視線を泳がせている原因を覚られているのではないかと思いうと、余計に気が落ち着かない。全く知らない振りをするには私はまだ修練が足りないようだ。

驚くなかれ、この女性は阪急三宮駅から西宮北口駅まで、一度も膝を閉じることがなかった。見方によればアッケラカンとしたものである。そういえば少し離れた席に座っているスカート姿の若い女性も、膝を開けっぴろげで居眠りをしていた。今やこれが普通の世の中なのだろうか。人前での化粧もそうであるが、羞恥心なる言葉は彼女らにとってもはや死語となっているのだろうか。

「秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず」と云うではないか、これから迎える開放的な季節を前に、ただただ「裾は短し膝閉じよ乙女」と念じるのみである。