星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

Jonathan WilsonさんのKEXPライヴと 新曲♪

2013-06-20 | MUSICにまつわるあれこれ
絶品ライヴです。

今年は Tame Impalaと北米ツアーの後、 夏は欧州のフェスにたくさん出演するジョナサン・ウィルソンさん。 しか~し日本では全く紹介もされていないジョナサン、、(泣)

でも Jonathanはたくさんスタジオライヴをしてくれるから、 そのたびに良い演奏を堪能することが出来て、 私としてはとても嬉しいです。。 これだけ演奏も良くて、 ギターも素晴らしくて、 質の良いライヴを毎回してくれるのだから、 ラジオ局のほうでも呼びたくなるのでしょう、、 今回もほんとに良い!
Jonathan Wilson - (Live at US Social Club)

最初の曲 「Angel」、、素敵な新曲だなぁ、、と聴いていたら Fleetwood Mac のカヴァーだった。。 なぜに私の好きな人はみんな フリートウッドマックをカヴァーするのだろう、、、

新曲は、 Love Strongと、Trials Of Jonathan、、かな? お気に入りのサイド・ギタリスト(ちょっとヴァンサン・カッセル似の…)、、 2年前くらいはエレキも少々ぎこちなく弾いていましたが(アコギは上手だったけど)、、 今回はソロも弾いていて、、 うまくなったなぁ。。

相変わらず長いジャムが名演、、。 サイケデリックロック/フォークを好きな方、、 生まれる時代を半世紀まちがえちゃったみたいなジョナサンですが、、 シド・バレットとジョージ・ハリスンとジョン・チポリーナの遺伝子を持って、 グレイトフル・デッドのボブ・ウィアーさんや ジャクソン・ブラウンさんに愛されるJonathan Wilsonさん。。 

もし日本で、だったら 朝霧JAMが一番似合うでしょうけれど、、 行かれないからやめてね、、(笑) 、、でもいつかどこかで見てみたい、 是非。
今年は ジョナサンの新譜も出るようだから、 今度こそ日本でもしっかり紹介されるといいな。。。

Jonathan Wilsonさんに関する過去ログ>>

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前回、、 ジャクソン・ブラウンさんのこと書きましたが、、 ブラウンさんが表紙の「JAM」 1980年9月号。 特集はウエストコースト↓


ちょうどアルバム「Hold Out」が発売になったところで、 ジャクソンのインタビューが載っている。 、、で、、 ほんとうに25年ぶりくらいに「Hold On Hold Out」聴いてみた
JACKSON BROWNE - HOLD ON HOLD OUT [LIVE] San Francisco 1980

、、あの 科白の部分、、 how long? how strong? 、、って、、 忘れないものですね、何年経っても。。 、、ライヴだと、、 ジャクソンが初めて歌詞の中で 「I love you」という言葉を使った、、と 当時話題になったけど、 そのところで 観客がワーっと沸いて待っているのがわかる、、 で照れくさそうに I love you...と。

、、あ、、 その話じゃなくて、、(笑) ジャクソン・ブラウンさんの(たぶん)一番有名な歌詞、、 「in '65 I was seventeen~」 「in '69 I was twenty-one~」というのがありますが、、 ジョナサン・ウィルソンさんは'74年生まれ、、 (生まれてないどころか、、 ジャクソン・ブラウンさんのデビュー時もまだ生まれてないし…) そんな世代なのに、 ボブ・ウィアーさん他 当時のウェストコーストシーンの方々にもうすっかり信頼されています、、 不思議なひと。。。
http://www.tristudios.com/videos/move-me-brightly-trailer
↑ これはジェリー・ガルシアさんの生誕70年お祝いの予告編。

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ところで、、 ジョナサンのライヴをさっき見た後、 次に出ていたバンドもちょっと見てみたら、、 これがなかなかガレージ/グラム/パンクな感じで、、

Capsula、、 南米アルゼンチン、 ブエノスアイレスのバンドらしい。 聴いてたら、 新譜のレコーディングを終えたばかりだそうで、、  (子供の頃からのヒーローだったトニー・ヴィスコンティと仕事が出来た!)って とっても喜んで話してるのが素敵だった。。

キャリアとしてはもう15年選手みたいで、 ライヴの演奏も上手いし、、 トニー・ヴィスコンティがプロデュースした新アルバム、、 ちょっと気にしていよう。。
Capsula - Full Performance (Live on KEXP)

、、Space Oddityも '69年だから、、 音楽の半世紀って、、 なんだか昨日のことのようだね。。。

雨の日はしみじみと、、 Marc Cohnさん 「Join The Parade」

2013-06-12 | MUSICにまつわるあれこれ
東京は雨。。 西日本は猛暑だったようですね。。


前回、、 チャーリー・セクストンさん経由で知った、 マーク・コーンさんの2007年アルバム 「Join The Parade」、、あれから早速聴きました。



アルバムジャケットが印象的な写真ですが、 これは 葬列の様子、「a jazz funeral」とライナーにありました。 1963年のニューオリンズのものだそう。 このクレジットを見て、、 もしかしてハリケーンカトリーナの後で、 その思いを込めて作ったアルバムなのかな… と。。

