久野康成公認会計士事務所/株式会社東京コンサルティングファーム(TCF)の 【国際化支援ブログ】

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なぜ、歳をとるに取るにつれて1年が速くなるのか?

2005年12月29日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
今日は、仕事納めの日です。1年間お疲れ様でした。。

改めて、1年経つのが速いと感じました。しかも、年々、歳を取るにつれて速くなっていきます。


なぜか??


人間は、過去の経験に則して、今を判断します。

7歳の子供の時の1年は、人生の7分の1の変化率です。
40歳になった今は、人生の40分の1しか変化しません。

小学生のときは、永遠に終わらないときの流れを感じました。しかし、今は一瞬にして過ぎていきます。

人生の変化率は、年々、低減していくのです。
従って、自然に任せて生きていれば、マインドは、年とともに下がっていきます。人生もその先が見え、生きがいを失っていくのです。


よりよい人生を楽しむためには、歳を取れば取るほど、意識して自分の成長を促していかなければなりません。でなければ、非常に冷めた生き方に陥りやすくなります。

私の30代は、客観的には大きく変化した時代でした。
にもかかわらず、それほど変化した実感はありません。
淡々と時が流れていきます。


40代、50代、60代と意識的に大きなテーマを持って生きようと思います。

私にとっての40代は、人生の本番の始まり・・・いよいよ世の中に出るときです。40代の内にやり残しがないようにしなくてはなりません。経営者としてピークを迎えるときです。


50代は、次の時代を築く、リーダー育成に力を注ぎます。自分の成長よりも他人の成長に力を入れるときです。事業承継のためのリーダー育成をし、経営者として幕を下ろすことができるようにします。


60代以降は、再び、コンサルタントとして、社長の育成。
投資家として、企業家育成に力を注ぎます。
60代は、お金をいかに稼ぐかではなく、いかに世の中の役に立てるかを考えるときといえます。




来年もよいお年を・・・






『心』が全てを決める

2005年12月28日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
『心』と『技』と『体』、つまり、心技体の中で、心がなぜもっとも重要視されるのか?


『心』の本質とは何か?

心のあり方は、目的そのものを決定させるものです。つまり、目標設定とは、心のあり方が決めるものなのです。目標設定を言い換えると、志の設定なのである。

『技』の本質は、目的を達成するための手段なのです。

つまり、『心』が目的、『技』は手段。。


しかしながら、『心』は、目に見えない、『技』は目に見える。

人間は、目に見えるものを重視しがちになり、見えないものの中に、本当に重要なものが隠れていてもそれに気づかない。従って、これに気づいた人は、見えないものの中にある重要性を説き続けなければならない。

ある意味、宗教もこれと同じ原理である。『気づいた人』は、『いまだ気づいていない人』に気づかせる義務が生じるのである。従って、布教とは、『気づいた人』の使命となるのである。


私自身は、宗教的な意味で『気づいて』いるのではない。(誤解がないように・・)

経営の本質とは、生き方の本質と同じであると気づいただけである。






『心』が重要なのである。そして、その本質が『志の設定』であれば、『志』は高くなければならない。

『技』の本質が、手段であれば、もっとも有効な手段にするために、研ぎ澄まさなければならない。



従って、

『心』は高めるものであり、
『技』は磨くものなのである。



心のあり方が全てを決めてしまうのである。




いくらの売上高を目指すのか?

2005年12月27日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)

企業にとっての目的は、経営理念の実現にあります。

しかし、経営理念やビジョンという定性的な目標設定だけでは、その達成度合いを測定するのが困難です。


そこで、定量目標である数値による目標設定が必要となります。



さて、株式公開を目指す、というより、社会的に公器として、十分公開に値する会社にするために度の程度の売上高が必要なのか?

私の中では、必達目標として100億円が一つの目安になっています。

しかしながら、100億を目標設定すれば、100億を超えることはできません。
自分が設定した目標が、自分の限界点の設定を同時にしたことにもなるからです。



 限界点に到達するまで背伸びをすることは困難であり、結果として、目標は達成されずに終わってしまいます。

 100億を到達したければ、千億の市場を見渡さなければなりません。そして、100億を通過点にしなければならないのです。



 では、我々にとって千億の売上を上げる方法は何か?

