星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

きょうは陽射しが…

2023-05-30 | MUSICにまつわるあれこれ
そろそろ梅雨まぢかの空ですね。

昨日、おとといと少しばかり体調不安定で だらだらしながら先日のジェフ・ベックさんトリビュートコンサートの様子など見て過ごしてました。

クラプトンさんのバンドメンバーで、 どうジェフの楽曲のトリビュートが出来るのかしら…と、、 興味と不安相半ばでしたが、 クラプトンバンドのヤードバーズには苦笑。。 まさかレゲエバージョンになるとは…。。 ドイルはヤードバーズの「Heart Full of Soul」を歌ってました。

ロニー・ウッドさんが大活躍でしたね。 タルちゃんらのベック・バンドの部分がやっぱり素晴らしかったなあ。。 ロニーが「60年代以来」とか言ってベースを弾いてくれた「Rice Pudding」カッコ良かったです。

ロッド・スチュワートさんとロニーが一緒に 第一期ジェフベックグループの曲をやってくれたのは感激でした、、 当時のR&Bのノリで今でも歌えるロッドは流石。。 

ゲイリー・クラークJr.さんが弾いた「Cause We’ve Ended as Lovers」は よく引き受けなさったとしか言いようがないかな。。 どなたかのコメントにもありましたけど、 あれはクラプトンさんもドイルも弾かなくて宜しいのでは、、 ソロを廻すような曲じゃないもの。 そこがクラプトンさんのブルース…

 ***

左サイドバーの曲も替えてみました。

Hozier - Francesca (Later with Jools Holland)
Hozier - Eat Your Young (Later with Jools Holland)

 ホージアが新曲のEPを発表してからいろいろなラジオ局とかTVのライヴに出てくれているので見るのが楽しいです。 以前に見た時、「Eat Your Young」のファルセットのところをすごく歌いにくそうにしてたので、 自分で創る曲なんだからもっと歌いやすいようにつくればいいのに(笑)なんて思いましたが だいぶ歌い慣れてきたみたいです。。 
「Francesca」は明らかにフェスとかを意識した曲ね。 最後のハウリングがライヴで映えます。

あ、そうそう。。 前にホージアが母の日にBrandi Carlileさんに呼んでもらったとツイートしていた Mothership Weekendというライヴ、 Mavis Staplesさんらと一緒に歌う「The Weight」を昨日みつけて。。 やっぱりこの歌は最高♪ この歌が歌われたころにはまだ影も形も無かったホージアが リック・ダンコさんのパートを歌ってました。 メイヴィスも元気そうで良かった…

それを見ていたら、 R&R Hall of Fame の94年のザ・バンドの映像が出てきて、、 これは観たことなかったので、、 ガースがアコーディオンで、 リックとロビーが歌って、、 クラプトンさんが手伝って。。 これ見ていたら涙ぼろぼろ… リックなんかもう別人、、というくらいに昔とは変わってしまっているんだけど でもあの啄むようなピッキングのベースは本当に素晴らしくて、、 ガースのソロも ロビーのギターも、、 この人たちどんな演奏スタイルでもどんな風にも合わせられる心底生まれながらのミュージシャンだと思いました。。
The Band with Eric Clapton Perform "The Weight"

The 1975 - I Couldn't Be More In Love (Radio 1's Big Weekend 2023)
Thirty Seconds To Mars - Stuck (Radio 1's Big Weekend 2023)

 今年はフェスも世界じゅうで大盛り上がりなのでしょうね。。 マシュー・ヒーリーも、 ジャレッド・レトも、 やっぱりカッコ良いです。。 

Foo Fighters - Show Me How
 フーファイターズもフジロックに来てくれますね。。 この曲素敵。。 とても美しい曲。 昨日は彼らのツアー映像でジョシュの姿も見ていました。 たぶんドラマーはジョシュになるだろうな、と思ってました、ジョシュなら全然大丈夫だもの。。 でもテイラーの曲をデイヴが泣くのこらえて歌うを見るのは堪らなかったです…

、、 その他は以下省略で。。

吉井さんの「雨雲」も「WINNER」もすっごくすっごく懐かしい。。 2007年のあの頃にも私にいっぱい思い出をくれた楽曲だけれど、 今この季節、、 そして現在という今のほうがずっと、 今の自分と いまのあれこれに、、 とっても強く胸に迫ってくる歌です。。

