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星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

a piece of me...

2018-12-30 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
大掃除、、 というほどではなかったけれど お部屋も片付いてようやくお休みを過ごす準備が整いました。




この年末年始、 東京は晴天がつづきそうです

秋以降、 何度も台風の雨風にさらされてすっかり汚れてしまった大きな窓を 今日はすっかり綺麗にして、 ほら 部屋の中からでも 青空と飛行機がきれいに望めます。。 (心なしかいつもより大きい飛行機がとんでいる気がする…)




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このあとは 明日までずっとお台所でのお仕事が待っています。。 美味しいお正月を過ごす為に…

そのまえにちょびっとお休みしながら 一曲音楽を検索していました。 、、それは、、 HALL & OATES  の Everytime You Go Away(1980)

ポール・ヤングの歌で大ヒットしましたよね、 素敵な曲です。 私もそちらは知っていたけれど、 オリジナルがホール&オーツだというのは知らなかったんです。 今ごろ何故か、っていうとね…

先日 『凍てつく街角』という本のことをちょっと書きました。 飲んだくれデンマーク刑事の奮闘ミステリ(>>
ミステリ作品の刑事、と言ったら 大概 心に傷を持つ 何かを喪失した男… と決まっているようなものなのですが、 あの飲んだくれ野郎もまた 癒されない傷を抱えたままの男で、、
…で、 殆んどアル中気味のそいつが バーのジュークボックスで必ず ホール&オーツの「Everytime You Go Away」を聴くのです。 ポケットに小銭がある限り、、 何度でも。。 ほかの客に煩がられて ボコボコにされてもなお、、その曲を聴こうとする…

ポール・ヤングの名前も出てくるんですが、 絶対にダリル・ホールじゃなきゃ駄目なんだ、って。。

この刑事もののミステリは このあとシリーズ化されているらしくて、、 この刑事の心の傷も、 ダリル・ホールの Everytime You Go Away の意味も、 たぶん後のシリーズにもきっと関係してくるんじゃないかと思うのですが、 今作ではその謎はわからない。。 今回の事件では語られない。。

、、そこまでこだわる ダリル・ホールの歌う「Everytime You Go Away」、、 聴いたことが無かったので、 読み終えて結構時間が経つけれど なんだか気になってさっき 聴いてみていたのです。

、、 聴いてみると 確かに良いですね、、 歌詞のせつなさがこちらのほうが伝わってくる気がします。 有名なフレーズ…

 Every time you go away you take a piece of me with you


、、これを聴いて酔い潰れていた刑事さんの 《失った心の欠片》は いつかシリーズの中で明かされるのでしょうか、、。 あの本を読んだ限りでは まだボロボロに壊れたままの心、 壊されたままの過去は、 いつか最後の1ピースが解明されておおきな図になる日が来るのでしょうか、、。 その日の為に彼は生きつづけているようにも思えるけれど、、 でも そのときが来て、 《心の欠片》が昔のままの 元のままの同じかたちに戻るとは、、 残念ながら そうは思えない。。 
だって、、 過去は二度ととりもどせないもの、、 ね。

、、 物語は酷い男たちと可哀相な女たちばかりのものだったけど、、 こうやってダリル・ホールの歌を聴いていると、 あの店で酔い潰れてこの歌を何度も何度も聴いていた刑事さんに ちょっとだけ気持ちが寄り添えます。。 物語の中でのこの歌の占める重要さ、、 それは、やっぱり聴いてみないとちゃんと感じられないものなのでした。。。