 M&Aは、確かに有効な方法であります。

しかしながら、成功した経営者は、自分の実力を過信し、さらに何でも手に入る、堀江社長のように『お金で買えないものはない』と思うようになります。  

リーダーシップに『心理学』を生かす(ハーバードビジネスレビュー)
の中で、成功した経営者は、好戦的買収を自分が破滅するまで仕掛けていくと書いてありました。

 

まさに、今のトレンドは、このような流れになっています。残念ながら、メディアで伝えられている中で、最近の敵対的買収の大きな失敗事例がなく、ますます、M&Aを冗長する感があります。

では、M&Aではなく成長する仕組みは何か?折口氏のグッド・ウイルのように、コムスンの買収はありましたが、本業の人材派遣は、M&Aをすることなく成長しています。これは、まさに理想的な成功モデルと言えるでしょう。

 

我々のビジネスモデルは、IPOコンサルティングを通じて、コンサルの顧客先とも提携関係を持ち、共に成長していくモデルです。決して、敵対的買収は仕掛けません。
我々が考えているビジネスモデルは、かつて、ソフトバンク等が大々的に実践していたものに近いと思われるかもしれませんが、お互いにWin-Winの状態を築けるものでなくては長続きしないと思っています。

そのためには、我々の根本的なIPOコンサルの中身にかかっています。共存共栄するためには、お互いのビジネスがシナジーを発揮するものでなくてはなりません。

 

 

 


2005年を振り返って

2005年12月26日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
 2005年は、久野康成公認会計士事務所にとって、大きく飛躍した年となりました。

 人数的には、2004末が49人で、2005年末が200名弱となり、約4倍。
売上としても4倍強の伸びとなりました。

 会計事務所にとっては、IT化の流れで業務が大きく変わらざるを得ない状況で、この流れを受けて顧問料の低下も招き、会計事務所から、サービス業(または、コンサルタント業)への転換を余儀なくされています。



 しかしながら、同じスタイルの業務は、必ず頭打ちをします。言い換えれば、企業は、頭打ちするまで成長できます。

 重要なことは、頭打ちをしてから次を考えるのではなく、もっとも成長しているときに次の戦略を考える必要があります。


 私は常に具体的なビジョン・戦略は2年先を考えます。
(長期のトレンドとしては、10年で考えますが、急成長する中で、具体的な戦略にまで落とし込むのは、私の場合は2年先がもっとも適しています。)



 2006年は、今の流れの延長で成長すると思いますが、重要なのは2007年です。

 2006年と2007年との大きな違いは、2006年までは中途採用が中心でしたが、2007年から新卒中心に転換しなければなりません。

 これは、裏を返せば、我々の成長要因であった即戦力化される中途だけでは、成長の限界が来ていることを意味します。つまり、新卒中心になることによって、『普通の会社』になってしまい、競争力を失うリスクもあります。


 しかしながら、本当に伸びている優秀な会社は、新卒中心の採用をしていることも事実です。より優秀な人材が集まる企業に転換するしかありません。


 この意味において、2007年は、一般の事業会社と競争することになります。
 今までのような、会計事務所の中で優位性を持つのではなく、より大きな市場の中で戦うことになります。今までと同じ発想では勝てるはずはありません。

 2006年は、2007年を見こした構造転換を図る時期です。これは、会計事務所を脱皮し、会計系コンサルティング会社に真の転換を図る時期といます。

 



我々の価値向上戦略とは何か?

