星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

イタロ・カルヴィーノのサウンドトラック

2012-01-28 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
文学カテゴリーながら いきなり音楽の話からですが・・・

先週あたりまで nprの全曲試聴に載っていた Bill Ryder-Jonesの「If… 」というアルバム、、 最初 気にとめていなかったのですが、 何かのついでに レビュー文のほうを少し読んだら、

 as an imaginary soundtrack for the novel If on a Winter's Night a Traveler by Italo Calvino

、、というのが眼に入った。。。 『冬の夜ひとりの旅人が』という、 イタロ・カルヴィーノの小説のこと。 ↑の英語のタイトルを読んで、、、 邦題でははっきりとはわからない「if」という語が 英題にはついているんだな、、、と ふと思って、、 もともとのイタリア語のタイトルは知らないけれど、 なんだか If が付くことによって、 自分が思っていた「冬の夜ひとりの旅人が」という題の印象とは 違う気がした、、、 というか、 If が付いた方が なるほどカルヴィーノぽい感じがした。。

と言っても、 イタロ・カルヴィーノ、、、 もう10年以上も(もしかして20年くらい) 読んでないのです。。。 実際は、ほとんど覚えていない、のです。



、、で 書棚を探したら 「冬の夜…」の代わりに 「むずかしい愛」が先に見つかって、 で それを手に 先の ビル・ライダー=ジョーンズ君の音楽を聴き始めたら、、 音楽もとても良かった。 、、冬の ヨーロッパの (パリかどこかの)、、 大きくて、 ちょっと殺風景で、 鉄骨の高いがらんどうの天井に囲まれたような、、 そんな鉄道の駅舎が、 音楽から頭の中に浮かんできた。

ぜひ今度、 このBGMを聴きながら 「冬の夜ひとりの旅人が」を読むことにしよう、、と 思って数日、、、 忙しさにかまけて 本を見つけるのを忘れ、、 昨日 ようやく見つけて、、 それで 早速 「If… 」のアルバムを聴きながら読書、、、 と思ったら、、、

もう試聴期間 おわっていました。。。

残念、、、

とても良いアルバムだったし、 思い切って買ってしまってもよいのかも、、 どうする? 、、と 思っているところです。

 ***

イタロ・カルヴィーノは、 こんな風に20年近くも書棚の奥に放っておいたことからもわかるように、、 お気に入りの作家さんにはならなかったのでしたが、、 あらためて読んでみると、 殊のほか 面白いです。 たぶん、 その後ボルヘスや ポール・オースターに出会ったから、 わかるようになったんだと思います。

でも、 『冬の夜ひとりの旅人が』を説明するのはむずかしいので、 いつものように、 松岡正剛さんのほうにリンクを貼ってしまいます、、(笑)

松岡正剛の千夜千冊 イタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』


ところで、、

先にみつけた 『むずかしい愛』のほうも、、再読したらやはり面白いのでした。。 この短編集のページをあらためて開いて、、 (あぁそうそう、、 たぶんこの最初の兵士の作品がダメだったのね、、)と わかって、、 まだ20代の女子には 好きになれない作品だったのでしょう。。。

こちらもぱらぱらと読み返して、、 その中の、 「ある夫婦の冒険」という作品が、 (なんか いいなぁ)と。。 夜勤専門の仕事をする夫と、 その帰りと入れ違いに仕事に行く妻との、 束の間の接点とすれ違いを描いたほんの短い短編ですが、、 これも きっと20代女子の倍ちかくの年齢になってこそ、、 (生活の垢にそこそこまみれてこそ) 味わうことのできる作品なんだろうなぁ、、と思って読みました。

夫が朝、 外から帰ってくる、、と まだベッドにいる妻には夫の着ているコートの湿り具合で外の様子がわかる、、、って。。 そういう描写がいいなぁ、、と。 片方が出掛けていった後の、 その後の電車の音とかを耳で追っているところとか、、


たぶんね、、

このところ すっごい寒いせいなのでしょう。 、、 寒いんだけれども 部屋の中にはかろうじて いつも湯気の立つポットがあるような、、 そんなつましい温もりに 気持ちが惹かれたんだと思います。


風邪ひかないで 過ごしましょうね。。。


あ、そうそう、、
ドミノ・レコードの紹介ページ↓
http://www.dominorecordco.com/artists/bill-ryder-jones-/

