星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

華の香り、花の匂い。

2002-10-27 | アートにまつわるあれこれ
 お友達とメープルソープ展を見ました。
 大丸ミュージアムで、東京の後は大阪か福岡に行くみたいです。場所がら、ということもあり、過激な作品はありませんでしたが、初期のコラージュ作品(ネクタイ掛けに描かれたマリア様がとても美しかった)とか、パティ・スミスを写したフィルム作品「still moving」が見られて良かったです。

 ・・私の感想だけど・・メープルソープの「花」は(匂い)がしない。人物も、たとえば写真から抜け出して今にも動きそう、という感じがしない。それは、もう二度と動かないその一瞬でしかありえない、永遠に閉じ込められた「美」という気がするから。。パティのベスト「Land」のジャケット写真は上に書いた映像の一場面でした。映像の中でパティはずっと動き続けているのに、メープルソープの捕らえたあの一瞬は映像の中にあるけど映像ではありえない、、すごく不思議でした。

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 今日は日差しが柔らかです。。モスクワは雪が降っていましたね・・・なんだか降り止まない雪、だな。

 頭が少し休息中です、、メールのお返事、いっぱいあるけどあとでゆっくりさせて下さいね。よい休日でありますように。

十月の旅人

2002-10-20 | …まつわる日もいろいろ
仕事が詰まって来れば来るほど、不思議と本が読みたくなったりします。10月は不思議な月。。そう、ブラッドベリもゆっくり読みたい人ですね。いつも感激するのがあのタイトル、「10月は・・」と聞けば思い出してしまうし、「とうに夜半をすぎて」なども・・私はちっとも読書家ではなかったけど、高校の薄暗がりの図書館にあったタイトルだけは覚えているの(笑)

 コクトーの『美女と野獣』は見てないのでいつか見たいです、、、コクトーの美意識は歪んでいるようでいて、とても潔癖で傷つきやすい美しさですよね、、私、マンディアルグくらい残酷でどす黒いエロティシズムがあった方が好きなのです、じつは。。でも『オルフェ』もその続編もすごく印象的でした。裾を少~し巻き上げて、素足にはいたローファーの詩人、なんて素敵なんでしょう!

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 コクトーの映画にも出てきそうなデヴィッド・ボウイの「Young American」「Low」時代を、今夜本当に本当に久しぶりに聴いて、この秋発売になるベストの選曲には入って来ないような「Can You Hear Me」がすごくすごく好きだったとか、「ワルシャワの幻影」を当時ヘッドホン両手で抱えて何度も何度もあのB面を聴いたなあ、とか想い出しました。77,8年ごろでしょうか・・ボウイがもとで同じベルリンぽい音のJAPANにハマったのは間違いないですね。秋は、この寒そうなベルリンの音にも再び酔い痴れそうです。・・なんてボウイを聞き続けていたらこんな時間に、、今は「hours...」。ではおやすみなさい。

銀杏はまだ色づいてはいないけど

2002-10-19 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
 銀杏並木とたくさんのベンチ。その中のひとつに腰掛けて友を待つ。アスファルトを敷いた歩道を、小さな落葉たちが風に吹き寄せられてからからと舞っていく・・静けさ・・そしてまた、風が吹く。落葉たちがいっせいに駆け出す、また、からからと。
(今日は、妖精たちの運動会だね・・)

 これは、この前の試験の日の状景。。たとえばポール・ヴァレリーの長詩『海辺の墓地』は、とっても難解な詩ですけど、海の波音が感じさせる「時」の無限性と、墓地に象徴される「命」の有限性をうたったもの。そしてこの詩の一節が出てくる『風立ちぬ』に描かれる風景は、浅間山麓のいちめんのすすき野と、そこを渡り来る風音。

 人工の音から逃れて、風に耳を寄せることが少なくなってしまって残念です。。あ、そうでもないかな?ビルとビルの間では、風が鳴らす弓音も聞こえますものね。

縛を解かれたプロミシュース

2002-10-08 | MUSICにまつわるあれこれ
 去年の今日は、アメリカによる空爆が始まったことと、その翌日にはジョン・レノン音楽祭に出かけることになっていたのとで、とても複雑な気持ちでいました。今日はどんな一日になるだろう、としばらく前から考えていて、、、前に少しメモっていた事と、いただいたメールから感じた事と、重ね合わせてちょっと書いてみました。

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 「The Joshua Tree」に入っている16年前の曲「where the streets have no name」。ロックがすっかり死んでしまったように感じた80年代の中で、絶えることなく燃えていた焔。U2の熱狂的支持者というのではなかったし、ただ脳天に響き渡るエッジのギターもボノの声もずっと心の奥にあって、自分が駄目になりそうな時いつも聴きたくなった。もし、明日死ねと言われたら、間違いなく聴くのも、この曲。

 今年のボノの話題は国際政治のことばかりだった。アフリカの税政サミットに出席し、米財務長官とアフリカ諸国を視察し、仏では経済援助を取り付けてきた。世界で最も有力な政治力を持つ人間のひとり、とまで評されるようになったボノ。ダブリンの不良高校生で、ドラマーのラリーの張り紙で集まった友達で・・ボノがこんな風に政治的影響力を持つようになるとまでは思ってなかったけれど、彼らがアイルランド人だったことはとても重要。(このことを詳しく書いていくのはムリなので、省略します・・)