2005年12月22日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
価値向上戦略とは何か?
言い換えれば、我々のコア・コンピタンスは何か?ということだと思います。

一言で言えば、『顧客を思う気持ちの高さ』であり、理念共有度の高さです。

『何じゃ、それ?』と思われるかもしれませんが、安易なビジネスモデルを差別化要因にしないことに我々の強さがあります。

コア・コンピタンスやノウハウは、開示しても簡単にまねできないものでなければ、直ぐに競合他社に追いつかれてしまいます。


経営の基本部分である、思いや考え方の共有度を差別化要因にすれば、これは、人間の心の問題であって一朝一夕にできるものではありません。

このため、我々は、朝8時からの毎日2時間研修を延々と続けているのです。これほど、理念共有に時間投資できる会社は多くありません。

この研修こそ、人材を短期間に即戦力化している秘密なのです。


若い経営者ほど、ビジネスモデルで差別化しようとします。しかし、本質を見抜いた経営者は、そのようなビジネスモデルなど、一瞬の技術革新で陳腐化してしまうことを知っています。


経営の基本である人をコア・コンピタンスにすると、暗黙知を形式知に変えることが難しくなります。育てる側も難しくなりますが、逆に、ここで差別化を図ることができれば、競合他社の参入障壁は一段と高くなっていきます。

これが、30年以上に亘って成長できる企業の特性だと思っています。


我々の強さの秘密とは、
『あなたのために心から働きたいと思う気持ちの高さです』
と本当に思えるスタッフをどれだけ育てられるかが経営者の勝負です。



かつて、アンダーセンも
『Client First, Profit Last』
を理念として掲げていました。

このような理念は、我々の業界では、当たり前のごとくいわれることですが、いうことではなく、どこまで浸透できるかが重要なのです。



このように心をテーマにした場合、通じ合うのはベンチャー企業の経営者です。今あるブランドを選ぶ企業は、安心感を買っているに過ぎません。

発注に関する担当者の責任回避をするには、ブランドのあるコンサル会社を利用することが望ましいといえます。



我々のようにブランドをこれから構築しようとする会社は、地道な努力を続けるしかありません。

全ての巨大企業は、もともとベンチャー企業なのです。ベンチャー・スピリットを失ったときが衰退するときなのです。





会計系コンサルティング会社

2005年12月21日 | 受験生・応募者の皆様へ
 会計系コンサルティング会社とは、どんな会社なのか?



 既に税理士・会計士を勉強している人よりも、コンサルティング会社に就職しようと思っている新卒の人のほうがよく知っています。


 会計系コンサルティング会社の代名詞は、アクセンチュアであり、PwCなのです。

 私自身、PW(現PwC)の出身で、多くの同期や部下も、PWの監査部門からコンサル部門に転籍しました。私自身は会計士なので、就職する入り口は、監査部門からなのですが、3から4年経つと、監査部門にとどまる人や、コンサル部門・税務部門に部門移動する人が多くいます。

 実態としては、部門移動なのですが、コンサル部門や税務部門は別会社なので、形式的には、青山監査法人から、プライスウオーターハウス・コンサルティング(現:IBMコンサルティング)やプライスウオーターハウス税理士事務所への転籍ということになりました。


 私自身は、監査部門から、IPOコンサル部門に部門移動しました。


 さて、我々の事務所は、会計系コンサルティング会社というアイデンティティーを持っています。

 このコーポレート・アイデンティティー(CI)をどのように顧客に伝えるかが重要なポイントです。自分のCIを正しく伝えようとしても、相手によって解釈の仕方が異なってしまいます。

 ここで、多くの企業が苦労するのです。


 しかし、CIを正しく伝えるよい方法があります。

 それは、明確に競合他社を定義することです。そして、その競合他社は、誰もがそのCIを正しく知っているもである必要があります。



 つまり、我々は、会計系コンサルティング会社であり、その競合は、PwCやアクセンチュアなのです。

 しかし、最大の違いは、大企業を相手に、システムコンサルを行うのではなく、ベンチャー企業を相手に、総合的な経営コンサルを実行するところにあります。


 同じ会計系コンサル会社であっても、顧客層が異なるため、提供するサービスも異なります。
 そして、システム系コンサルのみに偏るのではなく、より経営者に近いところでコンサルを行う会社なのです。

 
 我々は、ベンチャー企業を相手に、自分自身もベンチャースピリットを持って行動できる人の育成に力を注いでいます。




仕事のヒント

2005年12月15日 | 最新ビジネス書評

仕事のヒント(フォレスト出版)は、神田昌典氏のメルマガで毎日発信されている365日語録を本として編集したものです。

私自身、神田氏のメルマガ(365日語録)を毎日読んでいます。

かなりウイットに富んでいて素晴らしいです。
私の感性には、かなりフィットするので、非常に役立っています。

 

