税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

意志と表示の不一致(錯誤)

2008-09-22 08:28:42 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は意志と表示の不一致(錯誤)です。前2回の「心理留保」と「虚偽表示」と異なり、錯誤は表意者本人がその真意と表示が異なることを認識していません。いわゆる勘違いで、値段の桁数や売買物を間違えた場合がこれに当たります。

1.原則無効
民法95条本文で「意志表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。」として、錯誤は原則無効と規定しています。

2.表意者に重過失がある場合
錯誤はその表示に対応する意思が本人の勘違いによりないものですから原則無効ですが、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができないとされています。(民法95条但書)
条文では、この場合の無効を主張できないのは表意者本人の側からと規定していますが、判例は他の誰もその無効を主張できないいう見解をとっています。

3.要素の錯誤
錯誤の場合、表意者が無効を主張できるのは法律行為の「要素」に錯誤があった場合としていますが、その要素とは法律行為の重要部分ですので、売買契約における「目的物」や「価額」は当然要素とされると思われます。
ここで問題になるのは、「動機」の錯誤がどうなるかです。
例えば、「道路や鉄道ができるから土地の価格が上昇するだろう。」というような動機です。判例はこのような動機の錯誤は、要素の錯誤には当たらないとしています。
ただ「動機が相手方に表示され意思表示の内容となった場合」には動機は要素の錯誤になりうるという立場をとっているようです。

4.詐欺
動機の錯誤が相手方の詐欺によるものである場合には、意思表示を有効とし、その後詐欺による取消しをすることとなります。もし、その動機が相手方に表示され意思表示の内容となっているときは、表意者の選択により、錯誤による無効か詐欺による取消しを選択することとなります。

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