星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

ムーミン好きの方も、 北欧POP好きの方も。。

2007-08-30 | 映画にまつわるあれこれ
しばらく前に観たビデオの話。

ワタシの初恋のミュージシャンは「スナフキン」ですが(笑)、
カルピス劇場の『ムーミン』も好きだったけど、
トーベ・ヤンソン原画のムーミンシリーズがやっぱり一番良くて、

、、でね、アニメ映画、パペット映画のムーミンは数あれど、原画に則ったものにはなかなか出会わなかったの。
先日、ビデオレンタルで、原画をもとにしたものを見つけて早速借り、、
もうそれが、ほんとに素敵だったので、いつか紹介をと思っていたのね。

『ムーミン絵本 それからどうなるの?』

第1話「それからどうなるの?」は、絵本をめくるように、場面と語りで構成された短いお話。
ちょっとダークトーンの絵が、神秘的、というか、ちょっぴりシュール。
ママに頼まれてミルクを買いに出掛けたムーミンが、帰れなくなってしまう話なんだけど、
(それからどうなるの?)と、不安がつのってきて、、その気持ちと絵がとても合っているの。
でも、ちゃんとママの所へ帰れるんだけどね、
なんかママが全然心配してない辺りが(ひと晩すぎたと思うんだけど、、) ほんわか、というか
ムーミンママらしいというかね(笑)
、、他にはミーとミムラ姉さんと、ヘムレンさんとかが出てきます。

第2話の、「さびしがりやのクニット」が、これがもう最高で、
こちらは、ミュージカル仕立てになっているのです。
それが決して子ども向けの歌という感じではなくて、可愛いロックミュージカルなの!
1970年代の作品とあって、なんていうか『TOMMY』とまでは言わないけど、
ちゃんとギターとドラムスの演奏で、ラップっぽい曲もあったり、 軽快なポップス仕立てもあったり、、

物語は、独りがさびしくて、 夜が怖くてたまらないクニットが、 意を決して家を出て、
ムーミン村のひとびととお友達になろうと思うんだけど、なかなか声をかけられなくて、
そんな時、海岸で、瓶に入ったメッセージを拾って、
そこには、やっぱり独りで夜に怯えている女の子の手紙が入ってて、
それでクニットは勇気をふりしぼって彼女を救いに行く! というお話。

「メッセージインアボトル」でしょ? ある意味「トミー」でしょ?

歌は英語で歌われてるので、字幕もあるけど、素直に心に響きます。
(誰かクニットに教えてあげて)、、という、(キミはひとりじゃない)的なフレーズが何度も流れて、
胸がきゅぅんと鳴ります。

この、原画シリーズ、というか、ミュージカルシリーズ、、他にも無いかしら、と探したんだけど、
どうやらこの1作品だけ。。 海外でも他には無いみたい。
今つくっても、この歌の感じはつくれないだろうなあ、、。 
これも70年代的な傑作だと思います。  おすすめ!

愛の真実、 ひとの尊厳、 それをみつけるのはむずかしいね、、:『テロル』 ヤスミナ・カドラ

2007-08-24 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
お盆のあいだに読んでいた本のはなし。

『テロル』 ヤスミナ・カドラ 著/ 藤本 優子 訳 早川書房



主人公は、パレスチナ出身者でイスラエルに帰化した外科医。ある日、町のレストランで自爆テロが起こり、医師はつぎつぎ運ばれる負傷者の処置に奔走する。その日の終わり、、医師は自分の最愛の妻が、その自爆テロの首謀者だったと知らされる。妻は妊婦を装い、身体に爆薬を隠して、子供たちで賑わうレストランの中で自爆した。

この瞬間からはじまる、 主人公の 「何故?」 という問い。

なぜ妻がテロリストに? なぜ夫である自分にひと言も告げずに?
社会的地位と安定した暮らしを手に入れ、この上ない幸福と愛につつまれていたはずの妻がなぜ?
自分が見てきた妻の姿はいったいなんだったのか?

まさに天が落ちてきたような衝撃の中で、妻の足跡を手探りしていくうちに、
医師は、自らの過去とも向き合わざるを得なくなる。
故郷と決別し、イスラエルの社会に同化し、アラブ人の自分が有能な外科医と認められるまで、誰よりも努力を重ね、そうして手に入れた今の生活。
その一方で、何も変わっていない故郷(くに)の現実。

、、ふたりの「愛」の物語として読むだけでも興味がわきました。
幸福、の真実って、 与えられる愛情だけではダメなのか、、 何不自由ない暮らし、では足りないのか、、
人間が個として充たされるためには、「愛」だけでは足りないのか、、
民族としての「尊厳」は、すべての「愛」を擲っても必要なのか、、

、、もうひとつ、 この本を読む前からとても気になっていたこと、 答えが欲しかったもの、、
「医師」である主人公は、自分の妻が選んだ「テロ」という手段に対し、どのような答えを出すのか。。

簡単には見つけられない答えですよね、、
その苦悩そのままに、主人公のモノローグが彷徨い、過去に還り、また現実に戻り、、そんな混沌とした思いをそのまま、でも淡々と語っていることが好ましく思えました。