その中で、私が感動した言葉をいくつか挙げます。

①メンターは探すものではない、現れるものである。

②あなたが提供しているものを必要とするほど、あなたを批判する。

③大義名分を持った会社ほど、業界地図を塗り替えやすい

④人間性を回復するビジネスは、普遍性を持ち永続する。。

などなど・・・

個人的には、神田氏の魅力満載といったところでしょうか・・・

 

 

 


ついにライブドアが動き出しました

2005年12月14日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
ライブドアがついに動き出しました。

傘下に『弥生会計』を持っているだけに、今後の動きが注目されます。

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1552350/detail<o:p></o:p>



スキームとしては、我々が所属する「タックス・ハウス」と同じです。

来年4月に解禁される銀行代理業に着目しています。

 

このスキームに関しては、

①TKC

②タックスハウス

③ライブドア・ファイナンシャル・パートナーズ(LFP)

との三つ巴になりそうです。


ライブドアは、基本的にはタックス・ハウスの手法のパクリですが、資金力があること、および、「弥生」のシナジーの活用で優位性を持っています。


あと、強烈な知名度も武器です。

ブランディングでは、TKCが一歩先をいっています。
機動性の部分でどこまでがんばれるか?

競合が増えることによって、市場が活性化されるため、力のある会計事務所は、これからブランドいかんにかかわらず一気に伸びる気がします。

いずれにしてもこれからが勝負時です。
私も組織を整えます。








税理士試験に合格した人・落ちた人

2005年12月12日 | 受験生・応募者の皆様へ
さて、金曜日は、税理士試験の発表美でした。

弊事務所からも多くの合格者を出しましたが、同時に全く科目合格すらできない人も多くいました。

ここで重要なのは、試験に落ちた人のマインドです。



落ちた人は、2つのタイプに分かれます。

第一は、不合格でもラッキーと思える人。ツキがあったと思える人です。
私自身は、会計士の試験に4回目で合格しました。その間、多くの友人が私よりも早く合格しました。

もちろん、合格者をうらやましく思うこともありました。しかし、試験に落ちてラッキーと思うように発想を転換したのです。

ジャンプしようと思えば、一旦、膝をまげ、かがまなければ高くジャンプすることはできません。一見、人よりも遅れると思うことも、実は、更なる跳躍のための準備期間となっているのです。

すぐに、マインドを高め来年の準備を始める人は、来年合格するチャンスがめぐってきます。


しかし、問題なのは、多くの人は、このようにはなりません。
大半の人は、落ちてラッキーと思うことができません。
・試験が難しすぎた。
・専門学校の予想が外れた。
・専門学校の先生の教え方に問題がある。
・仕事が忙しすぎた。
・合格率が低すぎる・・・などなど

このようなマインドになる人は、3月末くらいまで、モチベーションが下がってしまい、4月に入って本腰を入れようとします。

しかし、時既に遅し。。。

世の中は、自分の問題と捉えられない人に甘くはありません。


今年、合格したか否かはもう過ぎたこと。関係ないのです。
重要なのは、現在、落ち込んでいる人は、来年の試験にも合格できません。

来年の試験に合格できるか否かは、既に今、決まっているのです。




落ちたこともラッキーと思い、超プラス思考で考えてください。
あなたには、強烈なツキが巡ってきます。





税理士合格発表

2005年12月09日 | 受験生・応募者の皆様へ
今日は、税理士合格発表の日です。

私も15年前、発表の前日はドキドキして眠れませんでした。人生においてもっとも長い一日だった記憶があります。

さて、私ども久野康成公認会計士事務所は、
明日10日(土曜日)13時より、大原専門学校
  17日(土曜日)13時より、TAC
におきまして、合同就職説明会を開催いたします。

ぜひ、私どものブースにもお立ち寄りください。


なお、
来年からは、新卒採用が中心となっていきます・・・


ワイキューブの安田社長の講演会に参加しました

2005年12月08日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
人材採用コンサルティング会社のワイキューブ社長の安田氏の講演会に参加しました。

