星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

LOUVREから MOOMIN。。

2009-04-30 | アートにまつわるあれこれ
きのう、 新緑美しい中、 国立西洋美術館の「ルーヴル美術館展」へ行ってきました。 GWで混雑するのは覚悟のうえで、、でも、 開館時間が午後7時までなので、ゆっくり午後遅くからのおでかけです。 前庭のロダン作「地獄の門」は、午後の陽光に照らされて、 みずみずしい新緑にふちどられて、 いつもよりくっきりと荘厳でした。 入場待ち(約20分~)の間に、パチリ。。

この美術展については、 前の日記にも書きましたね(>>

HPの方にも載っている、フェルメール「レースを編む女」は、おどろくほど小ぶり。。 いままで観た中でも一番小さく、 色やタッチもおだやかな感じがしました。
クロード・ロランは、、 美しかったですね~、、 光が。。 夏目漱石の浪漫的小品「幻影の盾」に、、「伊太利亜の、伊太利亜の海紫に夜開けたり」・・・ と、伊太利亜の夜明けの海と、帆船のようすを描いた部分がありますが、 私はずっと、 あの「伊太利亜の・・」の光は、クロード・ロランの光、だと思っております。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、やはり素晴らしかったですね。 絵の前でずっと止まっていたいくらいに。。 蝋燭の炎にかざしたイエスの手の、その透けた様子も、(前にTVで紹介していたように)とても神々しかったのですけど、 蝋燭の軸のほうを支えている、もう一方の手が灯りに色づいている様子もまた、とてもけなげに美しいものでした。 

、、あとね、、 作者不明の、、 「17世紀スペイン派」と書かれていた「法悦の聖フランチェスコ」さまの絵が、 私はとても素晴らしいと思いました。 絵は、地味な僧衣を頭から纏い、腰を紐で縛っただけの聖フランチェスコさまと、暗めの背景だけの何の装飾もない絵ですが、 どこかエル・グレコに似た表情に惹きつけられました。 静かで、、 荘厳な絵でした。

 ***

上野を出た後は、 東京駅へ、、。

大丸の東京店ではね、、「ムーミン展」をやっているのです(笑)。。。 でも両方を見る元気はないので、 お目当ては、、 食品売り場でやっている「ムーミン展の限定スイーツ」・・!! ほんとはねぇ、、私がデパ地下とかでケーキを買うなぞ、、年に1回も、、たぶん無い。。 好きじゃないわけでもないけど、どうも体質的に乳脂肪分が消化分解できない身体みたい。。。 だから、この日も、できたら(ムーミン器入り)水ようかんとかが良かったんだけど、 閉店間近の時間のせいか、見当たらず、、、 でも、マキシム・ド・パリのこちらを買いました!(↓)



スナフキンですよ~~。 チョコムースですよ~。



同じものをくるっと回すと、、 ムーミンに、ミー、お嬢さん、そしてスニフ。 可愛い!

ちなみにね、、 よく見えませんが、スプーンもスナフキンなの。。 以前お友だちが下さったもので、毎朝ヨーグルトを食べるのに愛用してます。

チョコムースはね、、 う~~~、私にはきつかったぁ。。 カフェインレス珈琲2杯おかわりしつつ、がんばって食べた(頑張るもの、か?) でも、空いたカップは、毎朝のジュースをちょこっと飲むのに使おうっ!(嬉)

 ***

ゆうべね、、 何故にスナフキンが初恋なのかと考えた。。。 で、はたと思った。 私には、スナフキンと、「さすらいの用心棒」は同人種としてインプットされてるんだわ。。きっと。 お子ちゃまの時、西部劇大好きだったものね。 似てるじゃない? 帽子を目深にかぶり、、マントを引っ掛け、、 何処へと知れず去っていく、、、 スナフキンでしょ?

だからねぇ、、、 ムーミンがスナフキンに「僕も旅に連れてって、、」ってねだった時、断るじゃないですか、スナフキンは。。。 なぜならきっと、遥かの街には、 置いて来たひとがきっといるんですよ、、、 と、、 私は信じてるんだけど。。

、、 ちっとも「よいこ」じゃない子でした、ね。 妄想好きの、子。。。

ROD STEWART@さいたまスーパーアリーナ④ 〈最終篇〉

2009-04-21 | LIVEにまつわるあれこれ
スーパーアリーナの開演は、5時だったんですけど、入場の頃はまだ明るくて、、 でね、この晩のロッドの口から何度も、「this afternoon show..」という言葉が、、、。 確かにね、、。 それを聞いたら、ステージの雰囲気と相まって尚更、ヴェガスのショーとか、 ホテルのショーとかを見ているような気分になりました。。(或いは新宿コマ、とか、、)

