星のひとかけ

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対照的なスウェーデンのミステリ2作品…:『娘を呑んだ道』スティーナ・ジャクソン著/『時計仕掛けの歪んだ罠』アルネ・ダール著

2021-01-14 | 文学にまつわるあれこれ(鴉の破れ窓)
寒中お見舞い申し上げます。 今年も良い読書生活しましょう。

なかなか読書記が更新できていないので、 昨年末からここ最近読んだものの中から佳作ではないかと思えるミステリ作品を今回は挙げてみます。 

まずはスウェーデンのミステリ小説2篇。 少女の連続失踪事件という似た内容でありながら、 ふたつはとても対照的な印象でした。




『娘を呑んだ道』 スティーナ・ジャクソン著 田口俊樹・訳 小学館文庫 2020年

3年前に行方不明になった少女。。 警察の捜査も難航し、 時が過ぎるとともに次第に生存の可能性が乏しくなる中、 決して諦めずに娘を探し続ける父親の執念の物語。 
娘の失踪という事件が、 父親の生活の総てを変え、 妻との関係も壊れ、 地域社会のなかでも孤立していく、、 崩れ去ってしまった日常が哀しい。。 けれども 娘を見つけ出すため、虱潰しに地域を巡る父親の狂気にも似た想いはとてもよくわかるし、 彼をとりまく地元の人々の表面的な同情心とか、 うそ寒い協調もよく描かれている。 ほんのひと握りの、ほんものの思い遣りを示す友人のありかたとか、、。

スウェーデン北部のノールランド地方が舞台で、 人々が皆、顔見知りのような狭い地域社会を描いたものとしては、 ヨハン・テオリンさんのエーランド島四部作に近い雰囲気があるけれども、 読み応えの面ではこちらは少し物足りない気が…。 
娘を捜す父親の物語と、 この地域に新しく移り住んだ母娘の物語が交差しながら描かれていくのですが、 少女失踪の謎に関しては 後半になると筋道が見えてきてしまうので、、。

でも、 娘を探す父親の想いの強さ、 この地に流れ着いた親子(母と娘)の人の温もりを欲する想い、 家族を守ろうとする想いや、 得られなかった愛情に焦がれる想いや、、 家族の繋がりを求める想い、 いろんな切なさ、 優しさ、 悲しさ、、 それゆえの悲劇は丁寧に描かれていたと思います。


『時計仕掛けの歪んだ罠』 アルネ・ダール著 田口俊樹・訳 小学館文庫 2020年

こちらも少女連続失踪事件を追うミステリ。 舞台は都会、ストックホルム。 『娘を呑んだ道』とは対照的に、 ひたすら事件を捜査する警察の物語。

、、『娘を呑んだ道』が情感に訴える作品だとしたら、 『時計仕掛けの歪んだ罠』は技巧に驚かされ 感心する作品。。 犯人を追う捜査班のテクニックや、 尋問の様子がこと細かに緊張感をもって描かれ、 そこを読むだけでも手に汗握る前半部分。 尋問の会話のやりとりの場面がすごく緻密につづくので、 これだけで読ませる技量は凄いなぁ…と感心しつつ、、 このまま尋問の心理劇がつづくの…? と思いきや、、

話は思いもよらぬ方向へ、、。 木乃伊取りが木乃伊…?? 的な大転換があって、、 舞台も密室の警察署から 盗難車を乗り換えて走り回るような動きのある展開へ、、。

この作品の魅力はひたすら技巧的な面だと思うのです。 前半の動きの少ない地道な捜査場面の中にもじつは技巧は凝らされていて、 読みながら んんっ?? と頭に引っ掛かる部分、、 主人公の警部のちょっとした動作、とか。。 其処に 何だろコレ… という疑問を持ちながら読んでいくと、 やがて うっわぁぁぁぁ… と、 唖然とすることになる。。 まさに《歪んだ罠》に嵌った感じ。

