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【下流志向】

2007年07月15日 | 最新ビジネス書評

下流志向 学ばない子供たち・働かない若者たち】という本を読みました。

内田先生の分析力・本質を見抜く力はすばらしいと思いました。

 

『人に迷惑をかけなければ何をやってもよい』という発想を持っている若者はたくさんいます。

しかし、この言葉の本質は、『自分が人に迷惑をかけない』ことではなく、『人から自分が迷惑をかけられたくない』という気持ちの裏返しと解説しています。

人から詮索されたくない、迷惑かけられたくないという気持ちの強さは、すぐに被害者意識になれるそうです。

自分が被害者意識を持つということは、すぐにその加害者を見つけ出す天才ということでしょう。

この結果、自分の中で、『自分が被害者』・『相手を加害者』という関係を勝手に作り出していくそうです。


『自分は何も悪くない。悪いのはこの人です!』というのが口癖になる人です。

また、自分を弱者と思う人は、『自分が相手のために何かをしてあげたい』と思うのではなく、『相手から何かをしてほしい』と考えます。

しかし、内田先生は、世の中には強者は存在しないといっています。
弱者が思っている強者もまた、弱者なのです。

弱者が『何かをしてほしいと思う』ように、弱者が思っている強者もまた、『何かをしてほしい』と弱者と同じ思考法で思っていれば、世の中には、強者など存在しないのです。


つまり、弱者が思う、強者とは幻想に過ぎないことになります。


国とは、国民そのものです。
国民が、みな弱者の発想で、何かを望めば、その思考の総和である国が、他の誰かのために何かをしてあげようとするのでしょうか?

生活が苦しい人を見て、かわいそうだと思う人はいても、増税にはこぞって反対します。自分に火の粉が振りかかりそうなことは徹底して反対するのです。



強者がいること自体が幻想とすれば、他の誰かに望むこと自体が無意味なことになるはずです。


あなたのために何かをしてあげたいと思う人が世の中にいないとすれば、できることは、自分でリスクテイクし、自分自身の力で人生を切り開くしかありません。

 

内田先生の『下流志向』からは、いろいろ考えさせられることがたくさんありました。
この本を読むと、日本は終わった!!と思わざるを得ません。

 

国民の意識が変わるまでは、少なくとも10年はかかるでしょう。
この間、マクロ的には日本はどんどん悪くなっていくでしょう。

現在の所得格差の本当の原因は、教育格差からきているのです。

しかも、その教育格差は、自ら選んだ教育格差なのです。


教育されるチャンスがなかったわけではありません。
自ら、教育を受けることを学校で放棄したのです。
その結果の教育格差なのです。


現在、所得格差は現実に起きています。
この所得格差は、この先、教育を受ける機会も奪われるという教育格差を生みます。

現在の教育格差は、自発的格差ですが、今後は、非自発的教育格差が生まれるのです。

この教育格差は、さらなる所得格差を生みます。


国民が、所得格差の本質が、教育格差にあることに気づかない限り、2極化はさらに進むことでしょう。



日本は、国際レベルに教育水準が戻らない限り、終わりです。

逆に言えば、戻すことができれば、まだ望みはあるということです。