実を言うと、お客さんの入りは、ほんっと、、悲しくなっちゃうくらい、、良くなかったのです。。 開演時間に(ええっ!?、、)と絶句するくらい。 いつぞやの武道館のBECKの時のように、アリーナに席を移動、、にはならなかったけど。。 でもでもそれでも、、ロッドのエンターテイナーぶり、メンバーの素敵さには、感激、、立派でした。 ロッドは、何度も「enjoyして下さい」「enjoyしてる?」って声かけて、、メンバーの方々もステージ上ですっごく楽しそうで、、 あれから何度かyoutubeでロッドのLIVEも見たけれど、どの映像みても本当に楽しそうだものね、、コーラスさんも、バイオリンのおねいさんも、どうしたらあんな美しい笑顔でいられるかしら、、と、尊敬してしまうのでした。。。

 ***

さて、つづき・・・
コーラスガールさんの歌う、Proud Mary が始まると、ロッドは手を伸ばして彼女たちを讃えるように紹介してから、キーボードの後ろのカーテンのほうへと下がっていきました。 下がりつつ、、 後ろ姿で、ステップを踏む仕草をして、、 カーテンの手前で片脚を上げて空のステップ踏むみたいに踊って、、 どこまでも素敵にお茶目です。

ここまで、ロッドの歌った曲、、17曲? 、、数えてた訳じゃないけど、そろそろ終盤だな、、って思ってました。 たくさん聴いたぞ~~って。

曲が終わって出てきたロッド、 今度はお着替えはナシ、だったと思う。。
で、終盤とはいえ、、ここからロッドの見せ場!です。 
Hot Legs が始まると、サイドのカーテンからサッカーボールがロッドに向かって投げ込まれ、 ロッドがそれを体で受け止めては客席に蹴る。。 これがスゴイの! 胸で受けて下へ落として体を捻りつつ蹴り~、、 転がってきたのは足で止めてそのまま蹴り~、、 しかも、Hot Legs~♪と歌いながら、つぎつぎに投げ込まれるボールをどんどん客席に蹴り飛ばす。 狙いをつけて、アリーナ後方やら、右やら、左やら、、中にはスタンドまで届くようなロングシュートやら。 、、前回書いた美容師さんに、この話をしたら、サッカー、、私はよく知らないんだけど、お兄さん曰く「それはホント凄いですよ! ○○○○(←お兄さんの言葉忘れました)しながら歌うって、それは凄いです」、、って驚いてました。 「ロッド、プロのサッカー選手になれる位、上手かったそうですよ」って伝えましたけど。。 あの曲だけで、20個くらい蹴ったんじゃないかしら。。。 アリーナにいたら、頭の上をどんどんボールが飛んでいくので、もしかしたらちょっと怖かったかも~~(←臆病)

曲が終わると、、 ゼイゼイ、、、って。。 ロッドのお茶目なのは、そのくたびれた~~~って顔をみんなにして見せて、 ドラムセットの台のとこ行って腰かけて、、 はぁはぁ、、って、、 汗拭いて、水飲んだりして、、 で、、 ドラムが次を叩き始めたりすると、「もう歌わせるのかよ!」みたいな顔して慌てて立ち上がって、 お客さんに、「まったくなあ?」て感じの表情をする。。 そんなシーンが2回ほどありました。 でも、このHot Legsはタフでしたね~。。 ロングシュート、ほんと流石! アッパレ。。

そして、美しいエレクトリック・マンドリンで始まる、Maggie May。。 いよいよラストの曲かぁ、、。。 たぶん、、歌える人は共に歌い、、 歌えない人は一生懸命手拍子し、、 その拍手が会場に溢れます。 この歌は、マンドリンも、アコギも、エレキも、、弦の音が大好きなんだ~。 バイオリンからマンドリンに持ち替えたおねいさん、、 (何度も言いますが)ほんっと綺麗。 ロッドと笑顔を交わしながら、お客さんにも笑いかけながら。。。 いい曲、いい演奏、でした。

で、、 私はこれが最後の曲、、とばかり思ってうっとりして聴いてたら、、Maggie Mayのあと、Da Ya Think I'm Sexy? のイントロが、、。 いきなりの80年代ビート。 ロッド、、マイクスタンドを両手で持って、腰振ったりしています。。 私はあのHot Legsの後だから、なんかロッドが可哀そうなくらいで。。 でも、Saxも、バイオリンも、コーラスさんも、メンバー総勢で前に並んで、、大盛り上がりでありました。 どこまでも楽しませる姿勢、、お見事。