美術展2012

2012-01-22 | アートにまつわるあれこれ


昨日の夕刊に 上高地帝国ホテルの広告が載っていた。 2/1から予約開始、って。

かれこれ10年ほど前、、 某優待の抽選に申し込んだら、 ビギナーズラックなのかあっさり当たって、 有り得ないようなお値段で出掛けることが出来た。。。 レストランのお食事も美味しかったなぁ。。 落ち着いた図書室もあったなぁ。。 ↑のフォトと同じ、 玄関前でホテルマンの方に撮っていただいた写真は、 今も書棚のところに飾ってある。

「あのときに 一生分の運 使っちゃったかもね、、笑」

って、 昨日 笑いながら広告見てた。 余りにもあっさり泊まれたので、 (また来ようね~)なんて、 気楽に話していたのだもの。。。

今度は いつ行けるのかな。。

、、もっとも 、、地元だから 上高地にはいつだって行けるのだけれども、 (と言いつつなかなか行けないのだが) 、、あの可愛らしく かつ気品あるホテルで もう一度ゆっくりと過ごしたい。 、、そして 鳥の声をきいたり、 朝もやの漂う 湖を散歩したり、 猿の親子に出くわしたり、、 またしてみたい。。。 私にとってのイムラドリスは あの場所、、。


、、などと語りつつ、、 つつましく鰤大根をつつくのでありました。。(笑)




昨夜は超絶品に出来たのだ。。 料理名人なわけではないので、 美味しく出来ると超嬉しい! 3時間ほどかけた甲斐がありました。 美味しい煮物とか、 粕汁とか、 つみれ鍋とか、、 上手に出来た時だけは、、 小料理屋のおかみになってもいいな、、と 思ったりする、、(笑)

 ***

ところで、

今年は気になる美術展がいっぱい。。。 うかうかしていると見逃しそうなので、 早めに計画立てていく日にちを考えておこう、、、

 
国立西洋美術館 「ユベール・ロベール展」 (一緒にピラネージの「幻想の牢獄」展もみれます)

bunkamura 「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展

東京都美術館 「マウリッツハイス美術館展」

国立西洋美術館 「ベルリン国立美術館展」

bunkamura 「レーピン展」


まとめて映画話。。。

2012-01-12 | 映画にまつわるあれこれ


昨年暮、、 bunkamuraへ行った時に持ってきたチラシ、 『ミラノ、愛に生きる』(IO SONO L'AMORE)

ティルダ・スウィントンが主演、、というのも割と珍しいし、 このかたがきちんとお化粧をして、 ちゃんと普通の女性を演じるというのもめずらしかったりして、、(?) 最近では『ナルニア国物語』の〈白い魔女〉の印象が強かったですしね。。

さらに チラシの解説を読んでびっくり、、〈2011年11月で51歳、 2児の母〉、、、え? え?! 、、てっきり 30代後半か、 せいぜい40歳くらいかと思っていたもので。。。 でも、 よく考えてみたら、 80年代のデレク・ジャーマン映画にいつも出ていたし、 「オルランド」からもう20年、、だものね。。。

ティルダといえば、、 メイクもしているのかしていないのかわからないくらいで、 眉もアイライナーも描いてないし、 髪は無造作にオールバック、、 着るものもシンプル、、 年齢も、 性別さえも不詳、、、 というイメージでしょう? (例えばこちらの写真のような>>IMDb) この写真で 45歳くらい…? は~ぁ、、(溜め息) 素敵。。。

でも 『ミラノ、愛に生きる』のtrailer(>>)見たら、 ちゃんと皺もあるし、 それなりの大人の女性で、、 でもメイクしたお顔も、 ドレスアップした姿も綺麗だなぁ、、、 (まるで男の子みたいになるレッドカーペットでの姿とのギャップがまた良いのですが、、)

ちなみに ↑の映画のティルダの衣装は、 ジル・サンダーだそうで、、 ここに出てくるようなすっきりとしたシルエットのワンピースなども、、 また着てみたくなりました。。(最近すっかりパンツ姿ばかりだったので) 冒頭のチラシにあるような、、 ノースリーヴのワンピース、、 まだちゃんと着れるだろうか。。。 着るはともかく、 こんな風に品の良い、 きちんとした大人でいられるかしら。。。(少し難しい)

 ***

ところで、、 話はうって変わって、、



IMDbのサイトで 新作映画を見ていたら 『エクスペンダブルズ2』、、無事に出来ているようですね、、 しかもメンバー大幅増量!(笑) 今度は ジャン=クロード・ヴァン・ダムさんも間に合ったようです。

