星のひとかけ

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Winterreise『冬の旅』:第五章「菩提樹」Der Lindenbaum

2018-12-04 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)

写真は菩提樹ではありません。。 菩提樹の写真 もってないので…

、、「菩提樹」という木について 殆んど何も知らないという事に気づき、 まずはそこから調べました。 私、 この歌で歌われている菩提樹という木を見たことがあるかしら…? と。

《ボダイジュ》…ウィキ(>>)にだいたいのことは書かれていますが、 お釈迦様がその下で悟りを開いたのは インドボダイジュ。 シューベルトに歌われているのは セイヨウボダイジュ。 そして、 私が故郷で目にしていたのは オオバボダイジュ、、 だったということが判りました。

では、 セイヨウボダイジュ(リンデンバウム)。 
都内ではどこで見られるのかしら、、と思ったら、 一番わかりやすい場所が 新宿御苑の入り口手前の街路樹。 そうでした、 春 御苑のつつじ山が綺麗になる頃、、 門に入らずとも入り口の前でこの薄黄色というか白と黄色と黄緑をわずかに合わせたような小さな花が たくさん零れているのでした。。

リンデンバウムはハーブとしてもよく知られ、、(といっても今わたしその香を蘇らすことが出来ません、、 今度アロマ屋さんで嗅いで来なければ…) アロマオイルやハーブティーがあるそうです。 早速ハーブティーも検索しました、、
 
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シューベルトの「菩提樹」、、 この「冬の旅」曲集の中では最もよく知られ、 よく歌われている歌です。 だから私も知ってます、、

ボストリッジさんのこの第五章は、 有名な歌、 人々によく知られた樹 だからこそどの部分もネタバレできない貴重なお話ばかりです。 ほんと、、 この一章だけで、 シューベルトの「菩提樹」の比較文化史、 比較文学史、 の立派な論文として成り立ちます(でも 全然論文用語みたいな難解さはなくてほんとうにわかりやすい言葉で書かれていますが)。 

語られる文学は、 オウディウスの『変身物語』にはじまり、 ゲーテの『ヴェルテル』、 トーマス・マンの『魔の山』、 プルーストの『失われた時を求めて』など…

英国のロマン主義詩人 コールリッジの詩、、 すみません (- -); 今まで何度もコールリッジの事このブログに書いておきながら 、、「著名な」と書かれているこの詩をワタシ読んでません、、"This Lime-Tree Bower My Prison"

岩波の『対訳 コールリッジ詩集』にも、 彩流社の『幻視と恍惚 イギリス・ロマン派詩を読む』黒岩忠義 著 にも、 この詩のことが載っているようです、、 (もっと勉強しないと… と痛感するばかり、、)

、、と こんな風に ボストリッジさんの博学に誘われて リンデンバウム(英語ではLime-Treeなんだそうです)の事を検索したり、、 そのリンデンバウム(菩提樹)が重要な意味を持つ文学作品を教えられたり、、 ほんと、 音楽論でもある以上に 私には大切な文学史の教科書になりつつあります、、

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もうひとつ、 この第五章「菩提樹」でやっと知った 《一音の違い》

、、私のよく耳馴染んでいた歌は そちらの《一音違い》のほうの歌っだったかもしれない… それは冒頭の写真にあるような、 光こぼれる初夏の葉のそよぎ、、 安らぎと郷愁をもたらす木陰、、

でも、 今は「冬の旅」。
プルーストではないけれど、 緑の葉のそよぎは もはや失われた時…… 

、、 そして 昨日書いた ロマン派のキーワードへと結びつくのですね。。





来春…

リンデンバウムの花を見に行ったら、、 雪の結晶とみまごうか、、


確かめてみなくちゃ…