沢山の気づきがあったので紹介します。


(1)学生を採用する仕組みは、3つのステップがある
第一ステップ・・・スターター

興味を持たせることに注力する。基本は1点突破。沢山のことを言ってはいけない。

第二ステップ・・・セットアッパー

入社意欲を高めることが目的。自社の良いところを遠まわしに伝える。つまり、小出しが肝心。相手の右脳に訴える。

第三ステップ・・・クローザー

決断をさせる。理論で説得する。左脳に訴えかける。


女性は、好き嫌いで会社を選ぶ。
男性は、損得で会社を選ぶことが多い。


(2)隠れた欲求・・・男性女性とも、その会社に入れば異性にモテるか否かが重要ポイント。人に自慢できる会社でなければならない。



(3)ブランド構築は、女性をターゲットにすべき・・・男性と比較し10倍の口コミ効果がある。







(4)マーケティングには、レスポンスをあげるための広告と、イメージ(ブランド)広告を分けて考える必要がある。

レスポンス広告だけだと、胡散臭くなる。
ブランド広告だけだと、収益に結びつかない。

ブランド広告は、レスポンス広告のレスポンス率を上げるためのジャブみたいなもの。これによって、ブランド広告の費用対効果も測定することができる。




(5)採用は、恋愛のプロセスと同じ・・・もちろん、営業プロセスと恋愛プロセスが同じということは、よく言われることですが・・・より採用のほうがそれに近いことが分かりました。


この会社に入りたいと思う気持ちは、『恋に落ちる』状態と同じということですね・・






結論を急ぐ男性諸君は、採用のプロにはなれないみたいです・・・



TACニュースに載りました

2005年12月02日 | 受験生・応募者の皆様へ
タックニュースに載りました。
実は、2回目です。1回目は、私が21歳のとき。名古屋TACの受験生の紹介で載りました。今回は、会計事務所経営者です。

http://www.tac-school.co.jp/netnews/kaikeijin/kaikeijin_062.html

久野 康成氏


久野康成公認会計士事務所 所長 公認会計士・税理士


●久野 康成(くの やすなり)
●1965年7月生まれ、愛知県出身。
●1989年3月、滋賀大学経済学部経済学科卒業。1990年9月、青山監査法人入所。1991年10月、公認会計士第2次試験合格。監査部、中堅企業経営支援部門を経て、1998年6月退職。1998年7月、久野康成公認会計士事務所設立、所長就任。有限会社久野総研設立、代表取締役就任。2004年5月、財務・経理専門スタッフ派遣事業部設立。2004年10月、財務・経理専門スタッフ紹介事業部設立。2005年3月、有限会社人財開発を設立、派遣事業部と紹介事業部を統合し、2005年11月株式会社人財開発へ営業譲渡。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、社団法人東京青年会議所会計監査人代表。
●趣味 ピアノ(ラ・カンパネラが十八番)
●モットー 「365日有給休暇/今日も楽しく明日はもっと楽しく」
●事務所 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビル6階
     TEL:03-5369-2930 FAX 03-5369-2931
     URL:http://www.kuno-cpa.co.jp


会計事務所の新しいビジネスモデルで、
独立系事務所日本一を目指します。

 IT企業による異業種参入は、もはやプロ野球だけの話ではなくなっていきている。IT企業・ライブドアは会計ソフトメーカー「弥生」をM&Aにより傘下に収めただけでなく、系列の税理士法人をすでに立ち上げているのである。月次訪問し、領収書や伝票を回収し、試算表を出力するだけの会計事務所業務の時代は幕を閉じ、より専門的かつ高付加価値の業務を行わなければ、異業種とインターネットにその座を奪われてしまうという危機感が持たれている。税理士法の改正で、報酬の自由化や広告による自由競争も認められた。会計士法の改正により、会計士合格者が大増員時代を迎える今、業界は大きく変ろうとしているのだ。今回は、激変期を迎えた会計業界において、新しいビジネスモデルで会計事務所の新時代を切り開く、公認会計士の久野康成氏にスポットを当ててみた。

