星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

アウグスト・ディールはまだ無名ですが

2005-05-31 | 映画にまつわるあれこれ
そう、相対化されていない独り言とは
醜いものなのだ。
下でつまらない事を書いてしまったので、、、

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今、謎のピアノマンが話題だけれど、
この映画のプロモーションではないか、なんて話もありますね・・・>>『ラヴェンダーの咲く庭で』
この映画に出ているダニエル・ブリュールの方がドイツ人俳優として先に有名になっていますが、私が金の卵だと思っているドイツ人役者さん、アウグスト・ディール君の映画が3本も、今度の『ドイツ映画祭』では上映されます。『青い棘』(写真)では、例のダニエル・ブリュールとの共演。『9日目』ではナチスの将校役かな。
『タトゥー』はすでにレンタルにもなっているので、以前に日記にも書きました。

19世紀の貴族も、ナチスの将校も両方似合いそうな古典的な高貴な雰囲気も残しつつ、ラストは絶対狂気に陥って自滅しそうな(大いに希望的偏見もありますが)危うさが魅力でしょう。ただの<良家のご子息>では有り得そうも無い所。。。ああ、そうだ、『タトゥー』も今回上映されますが、絶対に、エンドクレジットで席を立ってはいけない映画ですね。

タトゥーのラストではあれだけ危険な雄姿を見せてくれた彼ですが、エージェントの写真を見れば、ただのやんちゃな男の子(頭ボサボサだし)、、、まあ、そのギャップが役者といえば役者なんですが。映画祭、楽しみです。


これも開き直りの独り言か・・・?

2005-05-30 | …まつわる日もいろいろ
以前書いたNYパンクのドキュメンタリー
『Blank Generation』が先日届いた。
30年前のCBGBでの年越しパーティが楽しそうだ。
トムとパティが寄り添っていて、レニーが馬鹿をやっていて、ウェイン・カウンティやら、ジョン・ケイルらの姿も。でもそれだけの映画なんだけどな。いくら<伝説化>しても、憧れても、彼らはもう昔の姿では無いんだし。。若者はこれに興奮するより、21世紀の誰かを崇めなさい、と言いたい。

『Dancing Barefoot』の方は、95年、パティが「Dream of Life」で復活した後、夫の死などが重なり、しばらくなりを潜めていた間に作られた物のようだ。レニーが「また一緒にやりたい」と答え、ドラムのドーハティも、「いつか俺も復活する」と言い、ベースのトニーはまだロングヘアーで別のバンドにいる。その彼らが今は一緒に、第一線にいる。
PUNKの時代を一種のノスタルジーとして、その一員だった自分を誇示するようにこの映画を撮った元ギタリストのアイヴァンの自己満足的映画かな。。。その彼だけが今はメンバーでない。皮肉なものだ。
・・・ひとつのムーヴメントは、同時代にしか機能しない。その価値を辿る事はできるけれど、そこに再び生きる事は出来ない。それが解らずに、60年代、70年代ムーヴメントの再現? 焼き直し? そんな錯覚のコミュニティーで生きている者は多い。自己同一視できる所にだけ価値を置いているから、共同体を離れたら、世界に対しては何ら機能しない。

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日本の私小説のすぐれた作品を読むと、西洋人は、これは小説ではなくて、エッセイじゃないか、論文の一種じゃないか、事実をそのまま書いている、作者の観想を述べている、これはエッセイだ、というようなふうにとります。・・・

・・・ところが自然主義の全盛期から爛熟期にはいった大正初期になると、小説とは告白であり、告白的要素を持った小説だけが価値があるという考えが一般化し、また事実そうした作品にすぐれたものが多くみられるようになりました。・・・これは、当時の封建的道徳にしばられていた読者にも、また作者にも、告白によってそれに反抗し、新しく生きる道を見出そうとする、いわばロマンチックな要求があったためと思われます。

・・・それらの鑑賞のためには、作者の生きた世界に読者が自分をすてて入りこまねばならぬという、共通の性格を持っています。いわば作者の文学観に共鳴し、彼の個性に興味を持ち、自分自身も文学者になろうとしているような青年たちをしかひきつけ得ない弱点をそれらの小説は持っていたので、このような「完成」は・・・社会における需要の増大とともに、その本来の閉鎖性のゆえに、崩壊する運命にありました。         (『明治・大正・昭和』中村光夫 新潮選書)

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 上記では、いちおう「崩壊」と書かれているけれど、その後、一時的に社会化の途を辿った文学ないし文化が、今度は一億総オタク化の中に取り込まれていった。日本に本当の意味の小説が育たなかった事と、日本にRockが今だ育っていない事の根は一緒なんだと思う。日本人は本当に告白が好きだ。告白、というなら聞こえはいいが、その本質は、開き直りか、泣き言か、自慢話か。小さなコミュニティーの中でだけ機能する馴れ合い。でも必要なものはその安心感なんだろう。