そういう (本の中では聞えないのに)音楽が語る物語というのもまた、 音楽が持つ力のひとつかも。。

 ***


ジュークボックス…


レコード…


コインを入れて1曲の音楽を聴きながら飲むお酒…


、、 2013年に書かれた小説でもそれが舞台になるからには、 たぶんデンマークにはまだそういうバーがちゃんとあるのでしょう。。 



《心の欠片》を求める人が居られる場所が、、 つぎの世にも残っていますように…


凍てつく街角の偶然…

2018-12-22 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
昨日読み終えた本の話…

、、なのですが、その本の話はそんなに重要では無いんです、、(笑) なんて言ったら作者さん等に失礼になってしまいますね、、 

しばらく前に読んだペレス警部シリーズの『空の幻像』は、、作者アン・クリーヴスさんが女性のせいか 登場人物が女性友だちの結婚で集まったメンバーという設定のせいか、 女性同士の心の中(つきあいの中では表れてこない) 羨望とか、比較とか、ちょっとした妬みとか、隠し事とか、、 そこから生まれるサスペンス。。 アン・クリーヴスさんはそういう女性ならでは視点が特色でもあり、、 でもちょっとそこが(私には)物足りないかつ鬱陶しい部分でもあり、、

ならば 男の人が書いた刑事もの、、 ということで 「酒浸りの生活を送るコペンハーゲン警察の捜査官…」 という紹介文だけで決めた作品、、 デンマークのミステリ小説『凍てつく街角』ミケール・カッツ・クレフェルト著 長谷川圭訳 ハヤカワポケットミステリ を読みました。

、、一気に読んでしまいましたし、 主人公のキャラも良かったんですが、、 今度は《酒浸り刑事》と《裏社会のギャング》と《そのギャングの食い物にされる悲惨な女たち》という、、 (クリスマスを前にしてなんでこんなん読んでいるんでしょう…)って思いながら読んでいました。。 デンマークとスウェーデン 隣国同士ってやっぱりどこか対抗意識というか 仲悪いんでしょうか、、 スウェーデン警察のヴァランダー警部シリーズの人道主義というか人間味というか、を鼻で嗤うように なぜか舞台はスウェーデンの裏社会の悲惨と警察の無能さ。。

おまけに 前にヘニング・マンケルさんの小説に出てくる《菓子パン》のこと書きましたけど、 スウェーデンの《菓子パン》までコケにしている辺りは 笑いのネタなんでしょうか、 本気なのでしょうか、、 そういう部分は悲惨な事件の中でクスっとさせる面白さはあったけど…

、、 ともあれ、 (ある程度優れた)各国のミステリ小説を読むのは 現代の社会事情が垣間見れるという点ではやっぱり面白いです。 来年も手ごたえのある作品を探して、ミステリ読みは続いていくでしょう。。

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で、、 そのデンマーク酒浸り刑事VSスウェーデン裏社会 の最後の大団円で なぜか飛び出して来た文の中に、 『ニルス・リューネ』という小説の名が…



『ニルス・リューネ』とは、 デンマークの19世紀の小説家 イエンス・ペーター・ヤコブセン (Jens Peter Jacobsen)の唯一遺した長編小説。 リルケが大変愛した作家で、 『若き詩人への手紙』の中で、ヤコブセンの短編と、 『ニールス=リーネ』という小説をぜひ読むように、、 と書いている…と。 これは昨年末、 ヤコブセンの短編について此処に書いたために『ニルス・リューネ』を覚えていたんです(そのときの日記:印象主義と詩人の魂:「モーゲンス」J.P.ヤコブセン『ここに薔薇あらば 他七篇』より >>

、、 『凍てつく街角』の作者は、どうしてここで突然 1世紀以上も前のヤコブセンを出したんだろう… たぶん、日本で読むミステリ好きの人には『ニルス・リューネ』なんて全く聞いたことないだろうし、、 でも、 デンマークでは有名なのかな?? それとも、 案外 この作者クレフェルトさんの愛読書だったりして。。 それとも、『ニルス・リューネ』の青年とこの酒浸り刑事とを なにか結びつけるものが隠されているのかな…

、、独りで乗り込むハードボイルドな酒浸り野郎の物語はそこそこでしたが、 偶然にも去年の今日、 『ニルス・リューネ』やヤコブセンやリルケや山室静さんのことを書いていたのを想い出して、、 なんだか無駄な読書ではなかったな、、とちょっと嬉しくなりました。