目指すは最高の実務家

 企業が監査に対する認識を新たにし始めている。西武鉄道の上場廃止問題では、29年間同じ個人会計士に監査を担当させていたことが問題視された。連結決算の迅速化やグループ全体の統一を図るため、監査を担当する監査法人や公認会計士を変える企業も増えている。
 東証1部2部上場の大手企業では、すでにこのような動きが顕在化している一方、国内法人の約9割を占める中小企業は、監査を受ける以前の経営改善もままならず、株式公開を目指して公開コンサルティングを依頼しても、要件を満たすことが出来ずに契約を打ち切られてしまうケースもある。
「公開コンサルティング契約している企業のうち、実際には1割しか公開にこぎつけることはできない。何とか残りの9割を公開させてあげられらないものだろうか。その残り9割のクライアントの売上を上げ、利益を出させてあげたい」
 そう考えた公認会計士が、かつて大手監査法人にいた。青山監査法人(現・中央青山監査法人)で株式公開コンサルティングを手がけていた若き日の久野康成氏である。久野氏は差別化した商品を提供することで、「残り9割」のクライアントの営業部門を改革し、利益をアップするコンサルティングをしていこうと考えた。そして、監査法人時代に自ら商品化し、営業していたのである。
「収益改善をテーマにしたサービスの提供、それがお客様の本質的なニーズに合う。しかしそれは監査法人ではできない」
 そう考えた久野氏は、青山監査法人を辞め、32歳で独立開業し、会計事務所を設立することになる。現在、独自の戦略を展開する久野氏だが、まずは公認会計士を目指した経緯から伺ってみよう。
「公認会計士を目指すきっかけとなったのは、子供の頃、父に『偉い人になれ』と言われたことです。偉い人の意味がわからなかった私に、父は例を上げて、総理大臣とか弁護士が偉い人だと教えてくれました。そこで、私の目標は総理大臣と弁護士になったのです」
 さすがに内閣総理大臣になるのは難しい。子供心にそう思った久野氏は、弁護士に進路を絞り込み、法学部を受験するも、不合格となってしまう。
「私が目指すのはやはり一流になること。政治家もしくは弁護士、あるいは学者になろうと考えたわけですが、法学部受験に失敗したことで弁護士は断念。次に20歳の時、サムエルソンの本を読み、一流の学者になるのはほんの一握りの天才であって、自分が一流の学者にはなれないと知りました。
 仕方がないので、最高の実務家をめざすことにしたのです」

PWで売上に貢献しMVPも獲得

 一流を目指す。久野氏の目線は、常に最上段に据えられていた。最高の実務家として新たな目標となったのが公認会計士。氏の目標は試験に合格することではなく、最高の実務家になること。だから、当然受験勉強も完璧を目指すものだった。
「TAC名古屋校に通っていた私は、最高の実務家は勉強もたくさんできなければいけないと思い、猛勉強をしました。全答練では全国16位でした。TACの合格体験記集にも、よくある『できそうな所や基礎を繰り返せ』ではなく、『難問・奇問も解け』と書きましたね」
 常に最高の実務家を意識し、たゆまぬ努力をしてきた久野氏ならではの合格体験談である。
 大学卒業の翌年、久野氏は、東京にある青山監査法人に研修生として入り、翌年2次試験に合格。着々と最高の実務家を目指していた。ここから独立までの約8年間を、青山監査法人で過ごすことになる。
 久野氏が就職先としてプライス ウオーターハウス(PW)系の青山監査法人を選んだのは、非常に厳しい仕事環境があると聞いたためである。最高の実務家が育つには最適な環境と考え、身を置くことにしたという。
 久野氏は、監査部で公開企業に対する証取法監査、商法監査および外資系企業に対する任意監査に係わり、辞める1年半前からは中小企業経営支援部門で株式公開コンサルティングと経営コンサルティングに係わった。1997年7月には、PWで、新たなサービス提供による売上成績によって、MVPに選ばれる快挙も成し遂げている。
 そんな好成績を挙げているにも関わらず、当時の久野氏は監査法人を辞めようと考えた。
「法人に対する不満もなかったし、最高の実務家は最高の監査法人で最高のサービスをすればいいのですから、独立志向もありませんでした。監査をするにはよい環境でしたが、顧客志向の経営コンサルタントになるには監査法人では限界がありました。
 私は自分で開発した営業部門の生産性を上げるツールを、自分で顧客開拓し、自分でコンサルティングして広めていきたかったのです。これが、組織の中ではできないと分かったので、辞めることにしました」
 自分にしかできないサービス提供のために、そして何よりも顧客満足に徹したサービスを提供するために、久野氏は組織から一歩外に踏み出す決心したのである。