前回、 人生にとつぜん振りかざされるハンマーのこと書きましたけど、、 ノット監督のコメント返しを見させていただいて、 あのハンマー5回の意味はなんとなく想像の通りでした。 今は問題を解決できなくても、、 それでも・・・ という。。
https://tokyosymphony.jp/pc/news/news_5682.html


天使のハートは きっとまだ残っているはず…



きっとね。

何度でも…?:ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 第710回定期演奏会

2023-05-23 | LIVEにまつわるあれこれ
  ** 5/21記 **

東京交響楽団 第710回 定期演奏会 サントリーホール
指揮=ジョナサン・ノット

リゲティ:ムジカ・リチェルカータ 第2番
 ピアノ=小埜寺美樹
マーラー:交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」


昨夜行って来ました。 楽しかった!
本日のミューザ公演のニコ生中継もあるので、その後にまた書こうと思いますので簡単に。。

最初のリゲティ。 予習で初めて聴いた時は(ベルトラン・シャマユさんの演奏でした) はぁ? とびっくりしましたが、 なるほどピアノもハンマーで叩く楽器である… そうピアノは打楽器でもあるのね… と思って だからノットさんはマーラー6番と結びつけたのかしら、、 と考えておりました。 その予想が実際に聴いてどう感じるか、 楽しみにしていました。。

つづく マーラー6番。 こちらも生演奏を聴くのは初めて。

ノットさんのマーラーは うねる、流れる、渦巻く・・・  こちらも予習で聴いたのとは全然ちがうマーラーでした。 圧倒的な緊張感に始まる第一楽章。 なんて美しいんだろう… と胸がいっぱいになる部分が何度もあった第二、 第三楽章。 驚きと混沌と示唆、思索、課題、、 いろいろ考えさせられた第四楽章。

緩急を複雑に変化させるノットさんの指揮だから、 その中で(特に打楽器さんなどは)そのうねりの中で音を奏でるのは大変だろうなぁ と感じたのと、 それゆえに (もっとノットさんをちゃんと見て!)という想いがちょっとしたのと。。 決して乱れているとかではないのです、 (金管さんなども)精度はもっともっと上がるんじゃないかなと思わせてくれる期待度が東響さんには感じるのです。 (こちらが素人耳なのでわからないけれど)

弦さんは素晴らしかったなぁ… ニキティンさん美しかったなぁ。。

以前にも(東響さん以外の楽団さんのときに) 音を終える瞬間を大事にして欲しい、 音の終着点をどう奏でるか、、ということを感じましたけど、 昨日のように大編成だと 特に出だしでバンと合わせる瞬間はものすごく美しいのに、それぞれが鳴らし終えるそのときどきをもっと大事にして欲しいと思ったり、、 (音としてそう聞こえているのか、それともこちらの眼が勝手にそう判断しているのか、 自分でもその辺があやふやなので) それはニコ生さんの中継を見て聴いて、 もっとよく考えてみたいなと思っているところ。。

、、 なんだかんだ言っても 東響さん&ノット監督の演奏は楽しい…♪

ひさしぶりのサントリーホール、 しあわせな時間でした。


  ** 追記 **

ニコ生のタイムシフトでミューザ公演のほうも視聴しました。 サントリーホールで感じたもうちょっとの部分は、 ミューザの演奏では殆んど感じなくて、 じつに生き生きとした演奏でした♪

第二楽章の各パートさんが入れ替わりソロを奏でる部分とか、 東響の木管さんやホルンさんの巧さに聞き惚れたり、、 あれ?ここでこんなフレーズあったんだ…とか こんな音が重なっていたのね… と気づかされる部分もいっぱいで、 この曲は1904年完成だそうだけれど、 オーボエさんが奏でるソロのところとか 時おりすごくモダンな、 まるでジャズの前ぶれみたいなフレーズもあったりして、 20世紀の音楽の予兆みたいなのも感じるのでした。

第三楽章は美しい郷愁の世界で、 それぞれの楽器さんの名演にずっと浸っていたくなる美しさ。 ニコ生で聴いていても美しいですが、 ホールで聴くと あちらとこちらのパートさんのソロが重なり合う音の波が、 まるで海の波があとからあとから寄せ来るようでそれが得も言われぬ感動で、 なんども涙出そうになりました。

それもこれも ノットさんの緩急をたゆとわせるゆったりと遅いテンポで聴かせるドラマチックな演奏だからかな、、と思ったり。。 実際ホールで聴いた時も、 なんてドラマチック! まるでオペラみたいにさまざまな映像(音像?)を感じる… と驚いていました。