これは直喩でしょうか、暗喩でしょうか、、、。

2005-05-27 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
3つの締め切りに間に合わせてたら、
今週はとことん、疲れました。。

今日も仕事の前にふたつの図書館はしごして
気づいたらお昼食べてなくて、
10分しかないから珈琲とバームクーヘンだった。

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漱石を読んでると、美味しそうなお菓子が結構出てきます。
『こころ』には、「チョコレートを塗った鳶色のカステラ」が出てきます。こないだこのくだりを読んで、急に食べたくなりました。『それから』だったかな? ホットチョコレートも結構出てくるし。

でも、漱石は怖いです。ホラー小説なぞより、ずっと、怖いです。

   「恋は罪悪なんだから。・・・
    ―――君、黒い長い髪で縛られた時の心持を知っていますか」
                           (『こころ 十三』)

こんな恐ろしい言葉が、屡々、出てきます。こんな恐ろしいものを青少年の教科書に載せる気が知れません、、、。だまされたと思って読んでみると、、、、結構ぞっとするのです。

夏目漱石『こころ』(Amazon.co.jp)

MYST IV

2005-05-25 | …まつわる日もいろいろ
お仕事から帰って、もうひと仕事。

3時間くらいあっという間。
でも、書きもののお仕事に
苦痛を感じたことって無いな、、、(眠いけど)

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先日。
もう10年も前に第一作が出たゲーム、「MYST」の第4作目がこの春に出たらしいと知った。私は「MYST」「RIVEN」とクリアしたあと、「EXILE」で止まっている。卒業したら、絶対やる。
新作のHPに、ミニゲームがついてたので、これだけやってみた。この程度ならあっさりクリア。映像もますます美しくなって、、、老人になってもやりたいゲーム。
MYST IV リヴェレーション 日本語版 HP>>

MYST IV リヴェレーション(Amazon.co.jp)

ゴシックは怖がるものにあらず。

2005-05-24 | 映画にまつわるあれこれ
話は前後して日曜の話。
疲れてて、「寝かせてくれぃ」状態だったのだけど、
せっかくの日曜の夜、それでは勿体無いので
ビデオを観た、、、元気の出るのを。

前に『アンダーワールド』のことも書いたけど、同じケイト・ベッキンセールが出ている『ヴァン・ヘルシング』。でも、ケイトは髪短い方がいいな、私としては。
主演はヒュー・ジャックマン。『ソード・フィッシュ』(DVD)で、トラボルタの手伝いを無理矢理させられる天才ハッカー役で初めて見ましたが、ハンサムな人ですね。年を重ねたら、クリント・イーストウッドのようなお顔になるでしょう。

ゴシック物は大好き! この映画は、19世紀末、ルーマニアのトランシルヴァニアのドラキュラ伯爵物語なんだけど、フランケンシュタイン博士も、狼男も、それから、ジーキル博士とハイド氏のハイドが、なぜかなぜかフランスに居る!(しかもノートルダム大聖堂の鐘楼に・笑)、、、、というわけで、豪華キャストの『怪物クン』って感じ(古いな)。

たまたま手元にある『ゴシック幻想』(紀田順一郎編)の中に、「読者の側に、すでに大前提として、ゴシックが侮辱すべき失笑の要素に富んでいるという認識があって、はじめて成立する」とあるのだけど、その通り! 『ヴァン・ヘルシング』は笑うべき映画なのです。
嘘ぉ、なんでノートルダムの鐘にハイド氏なん?(しかもあの身体つき)、、とか、、、バチカンの地下になんでチベット僧がいるん?(しかも武器つくってるし)、、とか、、、新兵器を物色しながら「あれがいい!」 「あっ、、あれはまだ開発中で、、、」とか言う辺りはOO7のおきまりのパターンだし、、、、そんな風にパロディ満載、やりすぎ、大袈裟すぎのところが面白いの。

ところで、、、ヒュー・ジャックマンのお供をする修道僧(破戒僧・笑)役の人、、、、「どこかで見た、、誰?、、誰?、、思い出せない~」と最後まで思い出せず、データ見て、おお!『ロード・オブ・ザ・リング』のファラミアじゃありませんか! 全然違う、でも上手。。すばらしい。
『リア王』でもそうだけれど、どんなにハンサムな主役よりも、見事な道化役のできる人は、本当にすばらしいと思う。ファラミア、、じゃなかった、デヴィッド・ウェンハム良かったです。

トランシルヴァニアのCGの風景もすっごく美しくて(ゴシック的な意味でね)、途中の、ドラキュラ伯爵邸の仮面舞踏会もすっごくゴージャス&退廃的で、、「あんなテーマパークどこかに、ない? ねえ、ない?」と騒いでました。