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Sailing (アンコール)、、、もう、これしかないからね、、。
素敵な映像は、、 動画のほうで。。 
とにかくいま印象に強く残ってるのは、曲の終盤、、ラストシーン。。 

コーラスガールさんらが両手を大きく左右に振りながら、お客さんもそれに応えて左右に揺れながら、、 それで中央のロッドを囲むように集まってきて、あの、ゴスペルのような高いコーラス。。。でしょ? すっかり頭の中には曲の流れ、、 最後のギターソロが頭に入ってるから、 私は、、ロッドを見てました。。 スクリーンにもコーラスさんが映って、そこから、あの熱いギターソロが映るんですよね、、で、、そちらに目が奪われてるから、 だからスクリーンに映ってないロッドを、見てたんですよね、、。 コーラスさんが集まってくると、ロッドはすっと一歩下がって、、 そのままもうお客さんにも手を振らず、振り返りもせず、静かに背後のカーテンの中へまっすぐ歩いて行きました。。 ステージでは、あの熱いギタリストさんが身体をよじって、跪くばかりに、全身で熱血のソロを弾き続けていて、、、。 前に、グラストンベリーの映像でこれを見ていた時は、 あまりに暑苦しいギターソロなので爆笑してしまったものでしたが、、 この晩は、去っていくロッドを見せないかのように思いっきり熱いソロを、ここぞとばかりに弾きまくるギタリストさんに、なんだか涙出てきました。。 

そして、、ギターソロが終わり、笑顔のメンバーさんが去って、、スクリーンには、人が歩く目線で(ロッドは映らず)、通路から楽屋へ、、、映っていって、 そしてドアに着くとそこには、「ミスターロッド・・は、もうここを出ました」みたいな紙が貼ってあって(確かそうだったと思う、、)、、 で、「EXIT」の明かりがスクリーンに映し出される。。。  会場の明かりがともる。。。 

、、ほんとうに楽しかった一夜のショーは、終わりました。

楽しかった、、 素敵だった、、

このあと、ご飯食べに行きましたが、、 「カッコ良かった! 良かった~!」と繰り返してたのは言うまでもありません。。

 ***

素晴らしいエンターテイナー、ロッド・スチュワートさんは、、もしかしたら、今度は、The Faces のヴォーカリスト、 最高のロックンロールシンガーとしてまた戻ってきてくれるかもしれませんよ。。 ガソリンアレイ、、聴きたい、、な。 

ROD STEWART@さいたまスーパーアリーナ③ 〈タキシード篇〉

2009-04-16 | LIVEにまつわるあれこれ
ロッドのコンサートからひと月も経ってしまいましたね。。 細部の記憶も曖昧になってきたところで、、 後半篇、、まずは、、 独り言から。。

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2週間ほど前、、 行きつけの美容室へ行き、そこのお兄さんに、ロッドを見に行った話をしてて、、 「ロッド、今でもカッコ良かったですか? まだ頭ツンツンさせてました?」と訊かれ、「素敵でしたよ~~。 髪型変わらないですよぉ~」と、ひとしきり喋ったのでしたが。。 その時、話した事で、、、

ロッドは素敵だったんですけどね、、 会場がね、、まるで父兄懇談会みたいだったの。。 いや、懇談会の方がもうちょっとまともな格好してくるかも、、 もちろん、妙齢の女性の方々は、開演前の化粧室でメイクを直したりする姿もたくさんありましたけど、、(たとえスタンド席であろうとこうであって欲しいでしょ?)、、そこのオジサン! どーやったらそういうルーズな体が出来上がるの!という上に、家の炬燵からそのまま出て来たような、、。 も~~う、、 絶対ロッドより10歳は若いんですよ! ロッドに恥ずかしくないのかぁぁ、、(怒)、、というのが許せなかったです、私は。。。 語弊がありますけど、再活動して来日する70年代ヘヴィメタバンドに集まるおじさんはいいんです。自分の事はどーでも。。 でもロッドですよぉ、 フェイセズですよぉ、、 スーパースターロッドスチュワートが好きだった青年が50代でそれではいかんでしょう! 別にラスヴェガスの会場みたいに、蝶ネクタイだの、イブニングドレスだのとは言いませんが、でも、たっぷりふくよかなオバちゃんがそばかす一杯の胸でも、どーんとドレスアップして黄色い声を上げるような、、そんなオバちゃんになりたいの、私は。。 (ふくよか、は無理そうだけど、、)