終盤、、 犯人を追い詰め、、 事件は解決の方向へ、、と思ったところが、、 ラストのラストにまたまた えええっ…!? というまさかの《つづく》へ。。 事件は、たしかにひとつの解決をみたものの、 ほんとうには終わらなかったのでした。。 続編へ、、と。

ちょっと今までには無い構成の二転三転には驚かされたのですが、、 前半のものすごく緻密な尋問の心理劇も面白かったので、、 後半になって、 犯人の動機や 捜査官の背景がわかってきて、、 こんな超絶技巧の事件の裏にあるものが見えてくる段階になると、、 私はちょっとがっかり、な部分も。。 
犯人側の行動も 警察側の展開も あまりにも巧妙に仕組んだ書き方であるだけに、、 その理由付けを考えると、、ん~~~む。。 

ミステリの捜査官や容疑者などが、 心になんらかの欠如を抱えているというのは いろんな作品にあるのですが、 現在の行動を支えているのが《過去の欠如の穴埋め》では不十分だと思うのです、、この作品が、というのではなくてミステリ全般として。。 特にスウェーデンミステリ界は 社会や世界の動きを感じとることが出来る優秀な小説がいくつもあるので 期待度も大きくなってしまうのですよね。。

でも、 解決しなかった謎をめぐって、 続編が出たら読みたいです。 再び どんな技巧で驚かせてくれるのでしょうか。。

 ***

年末年始の慌ただしい日々もそろそろ落ち着き、 寒中の日々のなかでも窓からの太陽の光はすごく春めいてきました。 快晴の陽射しは肌に熱いくらい…。

なのに 感染爆発はいつになったら落ち着いてくれるのかしら… 


全員で頑張るしかない、、 それしか無いんですよね。


今日も笑顔で。。

お愛でとう 2021

2021-01-02 | …まつわる日もいろいろ
新しい年2021のはじまりです。

タイトルは、 元日の新聞の受け売りなんですが… 「おめでとう」の語源は 「愛でる(めでる)+~したい」という意味もあると読んで 成程と思った次第です。

愛したい、、 いつくしみたい、、 美しいもの いとおしいものを感じ歓び感動したい、、

今 こころが求めているのはまさにそのこと。。 思うように触れ合えない、 会えない、 そばに行けない今だから、、 心から愛し いとおしみ 大事にしたい、、 愛してると伝えたい、、 愛してる心を届けたい。 それが出来る年にしたい、 です。

 ***




初日の出は きらきらまたたいて何かを話しかけているような明けの金星の輝きのあと、



快晴の空に 太陽さんが昇ってきました。 



、、昨年末になって 気づいたことがあったのです、、 昨年のコロナ禍の影響で リモートワークも増え、 毎朝 珈琲を以前より時間をかけて淹れるようになったのですが、、 ハンドドリップで淹れる珈琲が 暮れ近くなってなんだか前よりずっと美味しく淹れられるようになったこと。。

それから、、

大晦日には毎年つくっているお煮しめ。 わたしの家は子供の頃 母親が大晦日も仕事のシフトがあったので、 12歳くらいからずっと私がお煮しめを作ってきたのですが、、 作り続けて40余年、 今回 一ヵ所だけ作り方を変えたら 史上最高の美味しいお煮しめが出来上がって、 感動。。 

こんな年になっても進化できるんだ… と、 思いを新たにしました。 (←って、いままで成長してなかったってことなんですが…)

それで気づかされました、、 何歳になっても学びつづけること、、 どんなちいさなことでも良いから 進化すること、 成長する喜びを忘れないようにしよう。。 珈琲一杯でも。。 煮物ひとつでも。。









新年に使うお気に入りの織物をテーブルに。。 古民家カフェみたいで気持ちがほっとします。


 ***

世界は 困難なことがいっぱいだけれど、、


愛でたい。  愛したい。。


そして 成長したい。。



今年も予期しないアクシデントがあるかもしれない、、

けど、


今年がおわるころ、 なにかを学んだ 心がゆたかになった、、 って思えるようでありたいな。。