星のひとかけ

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アンドリュー・ワイエス展 美術愛住館

2019-05-03 | アートにまつわるあれこれ


四谷三丁目に昨年あたらしく出来た「美術愛住館」へ 「アンドリュー・ワイエス展」を見に行って来ました。
http://aizumikan.com/
この美術館は 故堺屋太一氏と奥さまの洋画家・池口史子さんがお住いになっていた邸宅を美術館にしたものだそうです。 新宿通りから入ってすぐの場所にありますが、 大きな木立がそびえ、 一瞬で大通りの喧騒から離れた 落ち着いた佇まいになっています。




アンドリュー・ワイエス…

アメリカ北東部のメイン州クッシングという海に面した土地、、 そこに住むオルソン姉弟の住まい「オルソンハウス」の寂れた家や納屋を描いたものや、 オルソン家の姉を描いた 「クリスティーナの世界」で あまりにも有名な画家です。 、、あまりにも有名、と書きましたが 実際のところ私は今書いたこと以外、 ワイエスについて何も知らないことを 作品を見ながら考えていました。 、、この オルソン家を描いた水彩画の さびしい窓や 古びた納屋や そういったワイエスの絵を、 私はいつ知ったのだろう… いつから私の頭の中に ワイエスの絵の世界や クリスティーナの姿が 焼きついていたのだろう…  ぜんぜんおぼえがないのに、 ワイエスはどうしても見たい画家でした。


ちいさな美術館の中には とても多くの人がワイエスの絵を観に来ていました。 
オルソン家の壊れた窓、 家具らしい家具のなにも無い部屋、 いつ作られたかわからないきっとぼろぼろになっているらしいベッド掛けのキルト、 戸外に忘れられたようにぽつんと置かれたバケツ、、 人の暮らしの気配がそこには無いかのよう…

でも ブルーベリーを集める熊手や、 納屋にひっそりといる牛、 穀物を詰めた麻袋や、 殻のついたままの豆がぶら下がった袋、、 

人間の暮らしとは こんなにもつましく さびしく せつなく ひそやかなものであり得るのだと… それでいてこんなにも力強くあり得るのだと… 
これらのしずかなものたちを通じてワイエスが感じていた「物語」を わたしも知りたい、、 どんなふうにこの姉弟が生きたのか なにも知らないことがあまりにもせつなく、、 なのにあまりにも身近で、、 
… もしも ひと気の無い美術館でこれらの作品を見つめていたら はらはらと涙を流すのを抑えられなかったかもしれません。。

 ***

「クリスティーナの世界」は ニューヨーク近代美術館にあるのだそうです。 今回の展示ではその習作デッサンが何点も展示されていました。

、、 病気の影響で四肢に麻痺があり 細く骨ばったクリスティーナの手の関節を描いたもの、、 自分にも(同じではないけれど) 病気があるので そのクリスティーナの手を見ているだけで胸がいっぱいになります。 その手で 草を這い 身体を支えて わが家をめざす、、 「クリスティーナの世界」の画世界をささえているのは まさにその細い手。。

ワイエスは リアリズムの画家、と言われていますが、 「クリスティーナの世界」で知ったのは、 ワイエスが見ていたのはオルソン家の窓からだったそうです。 だから、 本当の写実であればクリスティーナがこちらに向かって這って来る姿を見ていたはずなのです、、 でもワイエスはそれを頭の中で反転させて クリスティーナの後方から家へ向かう姿を描いた…

そこに ワイエスが感じ取った「物語」があるはず… 


、、 ワイエスについて、 彼の絵について、、 もっともっと知りたいと思いました。

 ***

Christina's World のWiki はこちら>>

姉弟が暮らしたオルソンハウスについてはこちら>>

動画でも アンドリュー・ワイエスについて紹介したもの、 クリスティーナの世界についてのもの、 いくつもあるようです。 英国のモンティパイソンで有名なマイケル・ペイリンが案内する Wyeth´s World という一時間番組などもありました。


、、また ゆっくりと見てみたいです。 ワイエスについての本も 読んでみましょう…



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