星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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凍てつく街角の偶然…

2018-12-22 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
昨日読み終えた本の話…

、、なのですが、その本の話はそんなに重要では無いんです、、(笑) なんて言ったら作者さん等に失礼になってしまいますね、、 

しばらく前に読んだペレス警部シリーズの『空の幻像』は、、作者アン・クリーヴスさんが女性のせいか 登場人物が女性友だちの結婚で集まったメンバーという設定のせいか、 女性同士の心の中(つきあいの中では表れてこない) 羨望とか、比較とか、ちょっとした妬みとか、隠し事とか、、 そこから生まれるサスペンス。。 アン・クリーヴスさんはそういう女性ならでは視点が特色でもあり、、 でもちょっとそこが(私には)物足りないかつ鬱陶しい部分でもあり、、

ならば 男の人が書いた刑事もの、、 ということで 「酒浸りの生活を送るコペンハーゲン警察の捜査官…」 という紹介文だけで決めた作品、、 デンマークのミステリ小説『凍てつく街角』ミケール・カッツ・クレフェルト著 長谷川圭訳 ハヤカワポケットミステリ を読みました。

、、一気に読んでしまいましたし、 主人公のキャラも良かったんですが、、 今度は《酒浸り刑事》と《裏社会のギャング》と《そのギャングの食い物にされる悲惨な女たち》という、、 (クリスマスを前にしてなんでこんなん読んでいるんでしょう…)って思いながら読んでいました。。 デンマークとスウェーデン 隣国同士ってやっぱりどこか対抗意識というか 仲悪いんでしょうか、、 スウェーデン警察のヴァランダー警部シリーズの人道主義というか人間味というか、を鼻で嗤うように なぜか舞台はスウェーデンの裏社会の悲惨と警察の無能さ。。

おまけに 前にヘニング・マンケルさんの小説に出てくる《菓子パン》のこと書きましたけど、 スウェーデンの《菓子パン》までコケにしている辺りは 笑いのネタなんでしょうか、 本気なのでしょうか、、 そういう部分は悲惨な事件の中でクスっとさせる面白さはあったけど…

、、 ともあれ、 (ある程度優れた)各国のミステリ小説を読むのは 現代の社会事情が垣間見れるという点ではやっぱり面白いです。 来年も手ごたえのある作品を探して、ミステリ読みは続いていくでしょう。。

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で、、 そのデンマーク酒浸り刑事VSスウェーデン裏社会 の最後の大団円で なぜか飛び出して来た文の中に、 『ニルス・リューネ』という小説の名が…



『ニルス・リューネ』とは、 デンマークの19世紀の小説家 イエンス・ペーター・ヤコブセン (Jens Peter Jacobsen)の唯一遺した長編小説。 リルケが大変愛した作家で、 『若き詩人への手紙』の中で、ヤコブセンの短編と、 『ニールス=リーネ』という小説をぜひ読むように、、 と書いている…と。 これは昨年末、 ヤコブセンの短編について此処に書いたために『ニルス・リューネ』を覚えていたんです(そのときの日記:印象主義と詩人の魂:「モーゲンス」J.P.ヤコブセン『ここに薔薇あらば 他七篇』より >>

、、 『凍てつく街角』の作者は、どうしてここで突然 1世紀以上も前のヤコブセンを出したんだろう… たぶん、日本で読むミステリ好きの人には『ニルス・リューネ』なんて全く聞いたことないだろうし、、 でも、 デンマークでは有名なのかな?? それとも、 案外 この作者クレフェルトさんの愛読書だったりして。。 それとも、『ニルス・リューネ』の青年とこの酒浸り刑事とを なにか結びつけるものが隠されているのかな…

、、独りで乗り込むハードボイルドな酒浸り野郎の物語はそこそこでしたが、 偶然にも去年の今日、 『ニルス・リューネ』やヤコブセンやリルケや山室静さんのことを書いていたのを想い出して、、 なんだか無駄な読書ではなかったな、、とちょっと嬉しくなりました。

、、 年が改まったら、 落ち着いて読書が出来る時期に 『ニルス・リューネ』山室静さん訳で読むことにしましょう。。 

、、 読書に限らず、 音楽もそうだけれど、、 不思議な糸で手繰り寄せられて 次の作品が見つかるのって面白い。。

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おとといの夜明けは ちょっと北欧な感じの空でした。




この連休はお料理を頑張るのです。。 先日 寸胴鍋でつくった骨付きチキンのシチューは最高に美味しく出来て、、 あれを超えるものをクリスマスに作るのはハードル高いな… とちょっと困っているのだけど、、 。

、、今日は冬至。

部屋に低く差し込んでくる夜明けの光が愛おしいです。





、、 そろそろビストロのおかみに戻りますね…

BGMは 、、 シベリウスの二番で…