ヴァン・ヘルシング オフィシャルサイト(USA)>>

「ヴァン・ヘルシング」(DVD)

星と星のふしぎな相関

2005-05-23 | 映画にまつわるあれこれ
書けるのか・・・?
と不安だった原稿も、約70枚まとめ、
面談もクリア。

少しホッとして、ほっとひと息ついてからのんびり先へ進もう、
と思っていた処が、今後の進行予定が半年ほど早まりそう。。。
それは、早く進めなさい、という嬉しいご助言があったためなのだけれど、期待に応えられる? ますますやることが増えたね、自分。。

、、、ああ、、忙しくてもお家の中をきちんとしていられる人が羨ましい。
床に積まれた本、下から引っ張り出しては雪崩を起こす、、、埃がたまる、、、でも、ガラス書棚がもういっぱい、、、というわけで、やっとお片づけ。またダンボール箱が増えた。

夕食もとらずにやってて、ようやくテーブルに着いてTVつけたら、『スモーク』をやっていた。半分以上終ってたけど、見ている内にいろいろ思い出してきた。ポール・オースターの本は、ありえないようなお話、が多くて、小説や脚本としてどうみてもそれが欠点であったりもするはずなのに、でも好きになってしまう。『スモーク』も、煙草屋さんに集まるいろんな人種、いろんな階層の人たちがいるから好き。それはオースターがユダヤ系という「よそ者」感覚を持ちつつ、ブルックリンを愛しているからなんだろうな。誰だって、、みんなちょっとずつ、よそ者で、ちょっとずつ、つながっているんじゃない?
ビルとビルの間を電車が走る、ラストの映像を見てて、それはちっともキレイな場所ではないのだけど、今の自分にはとても親しみをもって感じられた。

明日は『ルル・オン・ザ・ブリッジ』なのだって。
このブログのタイトル、まさに<星のひとかけ>のお話。
いま、、自分がとっても頑張ってさがそうとしている、文学の中の<星と星のふしぎな相関>、、、それを考え始めた矢先に、オースターのこの物語を知った。ちょうどひと息ついた時に、オースターの映画やっててくれるなんて、、、すごいプレゼント、ありがと。

「スモーク」(DVD)

必要な、本

2005-05-09 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
戦後60年。
戦地で生れた私のいとこも、60才を過ぎるということ?

先日、図書館でステルンの新しい本を見つけた。
『雷鳥の森』
訳者の解説を読んで、ステルンさんがまだお元気で
故郷の山で暮らしているのだと知った。

ステルンの作品は、ぜひとも『テンレの物語』から読んで頂きたいと思う。そのあとで『雪の中の軍曹』や、この『雷鳥の森』(短編集)を読むのがいいと思う。人間は、戦争においても人間なのだ、という立場に基づいて書かれているのがステルンの物語だ。
『テンレの物語』については以前、自分のサイトで紹介しました。>>「HOMEWARD BOUND ~ 帰るべき場所」
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なかなか忙しくて思うようにいかない、、。でも、この『雷鳥の森』をはじめ、「大人の本棚」というシリーズの本を見ていると、読みたいものがたくさんある。覚え書きのために載せておきます。こういう本がきちんと訳されるのはありがたいし、とても必要なことだと思うから。
みすず書房 大人の本棚シリーズ

かつては戦乱の地、、、今は温もりの街

2005-05-05 | …まつわる日もいろいろ
GWの最後にちょこっと、、
お城のある街へ出掛けてきました。

大正時代のつくりのお店がたくさんあって、
骨董店、陶器・漆器の店、染物の店、喫茶店、、ひとつひとつ覗いていけばきっとまた楽しい旅が出来るだろうと思われましたが、今回のメインは史跡をめぐる旅。

市内バスを待っていると、、、
ビニール袋片手にゴミを拾いながら来るおじさん。。でもなんだかスーツ姿。
煙草の吸殻を丁寧にひとつひとつ挟んで、、、。近くへいらしたので、脇へ退くと、、「いや、すいません」「…あ、いえ、ご苦労さまです…」
「観光の方ですか」と訊かれるので、ハイと答えると、「ワタシ、ここの市長やっとります!」
・・・は? 市長さん?

国民の休日、、、私達とちょっと立ち話をして、市長さんはまたゴミを拾いながら、今度は、駐在所に立ち寄って、お巡りさんに声を掛けて行きました。。。偉いですね。
市長さんの心掛けが街のみなさんに伝わってるのでしょうか、、、そういえば、街はとても清潔で、歌壇にはお花がいっぱいで、、、翌日の子供の日には、商店街でお祭りをやっていましたが、、まあ、街中の家族が集まったかと思われるような賑わいで、、、これから巨大巻寿司をつくります~、とアナウンスしていました。。きっと市長さんも一緒に巻いていらしたのかもしれませんね。