「Dance Back from the Grave」や タイトル曲「Join The Parade」、 アルバムラストの曲「Life Goes On」などは、 そのような意味をもった曲なのでしょう。 でも素晴らしいラブソングもあり、、 派手さはありませんが じっくりと聴きこめる大人なアルバムでした。

アメリカには(英国もですが) ジョン・レジェンドさんや、 エイモス・リーさんや、 シティズン・コープさんや、、 歌の上手いシンガーがたくさんいらっしゃいますが、 マーク・コーンさんの声も、 巧さも、 曲づくりも、 歌詞も、 申し分ない方ですね。 
そして、 チャーリーのプロデュースに、 キーボードには 私の大好きな Benmont Tenchさんや、ドラマーには Jim Keltnerさんや、、 良いアルバムにならない訳がない…。 そして、 チャーリー繋がりだと思いますが Ephraim Owensさんのトランペットがそっと物哀しさや、 郷愁を添えています。

マーク・コーンさんの声、、 とても贅沢な声です、、 なんだか ジョー・コッカーさん的なハスキーな部分と、 高いところはエルヴィス・コステロさんみたいな艶と、 つぶやくように語りで始まる歌はチャーリー・セクストンさんの低い声と区別がつかない感じ。。。

、、アルバムについてはこちらに紹介ビデオがありました。 録音風景も少し見れます↓
Marc Cohn: Join The Parade

あと、素敵な映像がありました。 
このアルバムのオープニング曲「Listening To Levon」を、 リヴォン・ヘルムさんトリビュートの「Love For Levon コンサート」で歌っている映像↓
Love For Levon - Listening To Levon Ft. Marc Cohn & Levon Helm Band

この歌、、 若者がガールフレンドと二人で車にいて、 ラジオからリヴォンの歌が流れてきたら、 リヴォンの歌に聴き入ってしまって 彼女が話すこと何にも聞いてなかった、、って そういう歌(笑)
で、、 曲の後半で、 彼女がラジオの局をチェンジすると、、 あの昔の少年が今ラジオで歌っている(=僕)、、。

メロディも、 リズムも、 とっても The Bandぽい 素敵なラブソングです。

、、もうひとつ、 反則的に素敵すぎるラブソング 「Let Me Be Your Witness」、、 witnessは 目撃者の意味。 
誰も顧みてくれない、 誰もわかってくれない、、 そんな時 僕を呼んで、 僕が証言しよう、、 僕を君の目撃者にならせて・・・ と、、 直訳するとあんまり色気がないですが、、

ひさびさに80年代的なまっとうなラブソングを聴いた気がします。。 まるで「愛と青春の旅立ち」のラストシーンで ジョー・コッカーさんの歌が流れてくるような、、。 この歌い方、 この言葉の重ね方に、 この色気、、 反則でしょう。。 これ、歌詞がすんなり入ってくるネイティヴの女性がたが聴いたら涙腺こわれるだろうなぁ。。。 言葉のよくわからない私も、 英語の歌詞カード見てたら ボロボロになりました、、(笑) 

、、上記の紹介ビデオの中で、 (この曲は 家にピアノがなかったので教会のピアノで録音した)と、、 その映像も入ってますね。 あの教会で歌っている部分、 ぜんぶ見れたらいいのに。。

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マーク・コーンさん 53歳(このアルバムの時は47歳くらいかな)。 アメリカには 大人なラブソングを歌う大人なシンガーがいていいなぁ。。 いま、 日本のアラフィーシンガーでは、 誰がこういう素敵なラブソングを歌ってくれるんだろう・・・


織田さんに頑張ってもらうしかないかな。。。
 

もっと読みたいな。 『世界短編名作選 東欧編』:『砂漠の下の海』ドゥミトル・ラドゥ・ポペスク著

2013-06-07 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
古本屋さんにもあんまり無いような本のはなしを書いても しょうがないような気もするのだけど、、 でもほんとに良かったので やっぱり書いておこうと思います。。

『世界短編名作選 東欧編』 (監修 蔵原惟人/新日本出版社 1979年)
シリーズ全12巻の詳細は こちらにリンクしておきます(>>国立国会図書館OPAC)

収載されている作家の中で名前がわかるのは カレル・チャペクだけ。。 当初は、 シェンキェヴィチという人の作品を検索して この本に行き当たったのですが、、 それについてはまた別の機会に…

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今日書きたいのは、 ルーマニアの現代作家 ドゥミトル・ラドゥ・ポペスクという人の 『砂漠の下の海』という短編です。

まずは 冒頭の一文をあげて、 以下「 」内はところどころの抜粋です。(住谷春也訳)