経営者としての20年間の修行

 こうして1998年7月、久野氏は、久野康成公認会計士事務所とコンサルティング会社である有限会社久野総研を設立した。
 開業するにあたり、久野氏は報酬の目標をPWの役員クラスの年収5000万円に設定した。つまり、月収400万円。稼働日を20日とすれば一日20万円、午前・午後それぞれクライアントを1件ずつ訪問するとすれば、必然的に一社の顧問料は10万円となる。
「同じ報酬を稼げなければ、ただの負け犬として辞めたことになってしまう。だから、PWの役員と同じだけ稼げる人間になろうと思いました。
 顧問料は2時間で10万円。では2時間で10万円に値するサービスとは何か。サービス内容から価格設定するのではなく、価格からサービスが決まったのです」
 独立当初、まだ顧問先もない頃「今、月額で税理士2万円、社労士が1万円でやっている業務を、合わせて月2万円でやってくれないか」と頼まれたという。当時週休6日だった久野氏にとって、時間はあり余っている。しかし、久野氏は丁重にお断わりした。
「生きることだけを目標に設定してしまうと、生きることだけで精一杯になって、事務所は成長しなくなる。だから私は、その申し出を断わりました。自分の目標が根底から覆されてしまうからです」
 久野氏は自分の決めた目標から軸足を決してずらさなかった。その結果、最初に決めた年商5000万円を、自分とアルバイト2名とで、わずか2年9カ月で達成してしまったのである。
 あっという間に、創業の目標を達成してしまった久野氏は、次のステップを考え始めることにした。
「当時はコンサルティングがメインでした。自分一人でやるのならこのままでいいのですが、組織として、皆が自分と同じサービスをできるようにするには、今までと同じ手法ではだめだと考えました。
 私の創業理念は『最高の顧客に最高のサービスをする』。しかし、スタッフのレベルでは、これを貫き通せない。そこで、『より多くの顧客により良いサービスができるスタッフを育てられる事務所』に変えることにしたのです」
 コンサルタントという個人事業主から経営者への転換。ここからが事務所の第二段階だった。
「私の感じていた限界点。それは自分自身が経営者ではないということでした。顧客が経営者であるのに、自分が経営者としての成功を示さなければ、本当の意味で最高のコンサルタントにはなれません。
 そこで、これからの20年間は、私が経営者としての成功を目指す20年間にする。2007年には、会計法人の株式公開も予定している。そして60歳で経営者を引退し、そこからは、再び経営コンサルタントを専門にやっていく。つまり、60歳で原点回帰して、顧客を社長のみに限定した『社長塾』を開こうと考えたのです」
 こうして、「より多くの顧客により良いサービスのできる人を育てる事務所」という経営理念は、20年間熟成され、60歳を迎えた時点で原点回帰して、「最高の顧客に最高のサービスをする会計事務所」に戻ることにした。ここに無事着陸するために、久野氏はこれからの20年間、経営者として修行に臨むのである。
社員を全員経営者にするためのキャリアプラン
 大きな進路変更は、組織内部の人間、そして久野氏自身の立場をも変えることになる。
「今の私は会計事務所の所長というよりも、人材育成会社の社長」と話す久野氏。経理・財務専門スタッフをクライアントに派遣し、経理事務や経営コンサルティングを行う方針に切り替えた瞬間から、久野氏のスタンスは変わった。
 こうして2004年5月、財務・経理専門スタッフ派遣事業部が発足し、同年10月には財務・経理専門スタッフ紹介事業部が発足した。現在は、人材派遣・紹介事業、会計・税務事業、コンサルティング事業部門を柱とした総合経営コンサルティンググループに組織化されている。2003年末は6名だった社員総数も、2005年8月には約150名と爆発的に増えていった。
 久野氏の大英断による組織改革のビジョンは、次のようなものである。