今、これ書きながらyoutube見てたら、ロイヤルアルバートホールの会場では、おじさまとおばさまが抱き合ってダンスしてましたよ、、You're in my heartで。。

 ***

さて! 休憩が終わり、、ステージのスクリーンに「フレンチカンカン」がまた映った(またかい!)。。 登場したロッドは今度はガンメタのような色のタキシードの上着。中は、確か黒のドレスシャツ。 そしてバックバンドは打って変わって、好きな格好してます。 イケメンギタリストさんは、トム・ペティ風にTシャツにベストを重ねて、ベーシストさんは、、おっと、Tシャツの上腕にタトゥーです。 熱血ギタリストさんは、、ごめん、忘れた(笑)

ここからは、ロックンロールナンバー、、
Sweet Little Rock'n Roller -Chuck Berry 1958 -
Twistin' the Night Away -Sam Cooke1962 -
Forever Young と続き、、 ロッド、 上着もすぐに脱いで、マイクスタンドを(まだ軽々と)持ち、 動き回ります。 
たとえば、、Forever Youngのツインリードで、左右のギタリストさんの姿を、スクリーンに映しながら映すと、 無限に続くように映るでしょ?(昔、クイーンのPVにあったような、、わかる?) あっちのギタリストさんがびゅーーーん、、と映って、こっちのギタリストさんがびゅーーん、と映って、、こんな風にスクリーンをフル活用してくれるし、ロッドの笑顔もアップで観れるし、スタンド席も楽しいです。 でまた、演奏がホントそつがなくて、巧いんだ。。 ギタリストさんも、 バイオリン弾くおねいさんも、 サックスの超ミニ金髪おねいさんも、 コーラスガールさんも、みんな、きらっきらの笑顔、だし。 プロフェッショナル!

続いて、、 やっぱり聴きたかった曲、、 スローナンバーの数々
You're in My Heart
Have I Told You Lately(van morrison)
I Don't Wanna Talk about It
胸につのる想い、のエレピのぽろろん、、って音が良かったなあ、、。 ヴァン・モリソンのはロッドも好きみたいで、 「素晴らしい歌だ!」みたいに紹介してたし。 3曲つづくと、またまた、胸いっぱいになってしまう。

あ、、 後半部のどこだったか、、 
いきなりロッドがスクリーンを振り返って、「一緒に sleep walking dog を見よう!」って。。 (はぁ??)、、 と思ってる内に、、 まさしく「sleep walking dog」が映って。。。 これ、もう「とくダネ!」で小倉さんが喋ったから御存じでしょうけれど、、 この時は爆笑で、、後で友に「すっごい面白いの! ロッドのウチの犬かな~」と喋ってたら「youtubeにUPされてたりして、、」「そっか!」というわけで、、sleep walking dog、、と検索してみたら、すぐ出てきました 、、が!、、これCNNのニュースでもやってたんですね。。。 
ロッド、、、「ね? 面白いでしょ?」みたいに一緒に笑って、、 何事もなかったように、次の曲になったのが可笑しかったです。 何だったんだ、今のは!?(笑)

ほんと、ロッドはお茶目です。 お茶目でプロフェッショナルです。

エンディングまで、もう少しね。。

帽子が似合う男、、 再会。。

2009-04-12 | アートにまつわるあれこれ
金曜日の月。。

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9日、 スティーヴィー・レイ・ヴォーンの事を書いた時、2005年4月の日記を読み返しながら、 ああ、、ジョン・ルーリーの事も書いてたんだなあ、、 と思ってました。



ジョン・ルーリー、、 素敵な俳優でもあり、 いかしたFake Jazz Sax Playerの彼。。

金曜日、、 本屋さんで、BECKが表紙の Rollong Stone誌を見ていたら、 なんと、この日(10日)から、日本橋の画廊で、 ジョン・ルーリーの絵画展をやる、、という記事が載っていました。 嬉しい発見。。。

リンク先>>ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート

ジョン・ルーリーが病気を患っているということ、、 は、あの時の日記「帽子が似合う男ふたり」、、に、書きましたが、 今回の個展は、 療養の日々の中で書いた作品のようです。 ラウンジリザーズの音楽も、久しく聴いてない。。。

来週、 日本橋いってこようと思います。

  

それはまぼろしじゃない、、、 それとも、、?

