日々是好日

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北朝鮮のミサイル発射で大騒ぎの怪

2006-07-07 16:55:29 | 社会・政治
私は日本が依然としてアメリカの占領下にあると思っている。アメリカ軍がわが国土に駐留している事実がそのことを雄弁に物語っている。文化勲章学者の白川静博士も同様の考えをお持ちである。

ロシア、中国、インド、北朝鮮など、わが国と極めて地理的に近い国々は弾道ミサイルを保有している。そのミサイルのいくつかは当然日本に標的が定められていることを思うと、北朝鮮だけではなくこれらの国すべてが脅威である。

日本は弾道ミサイルを保有していない。またそれを防ぐ手だてもない。北朝鮮がその気になれば日本を弾道ミサイルでいつでも攻撃できる。しかしこれまでもミサイル攻撃をしかけなかったし、これからも攻撃する可能性は極めて低い。なぜなら日本が攻撃を受けると日本を占領下に置いているアメリカが報復攻撃をするからだ。

このように日本は世界一の軍事大国アメリカのいわゆる『核の傘』に守られている。お金はアメリカにしこたま巻き上げられているが、自分自身は弾道ミサイルはもちろん大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)などは持っていないし開発もいたしません、と無辜の国を装えるメリットがある。ある意味では嫌らしい国でもあるのだ。北朝鮮は間違いなくそう思っているだろう。

これからが本論である。日本が未来永劫アメリカの占領下に置かれるべきではない。いつか国民が目覚めてアメリカの軍隊を日本から完全撤退させて真の独立を回復したとする。そしてこれまでアメリカに完全に依存していた攻撃的抑止力を、すべて自前で備えるべく国民の意思が統一されたとする。

たとえば弾道ミサイルである。試作品が実際に飛ぶのかどうか試してみないといけない。飛ばす先は日本海、黄海、太平洋にならざるを得ない。北朝鮮と違い日本はかっての大東亜共栄圏を作りかけた海外侵略の実績がある。近隣周辺諸国から厳しい非難、反対の声が起こるのは当然であろうが、それでも実験をやり遂げないといけない。今の北朝鮮と似た状態とも云える。しかしここで忘れてならないのは、アメリカこそが最大の反対国になりうるという現実である。アメリカにとって大量破壊兵器に弾道ミサイルを備えた日本は、北朝鮮とは比較にならない最大の潜在的脅威となる。その時アメリカは北朝鮮を同盟国に仕立ててまで、日本の実験に圧力を加えてくるような気がする。さあ、その時の日本に今の北朝鮮以上の知恵が出てくるだろうか。

日本がアメリカの『核の傘』に守られている現状では、大量破壊兵器を弾頭とした弾道ミサイルが北朝鮮から日本に飛んでくる可能性は限りなくゼロに近いといって間違いなかろう。それなのに、一昨日から今日にかけてのマスメディアのあの騒ぎよう一体なんだろう。北朝鮮のやりたいようにやらせてまったく無視すればいいのである。北朝鮮は昨日になって「自衛的国防力の強化のためにわが軍が行った通常の軍事訓練の一環だ」と云っているそうである。「アッソゥ」でいいではないか。云いたいことを北朝鮮に云わせたらいいのである。それをミサイル発射の意図はどうだかこうだかと賢しらげにマスメディアが姦しい。北朝鮮の代弁者気取りはみっともない。

さっそく日米両国などが北朝鮮非難決議案を作り、国連安全保障理事会に共同提案するとか伝えられてきた。かなり厳しい内容の制裁処置が含まれているようである。これに対して中国、ロシアは決議ではなく拘束力がない議長声明の形式を取るように主張している。

中国、ロシアの態度は考えてみれば当然である。アメリカが唯一の核保有国であった第二次大戦後、核独占を保ちたいアメリカにいついちゃもんをつけられるか、戦々恐々の思いをしながら曲がりなりにも核保有国になりえた両国は、今、その悲哀を味わいつつある北朝鮮のいわば先陣でもあったのだ。制裁制裁といきりたつアメリカと一線を画すのも過去の恨み辛みのなせる技であるともいえよう。そのアメリカの走狗と化した日本政府のなんと愚かしいこと。こんなことで北朝鮮を制裁していたら、今度自分がやりたいときにやれなくなるではないか。

わが政府が北朝鮮に対する経済的制裁を、拉致問題との関わりで発動するるというなら、私も納得できる。『ミサイル発射』には実害はない。しかし北朝鮮も認めた『拉致』は国家的犯罪ではないか。対応には鼎の軽重が問われるべきである。