このゆっくりとしたテンポがとりわけ意識される第四楽章。 この演奏を聴いていると、この遅さが良いと感じられるから不思議。。 そして驚きのハンマー5回は、、 会場ではハンマーの方が立ち上がるのが見えるので、 (え? もう叩くの?) (え、また叩くの?)と友と顔を見合わせていましたが、、むしろ面白かったです。。 この5回の意味って何だろう… とやっぱり考えてしまいました。

これだけゆっくりとした演奏でなかったら ハンマー5回は無理のはずですよね、 うっとうしくなってしまう。。 これだけ時間をかけて演奏しているから5回も成り立つんでしょうけれど…

ハンマーの意味は人生を襲う悲劇の打撃だそうだけれど、 当日 聴き終えた時に (5回だったね…) (マーラーがこの曲を書いてから100年以上経ってるからその間に起こった悲劇が追加された?) (世界を襲った悲劇の数…) などと話していたのです、、 けれど 聴き直してもまだわかりません。

ただ、ハンマーの《音色》も、 いろんな動画のものを聴き比べるのも面白くなって いくつか聴いてみたりして、、 特にバーンスタインの2回のなどは木槌もすごーく巨大で、 打撃音も木が砕けるみたいなメリッ‼ って音まで聞こえる。。 あんな打撃だったら2回が限度、、

東響さんの5回ハンマーの第四楽章は、 なんだか聴いていても見ていても、 打ちのめされる悲劇の音という感じには聴こえなくて、、 なんというか、、 人生のドラマの中で運命に翻弄されながら、 時に打ちのめされ でもまた立ち上がり、 ふたたび困難に襲い掛かられ、 でもまだ前に進み、、 っていう感じに七転び八起きではないけれども、 まるでドリカムさんの歌のような、 「何度でも立ち上がってみせるよ」みたいな… そんな印象も。。

馬が駆けていくようなリズムや めまぐるしく変化する混沌の調べを突き破って打ち鳴らされる打撃音は、 なんだか悲劇のハンマーというより 逆に人生を鼓舞するハンマー5回のようにも聞こえてしまうのでした。 行けーーーーー! みたいな(笑

第四楽章の後半て、 なんだかゲーム音楽みたいな(勇ましい)フレーズがたくさん感じられません? いろんな打楽器さんの入れ替わり立ち替わりも見ていて楽しかったし、 シンバル3人揃い踏みも良かった♪ 最後にまたハンマーさんが立ち上がった時にはラストは、あの箱を打ち砕いてくれないかしら… なんて思ったり…。 う~ん やっぱり悲劇のなかにも勇気を感じる演奏だったなぁ…


こんな長丁場の演奏を熱演してくださった東響さん&ノット監督には拍手拍手です。 とても刺激的な演奏会でした。

 

英国の至宝☆+(ちょっと追記)

2023-05-13 | MUSICにまつわるあれこれ
うれしい。 英国王戴冠記念コンサートのスティーヴ・ウィンウッドさん 見れました~ ♡

素晴らしい歌声、 若々しくて 世界各国とを結んでのパフォーマンスもさすがソウルフルでカッコ良かったです。 チャールズ国王と同い年なのですね、 ウィンウッドさん。 そして! 昨日がウィンウッドさんのお誕生日じゃありませんか、、 おめでとうございます。

こちらにコンサートの出演者一覧がありました
 英国王戴冠記念コンサート、出演者一覧とセットリスト(barks)

ライオネル・リッチーさんはTVのニュースでちらと見ましたが なるほどこういうメンバーだったのですね。。 クイーンもクイーンという名前だからちょっとムリそうだし、、 サーの称号をお持ちでも ロッド・スチュワートさんとかミック・ジャガーさんとかではないのね、、 エルトン・ジョンさんも… ちょっと微妙なのかな… 

「Higher Love」ならばお祝いの意味でも 称える意味でもふさわしい歌ですし。。 ウィンウッドさんの歌声は英国の至宝です。


今度のジェフ・ベックさん追悼のコンサートにも出て下さらないかしら… 今年、クロスローズ・ギター・フェスティバルもあるというからそちらにもお出になってくれないかしら… まだまだこんなに歌えて若々しい姿、、 たくさん見たいです~。

 ***

今週、 病院に行ったら検査疲れでダウン。。 昨日までぜんぜん本が読めずに、、 まぁ… こんな時もあるさ。。。


週末 おだやかに過ごしましょう


よい日々を…



 ** 5/16 追記 **

クロスローズの話題もあるので ここに追記してしまいます。。

エリック・クラプトンさんのジャパンツアーで先日まで日本に来ていた Doyle Bramhall II ですが、 帰国してすぐに地元テキサスでなんと Arc Angels のライヴを5夜もこのゴールデンウイークにやっていたなんて… あらまあ…