2009-04-02 | 文学にまつわるあれこれ(妖精の島)
ポール・オースターの2002年作品『幻影の書 The Book of Illusions』が翻訳されて、昨秋10月に出版された。 昨年は多忙をきわめたのが少し祟ったのか、 秋以降その疲れですっかり文学からは遠ざかってしまっていた。 本を読んでいなかったわけではないけど、 この書も、出版を知らずに、今年になって書評を読んでやっと知ったというわけ。

ポール・オースターだから、、 言うわけではないけれど、 この人の本は、あるべき時に必ずやってくる、私に。。 必要な時に、 あるべきかたちで。。

オースターについては、ずっと前に書きました(2003.5月>>) それから、 HPの方でも、いくつかのオースター作品について載せました。一時期、夢中で読んだから。。(>>) あの頃から、9・11以降にオースターが書いた作品を読みたい、とずっと思っていましたが、 この『幻影の書』は2002年だから、その1作目なのか、 或いはすでに書かれつつあった作品なのかはわからないけれど、、 

ストーリー云々についてはここでは書きません。 自分の思いだけを。。なぜ、「あるべき時に」「あるべきかたちで」、、と私が思っているのか。 

、、人は、 なぜこんなにも、「偶然」と「必然」の境で揺れ動くのか。 偶然を、運命に、 必然を、 奇跡に、 変えてしまう人間の「想い」、、、 そしてそのことを妄信だと疑うもうひとりの自分との葛藤。 いくら答えを見つけようとしても、 どこにも答えは見つからないし、 答えがあるとしたら、それは自分の中にしか求められない。 だから尚、苦しい、 狂おしい。

これらは、ずっとオースター作品の中に流れていたものだと思うし、でも、オースターこそは、「偶然」が人を導く力を信じていた作家だと思うし、 時にロマンティック過ぎる程の「奇跡」さえ作品に書いてきた人だと思う。 、、、だけど、、『幻影の書』では、 やはり変化があるように思う。 そこでは、その「現実」の中では、、 失われたものは、決して元には戻らないから。。。 伝わらなかった言葉、伝わらなかった映像、、 それらがひとたびこの世界から失われた時には、 それらは、初めから(そして永遠に)存在しなかったと同様なのである。。  、、のか?、、

男が愛の言葉を告げる。 思いつく限りの、、愛の言葉を。 眼を閉じて聞いていた女性は言います。
(以下、ほんの少し、引用します。 ごめんなさい)

   ・・・いま目を開けたら、あなたはそこにいないかもしれないって思う。
  なるほど、わかるよ、と私は言った。でもその反面、目を開けなかったら
  僕がいるかいないかもわからないだろう?

女性は思ったのです。 もしかしたら、自分は、自分が言ってほしいと思う言葉を自分で聞いているだけなのかもしれない、、と。 Illusions 、、、。 だから、目を開けて確かめる、、 確かめたい、、。

、、、

ここに書いたことがこの書を説明してるなんて全く、これっぽっちも無いほど、ストーリーは重層的だし、登場人物も時代も複雑です。 でも、追い続けているのは、発せられた言葉、 そして発せられなかった言葉。

いろんな場面で涙しました。 上のシーンもそのひとつ。

あと、、、 私がものすごく悲しかった場面が、ひとつあります。 もしかしたらこれが9・11前と、後で大きく変わってしまったオースターの気持ちなのかしら、、と思ってしまうような。。。 どこにもそれを裏付ける事なんて書かれていませんけど。 、、それは、かつて「ルル・オン・ザ・ブリッジ」でも登場した、「青い石のかけら」、、、 そう、 このブログのタイトルとも大きな関係のある、ひとかけら。。。 それに似たものが、一瞬、今度の作品にも出てくるのだけれど、、 その扱いが、、。。 、、ちょっと悲しくて泣いてしまいました、、 もしオースターさんがここにいらしたら、 「あんまりだわ、、」と、べそかいてしまいそう。。。 でも、これは私の勝手な思い。 作品の中での意味がなんなのか、あるのか、ないのか、、 ほんの一瞬のものですから。 本当に私のただの呟き。

まぼろしは、、 見えた者には、幻ではない、、、?
、、、だけど、、 所詮、 まぼろしは、、 ただの 影、、?
 
 ***

『最後の物たちの国で』を、 もう一度読んでみようと思います。 それから、、 2002年以降で、まだ訳されていないオースター作品が5作品もあるなんて、、、 それも、せつない。。 原書で、、 読めないよ。。。 またべそかきそうだ。。。