、、 年が改まったら、 落ち着いて読書が出来る時期に 『ニルス・リューネ』山室静さん訳で読むことにしましょう。。 

、、 読書に限らず、 音楽もそうだけれど、、 不思議な糸で手繰り寄せられて 次の作品が見つかるのって面白い。。

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おとといの夜明けは ちょっと北欧な感じの空でした。




この連休はお料理を頑張るのです。。 先日 寸胴鍋でつくった骨付きチキンのシチューは最高に美味しく出来て、、 あれを超えるものをクリスマスに作るのはハードル高いな… とちょっと困っているのだけど、、 。

、、今日は冬至。

部屋に低く差し込んでくる夜明けの光が愛おしいです。





、、 そろそろビストロのおかみに戻りますね…

BGMは 、、 シベリウスの二番で…

「読」んで「好」い……?

2018-12-12 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)


昨日は お友だちと二人で忘年会ランチ
先日の素敵な音楽会の話や お友だちの出かけた旅のお話や、、 景色のよい場所で。。

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今年の漢字の発表は明日でしたか…?

わたしの今年の一字は紛れもなく 「読」、、かな。 いつになく読書に浸った一年、、 しかも 今まであまり触れて来なかった海外ミステリー、、 北欧やスコットランド、、 諸島の風景などと共に未知だった風俗や歴史を楽しみました。

、、 本心を少し語ると、、 国内のあちらこちらで起こる自然災害や、 信じられないような惨い そして理由もよく解らない事件、、 そのようなものが多すぎて、 正直 ニュースやSNSを読むのが精神的につらいと感じることの多い一年でした。 情報として報道には触れなければと常に思っているけれども、 痛ましい事件や災害で心を痛める一方で そのような出来事にすら え…? と眼を疑うような反応も寄せられたりする…… そちらのほうがつらかった、、

、、 だから いわば「逃避」としての読書の意味もありました。。 ミステリーならば どんな残虐な事件であっても架空の世界だし、 それに何より 事件は「解決」するから。。

そんな風にミステリーを読んでいくうち、 前にも少し書きましたが ヘニング・マンケルさんのシリーズでは 現在の世界そして特に 今の自分の国の状況のことが すでに80年代からの兆候として作品の中で危惧されていたことに驚きました。 「移民受け入れ」のこと、 「東西格差・南北格差」 「人種偏見」 「ヘイトクライム」、、 そして ついには 「理由のない攻撃」


これは 『目くらましの道』の中の一節だったかしら…? (間違っていたら御免なさい)

社会の中で「必要とされない」「歓迎されない」という疎外感が生み出す「攻撃性」と「軽蔑」…

、、今年の一字をさきほど「読」と書きましたけど、、その結果 どこへ心が向かったかというと 「異」という意識へ。。 自分とは異なる考え、 異なる民族・人種、 異なる思想・身体などを持つ人に対する攻撃や軽蔑、、。 そういうヘイト 同調圧力、、。 マンケルさんの作品では20年も前から描かれていたこと、、 理解しがたい事件を捜査しながら、、 いったい自分に何ができるのかと苦しみ、、 でも 少なくともそんな中で人の安全を守ろうとする警官でありたいといつも踏みとどまる… 
、、 いつも書くものは忘れるし ペンは無くすし 携帯の電源は入れないし 拳銃さえ車に置き忘れる もうどーしよーもない《おっさん》なんだけど、、 読んでいて本当に救われました。。
 

「読」むことで 「異」なるものの見方や 「異」なる世界を嫌悪するのでなく、 「異」でいいじゃないか、、 さらには「好(い)いじゃない」、、 へと心が向かえば幸せになれる。。

本の旅も 心の旅も、 ほんものの旅も、、 知らない世界に出会えること、、 ちょっとだけ真新しいことでも「異世界」への扉になる。。 その扉はずっと ずっと 限りなく遠くまでわたしを連れて行ってくれる、、。

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私のスナフキン好きを良く知るお友だちから 昨日貰ったプレゼント
(スナフキンコレクションどんどん増えていきます…)


大好きな旅人 スナフキン。 誰にも染まらない孤独な旅人だけれど、、 誰をも拒絶しない 誰の自由も尊重する 大好きな人……