昨年の秋もライヴやってましたが こうなるともうリユニオンというより 結局アークエンジェルズは解散してないって事なのね~~ 笑。 動画もたくさんあるのを昨日見つけて ついついいっぱい見てしまう… ドイルとチャーリー・セクストンさんの、いつも通りでいつも通りでない、 気楽にやってるようでちゃんと相手をうかがってる 本気のギターの間合い、、 こういうのはいつまででも見ていたくなります。。

2、3百人くらいしかいないみたいなホールのステージ斜め横から見ている動画があるんだけど、 こんな感じで二人一緒のステージをずーっと見ていられたら良いだろうなぁ… チャーリーがボブ御大とZepp Tokyoで連夜やっていた時、 ちょうどこんな感じで斜めからボブとチャーリーの姿を(かなり前のほうで)見ていた日の幸せも想い出しました…

5日には カルロス・サンタナさんのライヴのゲストに出て、一緒に演奏していました。。 オフィシャルfacebook のほうにも動画が載っていますのでぜひご覧を。

https://www.facebook.com/arcangelsmusic/

サンタナさんが歌の前にオーディエンスに語りかける言葉が(そのリズムも含めて) とても素敵です。 《ミラクルと、メディシンと、ミュージック…》 そうね、、 ほんと そうですね。。 おんなじ力を持っている…


あ、、 それから彼らの地元オースティンには 音楽産業に携わる人々のメンタルヘルスを守ろうという活動団体があって、 上のフェイスブックにも載っていますが そのチャリティーでサイン入りのアート作品のオークションを今やっているそうです。 ドイルが持って行ったのかな? エリック・クラプトンさんのもありました(日本からも入札できるみたいですよ…) 

今年のクロスローズの参加者も載っていましたね。
https://crossroadsguitarfestival.com/

ジェン・メイヤー・トリオが出るのも嬉しいし、 The War On Drugs は初参加ではないかしら…? それから、 ドイルの次に名前が載っている James Bullard さんは、 2年前にドイルと一緒にアコースティックライヴを行った動画が youtube に沢山載っていて(二人の名前で探してみてください)、 その二人の歌声(声が似てるの…)と演奏がとても良くて、 このかた誰かしら… と思っていたのです。 今回もドイルと一緒に出るのかしら…? 楽しみにしていましょう。。

あ、そうそう! ジェイコブ・ディランさんもクロスローズ参加なのですよ~(嬉) 上のアークエンジェルズのfacebook を見ていたら、 Wallflowers とチャーリー・セクストンさんが American Girl (トム・ペティのカヴァーですね)を一緒に歌っている映像があって泣きそうになりました。。 アメリカンガール、 最近ずっと Wallflowers が持ち歌にしているみたいで、、 ん~~ ジェイコブだったら許してあげるよ…(泣) クロスローズでも歌って欲しいな。。 


体調もほぼ回復しました。


ミュージックのミラクルなメディシンに癒された昨日今日です …♡
 

うっとりと…そして居住まいをただす:『日本近代随筆選 2大地の声』

2023-05-08 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
5月になりました。 ゆっくりお休みあるいは沢山おでかけ出来たでしょうか?

GW中は長編小説をわきに置いて、 ちょっと外出しても大丈夫なように随筆集を読んでいました。。 それがすばらしくて…

『日本近代随筆選 2大地の声』(岩波文庫 2016年)という本を。 (内容は岩波書店のこちらで目次を>>




先月にも書いていた片山廣子さんの随筆を検索していてこの文庫をみつけたのですが、、収録されている作家のお名前をみれば、明治・大正・昭和のはじめの 私でもほぼ全員お名前のわかる有名な方々ばかり。 女性作家さんも、それから詩人の方などの随筆もふくまれていたので読んでみたいな… ということで選びました。。

今年のお休みはこれまでの制限から解放されて、 あちらこちらの観光地、それからフェスやイベントの会場、たいへんな賑わいの様子でしたね。。 そんな光景をニュースなどで見ながら、ひとたび本を開くと… なんというか、、 ほぼ100年前のわたしたちは、なんと閑かでつましく、それでいてなんと豊かに、この日本の四季と山川草木を肌身に感じて暮らしていたことかとおどろくのでした。

そしてわたしたちは どれほど多くの「言葉」を失ってしまったのか、と愕然とするのでした。。

日々のよろこびを伝える言葉、、季節の風物をあらわす言葉、生き物や樹木や花の種類、それに触れる想いを綴る言葉。。 めっちゃ楽しい、めちゃくちゃ美味しい、すっごいキレイ、最高、、 自分でもそんな程度しか感嘆の言葉をこのところ使って来なかったかも… とすごーく(←ほら情けない) 恥ずかしくなりました。
 
 ***

小泉八雲先生は「草雲雀」なるちいさな昆虫を愛でていらっしゃる。。 クサヒバリって 何だろう…?

