星のひとかけ

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「世紀末ウィーンのグラフィック」展 目黒区美術館

2019-05-05 | アートにまつわるあれこれ
好天に恵まれた連休後半、 新緑の桜のトンネルを抜けて目黒区美術館へ…

「京都国立近代美術館所蔵 世紀末ウィーンのグラフィック -デザインそして生活の刷新にむけてー」展 を観に行って来ました。

いま、都内ではクリムトやシーレを中心にした大規模な絵画展が開かれていますが、 クリムトとシーレの絵画は過去に何度か観ているので、 今回はその同時代ウィーンのグラフィックや装丁、挿画などの作品展を観に行くことにしました。 目黒区美術館は過去にもかなり充実した展覧会を行っていますが 今回の展示も… 素晴しい充実度! でした。



チラシひとつとっても その充実度があらわれていますね…

詳しくは目黒区美術館のHPで見られます>>

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展覧会タイトルは 「世紀末ウィーンの…」 となっていますが、 グスタフ・クリムトらが興した新しい芸術協会「ウィーン分離派」は1897年からで、 その後 インテリアなどの生活全般にわたるデザインや本や雑誌の装丁・挿画などを手掛ける「ウィーン工房」の活動は1903年以降~1920年代が中心なので、 デザイン面ではアール・ヌーボー、 アール・デコの時代と重なるのですね、、 でも ウイーン分離派、 ウイーン工房、 ともに初めて知った私です。。

主にパリのイメージで想像されるアール・ヌーボー、 アール・デコの洗練とか華やかさとかファッショナブルとか、、 そのようなイメージに対して、 さすがウィーン… その影響は受けつつもどこかダークネスというか、 頽廃的というか、 毒があるというか、、(←すべて良い意味です) 
1910年代と言えば、 ロシアのディアギレフ率いる バレエ・リュスの全盛期かと思いますが、 バレエ・リュスの時代のデザイン感覚に ベルギー象徴派やロシア・アバンギャルドとの中間地帯にいるような、、 やはり19世紀末~20世紀初頭のデザインの世界はどこの国をとっても見るべき価値のあるものが一杯です。 (おそらく英国の美術雑誌ステューディオや ドイツのそういう美術雑誌などが日本へも入って来て、 「明星」や「白樺」などの文芸誌の装丁にも影響が濃く見られますね… そういう面でも興味深いです)

今回、、 クリムトやシーレの素描などももちろんでしたが、 そのクリムトらの画集やカタログの表紙をかざる《装丁》のデザインの洗練度…

そして、 20世紀に入ってからの美術雑誌や 舞台公演のパンフレットの表紙や挿画のどれもこれも素晴らしくて、、 
雑誌なので単色刷りだったり、 限られた色味での印刷だったりするのですが、 それなのにデザインの秀逸さ、 少ない色と色の取り合わせのモダンさ、、 

あと、 子供のための読本の挿画もありましたが(白雪姫とか)、、 以前 カイ・ニールセンなどの英国の美しい挿画本のことを書きましたが(>>) やはり同時代だけあって 似た雰囲気ももちつつ、、 なぜかウィーン… やっぱりどことなく怖さがあるのですよね、、(←先入観かしら… いえ、そんなことないですよね、、 やはりウィーンはウィーンならでは)


今回の美術展の図録、、 これがまたなんとも充実した素晴らしいものなので、 ブックデザインや印刷物のデザイン、 レコードジャケットなどなど、、 デザインに関心のある方は入手して絶対損は無い優れものだと思います。。 



お土産グッズで買った「一筆箋」 4種類あったのですがどれもこれも美しかった~!

大満足の作品展でした。



緑あふれるカフェで お茶とクッキーでくつろげるし 目黒区美術館ほんと素敵な場所

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あ…!  今夜はドゥダメル&LAフィルのクラシックコンサート 観なくちゃ!!
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