、、あ、、『ユニバーサル・ソルジャー リジェネレーション』も見ましたよ、 昨年。。 きゃっきゃ笑いながら、、。 人造人間(でしたっけ?)なのに、、 なぜか老けてて、、(笑) ヴァン・ダムさんが なんだかトミ・リー爺ぽくなってて、、。 しかも、、 眠りから覚めたドルフ様の存在意義が、、、 まったくもって意味不明。。。 ほんと楽しい映画でした。。 『エクスペンダブルズ2』でも、、 みなさん大分ご老体になってきてますけど 頑張って欲しいです。。 (ステイサムばっかりにイイ格好させないで)

ドルフ様といえば、、 ずいぶん前から書きたかった映画、、 ドルフ様脚本&監督の『Command Performance』(>>IMDb)、、邦題なんでしたっけ? 「レッド・コマンダー」だそうです、、 これ最高です。 何が最高かと言えば、 ドルフ様がヘヴィメタバンドのドラマーJoe、だからです。。 

舞台はモスクワ。 アメリカから来た超人気女性シンガーの〈前座〉をつとめるのが ドルフ様のメタル系バンドで、、 この組み合わせもよくわからないけど、、 まあよいです。。 冒頭、 そのドルフ様の演奏シーンが、、、 長い!(笑) 上半身裸のドルフ様が華麗にドラムを叩きまくるまるでPVのような、、、 (たぶんこれを撮りたいがための映画であるような、、) テロリストの映画のはず、、、なんだけど、 事件が起きるまで20分かそこらはこの演奏シーンだったような。。。

で、、 〈前座〉が終わって、 ドルフ様がトイレでリラックスしている間、、 ステージでは 人気シンガー&何万人かの観客&ロシア大統領一家を人質にテロリストが立て籠り、、、 あとは「ダイ・ハード」さながら ドルフ様が単身 テロリスト集団に立ち向かう、、、 持っているのはドラムのスティック2本で。。。

↑IMDbのリンクから オフィシャルサイトへ飛ぶと、、 ドルフ様の華麗なパフォーマンスのPVが見れるはずです、、多分。

 ***



昨日は通院日で、、 病院の待合スペースでは オルゴールの音楽が小さく流れていたのですが、、、

某TVの主題歌や、 某Jポップなどと共に、、 『ロード・オブ・ザ・リング』の ホビット庄のテーマ曲が流れていて、、 つい先日 『THE HOBBIT: AN UNEXPECTED JOURNEY』(>>IMDb)の予告編を見たばかりだったので、、 オルゴールの音楽なのに 感極まりそうで、、 (この曲ダメ、、いま先生に呼ばれたら涙目だ、、)と、、 馬鹿みたいに泣きそうになっておりました。。

『ホビット』、、 予告編では ガラドリエル(ケイト・ブランシェット)の姿もありましたが、 リヴ父こと  エルロンドや、 レゴラスなど、 エルフ達もまた登場してくれるのですね。 クリストファー・リー様も。。。


もう11年も前になるのですね。。。 あのホビット庄の音楽が流れて、、 美しいホビットの村に、 ガンダルフがやってきて 子供たちがみんなで追いかけて、、 ちっちゃなホビットのフロドがガンダルフに飛びつく、、、 映画であんなに幸せだったことって はじめてだったかもしれない。。 お話の中のホビットやエルフの世界が 眼で見れる現実の世界(みたい)になるなんて、、、 


あれから、、 日本ではほんとに悲しい災害も事故も起きて、、 多くの命も失われて、、 多くの人が家を失って、、

もう一度 『二つの塔』や『王の帰還』を見たら、 悲しくて せつなくて たまらないかもしれない、、、 お話の中のこととは言え、、 指輪を廃棄する旅を終えない限り、、 美しい故郷へは帰れないのだもの。。 そして、、 ひとたび指輪を持ってしまったフロドは、、 もう昔の姿には戻れないのだもの。。。


この世界に悲しみが満ちると、、
エルフ達は次第に西の海を渡って、、 この世界からいなくなってしまうのですよね。。。


エルフはまだ この世界に残っていてくれてるかしら。。。


 ***

、、あ、、 ついおセンチなことを、、。


今年の目標は 元日にも書きましたけれど 〈力強く〉 あることなのです。 私の肉体の力強さには限界があるけれど、、 (今年もお医者さん無しには暮らせないけれど) せいいっぱい 〈力強く〉ありたい。。

、、と こじつけだけど今日の映画話の ティルダも、 ドルフ様も、 ガンダルフやエルフやホビット達も、、 みんな強くて素敵だ。。 
てな、、 締めでいかがでしょうか。