漱石先生のお弟子でもあった松根東洋城さんは お庭にしぜんに芽を出した葉鶏頭を下駄に踏まれぬよう我が子のように可愛がっておられる…

画家の鏑木清方先生が数え上げる庭木のかずかず、、「うめ、あかまつ、くろまつ、、さざんか、もくせい、あじさい」 ここまでは分る、、「さんごじゅ、しじめばな、、はとやばら、、いわたばこ」 、、あぁ わかりません…悲


特にうっとりと心惹かれてしまうのが、 当時でも懐かしさをおぼえるような昔ながらの季節の暮らし…。 谷崎潤一郎先生がなつかしむ京町屋の夏… 「葭簀」もルビがなければ読めませんし、 「とうむしろ」って? 「ゆとん」って??

島崎藤村がえがく「短夜の頃」には(みじかよ、と読むのでしょうね)、 詩人らしく音や色や影や風、香りに満ちみちています、、「蚕豆売」に「朝顔の呼声」、、「青い蚊帳越し」にみる蝋燭の火影や、 「簾に映る物の象(すがた)」


こうしていくらでも引用したくなってしまうのですが、、 一文だけ。。 高村光太郎の「山の春」という随筆から…

  やがて、野山にかげろうが立ち、春霞がたつ。 秋の夕方は青い霧が山々をうずめてうつくしく、それをわたくしは「バッハの蒼(あお)」と称しているが、春の霞はさすがに明るく、セリュリアン色の蒔箔のように山々の間にういている… 

美術家らしい表現ですね、、 ヨーロッパに滞在されたこともある高村光太郎ですから、バッハの蒼、って?…と思って 作曲家のバッハのことかと最初思ったのですが、、 もしかしたら… 「プルシアンブルー」の顔料を発見したという「ディースバッハ(Johann Jacob Diesbach)」のことなのでしょうか…
秋のプルシアンブルーは「紺青」、、 春のセルリアンブルーはわずかに緑をおびた空色、、 あぁ…月がのぼってくる夕空を思い浮かべると、 なるほどわかります。。


 ***

うつくしく、 心洗われるような随筆が多いのですが、 編目が「大地の声」とあるように、この時代 大地が怖ろしい怒りの声をあげた出来事、 関東大震災がありました。。 じつは先にあげた松根東洋城が丹精込めていつくしんだ葉鶏頭の庭にも火の手が迫ってくるのでした。。

内田百閒先生の「長春香」は、 以前にもその名の本で読んでいましたが、 震災で行方不明になったお弟子の名を書いた「幟(のぼり)」を肩に焼跡をさがして歩く様子、、 のちに学生が集まって闇鍋で追悼会を催す様子、、 痛ましくも亡き人への優しさにあふれていて何度読んでも涙してしまいます…


、、 それらの震災の記憶の文章を読んだ直ぐあとに、 夕方のTVをつけたら能登の地震の報道をやっていて…。 早くおさまってくれれば良いのですが…

 ***


連休が終わり また日々の暮らしが始まりました。


この『日本近代随筆選』(まだあと数篇、残っています) 、、文学史にのこる方々の名随筆を集めたものですから ため息が出るような文章がたくさんありました。 このシリーズ、 ほかに「出会いの時」「思い出の扉」とあるようです。 他のものも読んでみようと思っています。 そして 忘れてしまっていた言葉、 知らなかった言葉、、 今ではすっかり失われてしまった言葉、、

言葉がうしなわれると、 そのことばが表現していた情緒もいっしょに消えてしまうようで、、 現代に生きる自分がとても薄っぺらい感情しか持っていない気がして、、 これではいけない と今更ながら日々の暮らし 日々の感じ方、 振り返ったりしてしまいます。。



あらためて


これからむかえる 雨の季節、、 そして短夜の頃を、、 心ゆたかに。 ちいさきものにも、 無限のものにも、 眼を向けて…



そう生きていかなきゃ… と思っています。