 英国19世紀の詩人パーシー・ビュッシー・シェリーの『縛を解かれたプロミシュース』(岩波文庫)の中で、コーカサスの岩に縛られていたプロミシュース(プロメテウス)は鎖を解かれたとき、時の精にこう告げた。「行け、人類の多くの都市に、疾風を脚とする駿馬に乗って。もう一度、太陽よりも疾く走って、円球の世界を周って来なさい。あなたの戦車が、激しく動く空気をつき裂いて行く時、幾重にも、らせんを巻いたその貝の中にあなたは息を吹き入れてその大いなる音楽を放ちなさい・・(略)」

 世界中を駆け回るボノの姿は、ステージにつくられたハート型の花道を疾走して歌う姿と同じで、プロメテウスの命を受けて放たれた精の姿のようだ。争い、暴力、権力、盲信、神、、、これらすべてに勝る人間の力が「詩魂」であると信じたシェリーの意志とおなじように。

 円球の世界をたった1本の鉄道の力で結ぶのは不可能。けれどもプロミシュースの言う「音楽」を、信じ愛する事ができる者なら、たとえ荒野の中でも、砂漠の上でも、めいめいが歩き出し、そして向かっていこうとする道はどこかでクロスする。力によって名づけられた通りではなく、「名も無き通りの上で」かならず互いに出会う瞬間が来るはず。考えも行動も全く違う者同士だったけれど、道が重なり合った、と感じた瞬間が私にもあった、たしかに。。

 そのうちに間違いなくボノは、ノーベル平和賞か、国連総長だろうな・・(笑)。ヨシュアトゥリーはアメリカの砂漠に生えるユッカの木だってライナーには書いてある。ボノ、、地球はどこまでも砂漠化していくよ、(でも彼はいつだって本気だから)・・べつにボノに偉くなって欲しいんじゃないです。小さきもののままでいい、自分もまたプロミシュースに放たれた精のように「詩」を「音楽」を愛する者でありたいと願うだけ。名も無き通りで人々と出会うために・・。

ウィンスロウぼっちゃま♪

2002-10-05 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
 いつも行く図書館・・金色の香があふれています。夕映えの雲のような、朝焼けの湖のような、そんなせつない香りがしばらく街をつつみます。

 毎晩、一杯のミルクにキンモクセイの花をひと枝添えて、、それを飲まないと眠れない甘ったれぼっちゃんが出てくる古~~い漫画があるんです。「この娘に愛のおめぐみを」・・私が尊敬して止まない「おおやちき」さんの'74年の作品です。

 ・・う~む、どうもまた歯車病にとりつかれてしまったみたいで、いけません。でも心配ご無用です。最近ね、とてもいいお薬ができたんですよ(とてつもなく高いのが、べつの意味で頭痛の種・笑)。芥川龍之介さんにも教えてあげたいナ。。というわけで、お薬飲んで寝ます。なつかしい漫画、すこしだけ読んで。。

Girlieなオフィーリア。

2002-10-02 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
 昨夜のつづき・・と言ってももう終わってしまったお芝居でゴメンなさい。
 紹介では舞台をボクシングリングのよう、と書いてありますが、相撲の土俵、と言ってもいいかも。それと言うのも、四方を囲む客席の通路(花道とでも言いましょうか)も、舞台の延長で、私の背後をお父さんの亡霊が横切っていったり、ラストの決闘シーンでは客席じゅうを駆け回ったり。暗くて段差のある舞台を駆け下りたり駆け上がったりするのに、つまづいたりしないのかしら、と心配になる位の激しい動きなんだけど、俳優さんたちのエネルギッシュできびきびした動きはもう眼をつぶっていても走り回れるように鍛えたのでしょうね。ハムレットは、他の俳優さんよりは小柄で、遠目にはTravisのフランみたいにチャーミングで、傷つき、反抗し、潔癖さゆえに残酷にもなり、破滅を招いても走らざるを得ない、そんな痛々しさと愛らしさが同居している感じで本当に素敵でした。男物の白いシャツに靴下だけ、というスタイルで真っ白なテレキャスターを肩にかけて、傷心の歌をささやくオフィーリアもまるで妖精のようでした。

 カーテンコールの時、左右から役者さんがふたりずつ位、ぱーーっと舞台へ駆け込んできては客席におじぎをしてね、ぱーーっと散っていく、その様子はさすがバレエのお国柄・・どきどきするほど美しくって、あんな風にエレガントな動きはムリでも、せめて立ち姿くらいはまっすぐ美しくしていたいなあ、と思ったものです。

天国への階段

2002-10-01 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
書きそびれてしまったのですが、新国立劇場での『ハムレット』を観ました。
朝日新聞でも紹介されたのでご存知の方もいるかもしれませんけど、ドイツのペーター・シュタイン演出の、ロシア人俳優がロシア語で演じるハムレットです。新聞で、デンマーク王子ハムレットがサックスを吹き、大学時代にはバンドをやっていて、かつての学友ローゼンクランツとギルデンスターンがエレキギターを手に、会いに来る・・という内容を読んで「絶対見る!」と最終日の前日に観に行ったのです。

父を失い、愛情に飢えながら母も信じられなくなってしまった現代っ子の悩める王子を、昔の仲間がセッションをしながら慰めます。ビートルズを弾いて、、それから、台詞を喋りつつギターを爪弾いているのを聴いていたら、天国への階段のイントロでした。ロシアの若い俳優さんたちのファッションも、Tシャツ、ブーツ、腕にバンダナ(?)巻いたりロックしていて、でもそれがロシアの俳優、ロシア語、という点でもの凄く成功しているように感じられました。

 ・・と、続きを書きたいのですが今夜は時間が無いので・・また。