この3連休の間に考え直したことがある。
経営者は一体誰のために仕事をしているのか?
最初は基本的に自分のために働く人が多い。
次に、成功するためには「顧客のため」と非常に強く考えるようになる。
そして、会社が大きくなるに従って、求心力が必要となって、多くの経営者は「社員のため」にと考え出す。つまり、自分自身のリーダーシップの問題が非常に重要なテーマになるためだ。
京セラの稲盛会長は「社員のために働くことが、結果として顧客や社会への貢献につながる」
と言う。つまり、これが経営者の思いであり、経営理念といえるのであろう。
私は、従業員のために働くと言う経営者を非常に多く見てきたが、私は今までそれに対して否定的な考え方を持っていた。
しかし、この一年で当社も100名以上の社員を採用し、私自身がいつの間にか顧客よりも従業員を志向していることを感じた。このため、社員が多くなるに従って、従業員のために働いている気持ちに変わってきていたのである。
経営者の理念には「自己主義→顧客主義→従業員主義」と変わっていくパターンと、
最後にまた、顧客主義に戻るもう一つのパターンの二つがあると思う。
ほとんどの経営者は、前者のパターンで終わり、従業員志向で終わってしまっている。
最大の問題は、経営者自身が、自分自身のリーダーシップを問題にするためだ。リーダーシップのない経営者は、延々と従業員志向で終わってしまうのだ。
もし、経営者が従 業員のために働くとすれば、従業員はいったい誰のために働くのか?
結局、従業員は自分のためだけに働くようになる。そうすることで従業員主義を唱える経営者とベクトルが一致するのだ。
これは本来の経営からすると非常におかしい現象といえる。
経営者は従業員のために働いてはいけないのである。
経営者が最終的に顧客主義を貫けば、従業員も顧客主義に戻ることができる。
経営者が従業員主義を打ち出せば、確かにその理念は従業員にとって、とても受け入れやすいものだ。
「従業員のため」と言う経営者がたくさんいるにも関わらず、それを否定できる従業員がいない。受け入れやすい言葉には、非常に大きな落とし穴があるのだ。