 「真昼の日ざしの中を走りながら、もし成功しなければ死ぬだろう、ということを彼ははっきりと知っていた。」

 「彼は腕時計を見た、かっきり二時だ。」

 「右手に使っていない畑が見えた。 ・・・ トウモロコシ畑の始まるあたりに、仮装人形がひとつ見えた。 子供たちがふざけて作ったかかしだ。」

 「彼はゆったりした半袖の白シャツの胸をベルトの所まで開けていた。 半ズボンの上に出したシャツの裾がはためく。 ペダルを踏む足ははだしだ。 靴はかばんに入れてある。」

、、この《彼》は 自転車で川にさしかかる。 鉄道用と、 自動車や荷車用の、 並んだ広い橋がかかっている。 橋には歩哨がいる。 《彼》は、 シャツをズボンに押し込み、 靴をはき、 髪を指でなでつけて、 「口笛を吹きながら町にはいった。」

、、町の中心部で、 《彼》は、 自転車をおいて、建物の二階へ上る。 中庭で子供たちが歌いながら遊んでいる。

 「水を一杯おくれ」 ・・・ 彼女はジョッキになみなみともってくる。
 「なにをしてたの?」 「歴史の勉強」

 「あなたはなにをしてるの」 「サイクリングをやってきた…」

、、《彼女》は、 戸棚からラジオを出してきてスイッチを入れる、、が 鳴らない。 「なぜ聞こえないのかしら」 ・・・ 「さあ、こわれたのかな」

 「遠くで二発、銃声がした。 子供たちは歌と拍手を続けている。」

 「彼女は台所へ行き、彼はその足音を耳で追った。 スリッパがぺたぺた鳴っている。 ぺた、ぺた。 もう二度と聞けないかもしれない。 でもまだ二時間ある。 まだ二時間は一緒にいられる。 五時には逮捕されているかもしれない。 失敗すれば。 あるいは成功して、逃げる途中で射殺されているか。…」

、、《歩哨》 《銃声》 《成功》 《失敗》 《射殺》 、、それらが何のことなのか、 ここではまだわからない。 《歴史の勉強》をしていた彼女と、 《サイクリング》をしてきた彼が、 彼女の家でラジオで音楽を聴こうとしているだけ・・・

 「彼はラジオの鳴らないわけがわかった。 しゃがんで、一本のコードの先をつまんだ。 ラジオから東洋ふうのメロディーが流れ出した。」

 「なんだったの」 ・・・ 「なんでもないんだ」
 「じゃここへきてよ、いいもの見せてあげるから…」
 「行けないんだ」
 「なぜ?」
 「ぼくはアースだから」
 「地球(アース)ってどうして」

、、アースの線を握ってやっと聞こえるラジオ。 彼女は白い子ネコを彼にみせる。 「もっとこっちへ来て…」 「だめだよ。 ほくはアースなんだ」と彼はほほえむ。


前半の会話の部分を中心に抜き出しましたが、 こういう《彼》と《彼女》の会話がとても初々しくて、 瑞々しくて、、 でも 二時間後に彼がなにをしようとしているのか、、 ざわざわした思いを抱えて先を読んでいくことになります。

 ***

大戦下のルーマニアが どのような状況だったのか、 歴史をちっとも知らないので 小説のひとことひとことから判断するしかないのですが、 町にはドイツ兵が駐留していて、 まだ学生らしい《彼》は何かをしようとしている、、 でも 家の中庭では子供たちが遊んでいて、 何も知らない彼女とこんな風に子ネコをなでながら 初々しいおしゃべりをしている、、

それがなんだかとても不思議で、 とっても普通なのにせつなくて、、

ここから先、 物語の8割くらいまでは 《彼女》の家ですごす時間や、 彼女と出会ったときの思い出が綴られます。 そして、 最後の5ページくらいで、 《彼》は彼女の家を後にします。 冒頭で彼が自転車を走らせて見た 「川」 「橋」 「歩哨」 「畑」 「かかし」 …そういったものが全部、 伏線になって最後につながります。


戦時下の文学としては、 前に 『ハインリヒ・ベル短篇集』で少年兵の物語のことを書きましたが(>>)、 今回の 『世界短編名作選 東欧編』にもいくつか 戦時下の物語が載っています。 
ポーランドのジェロムスキという人の 『われらを啄ばむ鴉たち』なども、 上の 『砂漠の下の海』のみずみずしさとは対極にあるような、 厳しい作品でしたが見事でした。 両者のタイトルが、よく作品の全体像をもの語っています。

もちろん 戦争と関係のない短編も、、 それぞれ時代と その時々の《人間》のすがた・暮らしがみえてくる、、 短編って 力を持っているなぁ、、と なんだかあらためて短編の良さを見直させられた本でした。。。


『砂漠の下の海』、、 だれか映像化してくれたら、、と思うくらい。 短編だから 映画としてはドラマが少なすぎるかな。。 でも 夏のきらきらした日差しの中を自転車を漕いでくる少年のすがたが 目に見えるような作品です。