TVを見てて思ったこと、、「坂の上の雲」最終話の「漱石」

2012-01-04 | 文学にまつわるあれこれ(漱石と猫の篭)
3年にわたる「坂の上の雲」のドラマ化、、 最終回はその日に見れなかったので お正月に見ました。 この3年、ほんとうに楽しませてもらったし、 俳優さんたちも、 ロケの見事さも、 すばらしいものでした。

が、、 ちょっと細かいことを…

先に見ていた友が、、 「漱石が出てきたんだけど… あんな話するかなぁ、、って思ったんだけど、、 見てみて」、、と。。。

《あんな話》、、というのは、 正岡子規の家にホトトギスの同人が集まっている席に、 漱石が『吾輩は猫である』の原稿を持って現れ、 そこで漱石が「大和魂」を茶化す発言をして 子規の妹・律になじられる、、、というもの。

「命懸けで戦地にいる軍人を馬鹿にしているみたいだ」、、と責める律に、 漱石は、、「文学者などはいざとなったら軍人を頼るしかない… その妬みです」と言って 「謝ります」と手をつく、 というシーン。


漱石がこの時期、 子規庵に行ってあんな風にぺらぺら喋るかしら、、というのがひとつ。

律に責められて、「謝ります」、、なんて言うかしら、、というのがひとつ。

そもそも英国から帰って来た後の漱石が、 子規と戯れていた学生時代の雰囲気のままなのはおかしい、、 というのもひとつ。。

 ***

ちょっと検索してみたら、 このシーンは変だ、 と仰るブログなどがたくさん出てきました。 そうですよね。。 総合すると、 司馬さんの原作にはこのシーンは無くて、 今回のドラマ独自の脚色らしい。 漱石が「謝る」のはおかしい、 という意見もほとんどでした。

件の《大和魂》に関する漱石のことばは、『吾輩は猫である』の第6章に出てくる内容とおなじだったと思います。 『吾輩は…』は『ホトトギス』に連載されたから、 原稿を持ってきた漱石が、 つい先ほどまで面白おかしく書いていた原稿のノリで 《大和魂》を茶化すようなことを口走ったと、、 そういう脚色にしたと想像してみましょう。。

そこまではまぁいいとしても、 「自分などは結局は軍人を頼みにするしかない…」 と言って、手をついて「謝る」というのは、 漱石を読む人のほとんどが違和感を覚えるのではないでしょうか。 ましてや、 のちの文章で、 いっときの戦勝国になった日本への懐疑をさまざま書き残している漱石ですし、、、

 ***

《大和魂》という言葉は、 漱石作品の中で、 ほぼ同じ時期にもう一度出てきます。 『吾輩は…』の翌年、 明治39年1月に発表された 『趣味の遺伝』という作品。

物語はいきなり 殺戮の幻想シーンからはじまる。 、、、歩きながら幻想に耽っていた語り手「余」が 我にかえると、 兵士たちの凱旋の行列にいきあたる。 旅順からの凱旋兵の列。。 それを見て「余」はさきほどまでの自分の幻想を、 こう思う…

「戦争を狂神の所為(せい)の様に考えたり、 軍人を犬に食われに戦地へ行く様に想像したのが急に気の毒になって来た」、、

、、つまり、 兵士たちが犬に喰われるシーンから物語は始まるのです。

そして、 色の黒い、 胡麻塩髯の将軍、 すなわち「乃木大将」とおぼしき人物の凱旋に、 通りの人々が「万歳」の声を上げる。 、、しかし「余」は… 

「将軍の髯の胡麻塩なのが見えた。その瞬間に出しかけた万歳がぴたりと中止してしまった。何故?」

、、、そして《大和魂》という言葉は、 将軍が通り過ぎたあとの、 兵士たちの場面で出てきます。

「…所へ将軍と共に汽車を下りた兵士が三々五々隊を組んで場内から出てくる。 …いずれもあらん限りの髯を生やして、 出来るだけ色を黒くしている。 これ等も戦争の片破(かたわ)れである。 大和魂を鋳固めた製作品である。 実業家もいらぬ。 新聞屋もいらぬ。 芸妓もいらぬ。 余の如く書物と睨めくらをしているものは無論いらぬ。…

、、、「坂の上の雲」で 漱石が「文学者などは結局は軍人を頼みにするしかない」と言った点と、 共通する表現とも言えます… が、そうなのでしょうか。。 、、この点は、 それぞれお読みになって判断いただければ、、と。。。

 ***

第2章は、 旅順で戦死した友人の「浩さん」についての話になります。 「余」は「松樹山の突撃」の様子を想像し、 「浩さん」の最期の様子を想像します。 長い文章ですので、 ところどころだけ拾い上げますが…