   「私にとって、唯一の価値ある真実とは、いつの日か私が立ち直り、
    患者の治療に戻るための助けとなってくれるものだ。というのも、
    ただ一つだけ私が信じている戦い、その戦いのためなら血が流れてもいいと
    思っているのは、外科医としての自分の戦いであり、その仕事とは命を再構築
    すること・・・(以下略)」

この一文は、読んでいる私にとっても、こう書かれていて欲しいという「願い」のような文章であったし、
たぶん作者も、その「価値ある真実」を唯一の拠り所として、この救いの無い「戦い」の物語を描こうとしたのではないかと思うのだけれど、、 その思いが何処へ辿りつくのかは、、 やはり簡単には答えは出ない、、 という終わりになっています。
読むほうは、答えを欲しいと思うのだけれど、、 そうはいかないのでしょう。。

、、ところで、、
6月に、英国のロンドンとグラズゴーの空港で自爆テロがありました。
死亡したその実行犯は「医師」でした。

この報道は、先に書いた「唯一の拠り所」が崩れていくような、なんだか悲しいものでした。
『テロル』の作者もまた、、 この現実に向き合うために、新たな筆をとることになるのだろうと
そんな気がします。。
、、『テロル』の前に、 こちらはアフガニスタンを舞台にした『カブールの燕たち』が翻訳されています。
こんどはそれを読もうと思います。

 ***

夕陽の茜がだんだん濃くなってきましたね。

夏の思い出

2007-08-22 | …まつわる日もいろいろ
元気です。 (まずはこれ書かないと、、)

2週間ぶりになってしまいました。
暑い あつ~い 毎日でしたね。

出掛けたら 今日も、 いったいここは何処の国? というほどの熱風が吹いておりました。
夏バテ、、 は、してないと思います。 たぶん元気。 (たぶん、て)

都会の人口がすこおし減るお盆休み、、
こんな陽の光を眺めたり、、
 



こんなちょっと澄んだ夕空を見上げたり、、




家のベランダから、 近くや遠くや 花火をたくさん見つけたり、
ちょいと出掛けたホテルの窓から、 たくさん飛行機みて喜んだり、

36度の中、 お寺あるきなどしたり、
遊びすぎて 診察日に妙に具合悪くて ボス先生からお薬追加されたり、
、、でも、 元気かな。 (おそらく)

とある日、
30年前の同級生3人で食事に行ったのだけど、 ひとりが車で送り迎えしてくれて、
普段クルマの生活していないものだから、 都心のあちこちを走り回ってくれて
そのあいだじゅう、 ずっと、 窓から蝉しぐれを聴いていた。
まるで、 沢音のように、 雨音のように、 
途絶えることの無い蝉しぐれの中を ずっと走ってた。
、、 東京って、 こんなに街路樹が鬱蒼と繁っていて、 こんなにたくさん蝉がいるんだな
、、って それがちょっと不思議なくらいだった。

ほかにも、 本を読んだり、 音楽聴いたり、 そちらの話はまた近いうちに、ね。。

 ***

今年の夏、 同じ種類の蝶をよく見かけたの。
揚羽蝶なんだけど、 黒い縁の羽の中が あざやかなターコイズブルーで
羽ばたくたびに 陽の光にターコイズがきらきらして とても美しいの。

ビルばかり建ち並んでいるところで こんな蝶に出会ったりすると、
なんだか 妖精を見つけたような気分になりますね、、。


counting the stars...

2007-08-01 | 文学にまつわるあれこれ(妖精の島)
8月になりました。

りんどうの青は、8月の夕闇色と、

旧盆をむかえる灯籠の走馬灯と、

ちろちろ燃える線香花火を 想い出させるから

ちょっとせつなくなる。

でも、 8月を象徴する好きな花だということはかわらない。

 ***

いま、読んでいる本。





デイヴィッド・アーモンド著、 金原 瑞人訳 『星を数えて』

このアーモンドさんの本は、前にも 『火を喰う者たち』や、『肩胛骨は翼のなごり』
について書きました(>>)。 
どれも、ヤングアダルト向け、というジャンルになっているけれど、、 なんとなく
青春まっただなかの人でなくても、ふと昔を振り返り、いまはいない誰かを思い出すことの多くなった
そんな世代の人にも、きっと心に触れる本ではないかと思う。

『星を数えて』、、は、
Amazonの説明文を読んでいただければ、わかるとおりの、19の物語。
、、アーモンドさんのこれまで読んだ本にも共通して感じていた、
とても強い喪失の記憶と、
でも、その喪失の記憶こそが自分を生かしてくれているような、救済のちから、、
その原点にあったものが、 この『星を数えて』に書かれていることだったんだな、
と気づかされる内容になっていると思います。

なんだかね、自分もそれと同じものを持っている気がするから、この本はあんまりスイスイ読めなくて、、
でも、、
8月だし、 私にとっても亡き人を想う月だし、
いい時に出会った本かもしれないな、と思うのです。。 

 ***

なんて、 追憶にしずんでいるわけではないのですよ。 今日は暑くなりそうですね!
これから用事を済ませがてら、
いつもの街をちょっとぶらぶらして来ようっと。

昨日とどいた、超ウレシイCD&DVDのお話は、またします~♪

8月って、なんだか短い気がしない、、?
夏を満喫されますように!