「…塹壕に飛び込んだ者は向へ渡す為に飛び込んだのではない。 死ぬ為めに飛び込んだのである。… 横わる者だって上がりたいだろう、 上りたければこそ飛び込んだのである。 いくら上がりたくても、 手足が利かなくては上がれぬ。 眼が暗んでは上がれぬ。 胴に穴が開いては上がれぬ。…

「…寒い日が旅順の海に落ちて、 寒い霜が旅順の山に降っても上がる事は出来ん。ステッセルが開城して… 日露の講和が成就して乃木将軍が目出度く凱旋しても上がる事は出来ん…」

 ***

、、このあと、 物語の筋は少々変わった展開になっていきます。 これも 漱石流の 妙な芸術論やら、 しまいにはややこしいスピリチュアルな話などになっていきますので、 大筋だけ、 ごくかいつまんで書きますが、、 

戦死した「浩さん」の墓参りに行くと、 見たことのない若い女性とすれ違う。。 「浩さん」の墓には白い菊が供えてある。 、、後日、 「浩さん」の家で母親から「浩さん」の遺品である日記を見せてもらうと、 そこには、 決戦を前にして仮眠中に「女の夢」を見たと書かれていた。 郵便局で一度見かけただけの女だという、、

、、そして 「余」は人づてに女のことを調べていくと、、、 結局は、 郵便局で一度見かけただけの女のほうも、 「浩さん」のことを慕っており、 それで墓参りをしていたのだと、、、 そういう 出来すぎた物語なのですが… 


物語の最後はこのように終わっています。

「余は色の黒い将軍を見た。…ワーと云う歓迎の声を聞いた。 そうして涙を流した。 浩さんは塹壕へ飛び込んだきり上って来ない。 誰も浩さんを迎に出たものはない。 天下に浩さんの事を思っているものはこの御母さんとこの御嬢さんばかりであろう。 余はこの両人の睦まじき様を目撃する度に、 将軍を見た時よりも、 軍曹を見た時よりも、 清き涼しき涙を流す。…」  

 ***

抜粋ばかりなので、 もし関心のある方はぜひ 『吾輩…』の他に、『趣味の遺伝』も読んでみてください。 

、、なんだか、、 ここまで書いてみて思うのです。 最初の「坂の上の雲」の話に戻って、、 漱石は、 たぶん ひとりひとりの 軍人のためになら「謝る」かもしれません。 ひとりひとりの軍人に対して、 自分は無力だと思うかもしれません。

でもそれは、 「塹壕へ飛び込んだきり上って来ない」 無数の兵士のことが頭にあるから、、 なのでしょう。


ひさしぶりに 漱石について書いてみました。

ことしもどうぞよろしくお願いいたします。

2012-01-02 | …まつわる日もいろいろ



昨夜の「ウイーン・フィル ニューイヤーコンサート2012」 楽しかったですね。 弦の音がきらきらしてた。。

日ごろ、 あまりTVを見ないけど、 お正月はTVづけになります。 年越しに家にいられる時は(旅先のTVでも) N響の第九(いろいろ文句をつけたりして・笑)、、、 それから 「ジルベスターコンサート」、、今回のカウントダウンは「ボレロ」でしたね。

昨夜のウイーン・フィル、、 いつもバレエシーンも楽しみなのですが、 今年は「クリムト」! クリムトの「接吻」の前で踊る 接吻の絵の中の男女に扮したバレエダンサー。。 お衣装も素晴らしかった。

ニューイヤーコンサートを見ていていつも思うのですけど、 あれだけカメラワークがあちこち変わって、クレーンのようなカメラの動きなのに、、 オーケストラと会場のどこにもカメラが見えないのは 何故?? いつもすごいな~~と思って見ています。


 ***



今回の旅先、、 昔ながらの商店街の店先でみつけた「ぐい呑み」。 手に持った時に ろくろの筋がすっと掌になじんで心地よいです。 

いままでの旅や、いろんな方の思い出とともに、、、 京都で買ったお箸、、 群馬の方からいただいた小鉢、、 義妹が選んでくれた大皿、、 父が50年以上前に買った前菜皿、、 20年前に母と行った萩の銘々皿、、 などなど。。 

今日はきっと、、 会津で買ったお椀で お雑煮をいただきます。

そして 駅伝を肴に、、 またお酒がすすみます。。。


今年一年が

2012-01-01 | …まつわる日もいろいろ
健やかで 力強い 年になりますように。




















そして、 日本という国にとっても

晴れやかな一年に なりますように。。。