「私が直接サービス提供するのをやめて、スタッフを先生のレベルに育てることを仕事にしました。そうしなければ、いつまでも『所長先生とスタッフたち』のままだからです。スタッフが先生と呼ばれる教育ができれば『先生たち』になる。そしてスタッフに独立開業できる実力をつけさせ、皆に事務所を持たせようと考えています。
  最初の2週間は研修受講生として独自の研修を受けていただき、税理士合格者でも最低半年間はクライアントに派遣され、その企業内部に入って改善業務を行います。その間にまだ科目合格の方は合格を目指す、試験合格者はコンサルティングのスキルを身につけていただきます。
 通常の派遣事業者と当事務所の違いは、派遣事業者が登録制であることに対し、当社は全員が正社員であるということです。派遣会社の場合、仕事がなければ派遣社員に給与はでません。しかし、当社は大量に正社員を採用し、仕事がなくても全員に給与を支払っていますので、大変なリスクテイクをしているのです。普通の会社が真似しようと思ってもなかなか正社員採用というリスクテイクはできないでしょうし、人を育成するコストがかかります。組織内に人を育てるノウハウがなければ、絶対にできないことです。教育とは、知識・技術の習得ではありません。お客様とのコミュニケーションスキルや経営者マインドを育てる心の部分の教育が最も重要なのです。
  この派遣スタイルは社員の側のメリットも多い。確定申告時期のように繁忙期のある会計事務所は、残業せざるを得ない時期が必ずあるが、派遣の場合はほぼ定時退社である。だから受験勉強の時間もきっちり確保でき、平日にスクールに通うことができる。働きながら勉強ができるスタイルが構築されていると言えるだろう。
「ですから10万人都市に一社ずつ、同様の仕組みを持った会計事務所を開業していていく計画です。ある種、フランチャイズ的ですが、根本的に違うのは本部である当社が一切のロイヤルティーをとらないことにあります。普通はフランチャイジー(契約店)からロイヤルティーを取るわけですが、当社は本体が派遣・紹介業務で十分収益が上がっているので、100%収益還元できるのです。なおかつ、人材供給・営業ツールの提供も出来る。自分で独立開業するよりも、このシステムに乗った方が遥かにいいと思いませんか。さらに、派遣モデルである本体を株式会社化し、スピン・オフさせ2007年に株式公開により資本増強させる予定でもあります」
 久野氏は、これこそ新しいフランチャイズモデルだとしている。優秀な人材ほど先を見て独立してしまうことを覆すべく、会計事務所の経営を見せ、なおかつその先のキャリアプランまでを明確にしたのである。ただし、育つかどうかは本人次第という、これまでの会計事務所とまったく違った構造を持つコンサルティンググループなのだ。独立して自分でやるよりも遥かにメリットがあり、リスクの少ないこの仕組みに、誰もが参加したくなるのではないだろうか。

人材育成の要、経営者マインド研修

 人材育成が命となる久野康成会計士事務所が、研修に心血を注いでいるのは言うまでもない。その研修も、よくある研修とはまったく違ったものになっている。
 最初の2週間の間、毎朝2時間半、経営者マインド研修を受けることになっている。これは、知識・技術の研修ではなく、リーダーシップとコミュニケーション研修である。

 しかし、我々は技術を身に付けているがために、『こうしたサービスを提供できます』とやってしまう。既存の知識・技術を身に付けただけの駆け出しの税理士が、先輩に勝てるわけがないのです。勝てるのは唯一、情熱と志だけなのです。「育ててやりたいと思われる人材」でなければ、絶対に独立できません。最初の顧客の本質は、スポンサーであることに気づくべきです。
 だからこそ、コミュニケーションスキルやリーダーシップのようなマインドが重要なのです。我々は育ててやりたいと思われるような人材育成をしているのです」
 新入社員に対する研修は、お客様にも見ていただくという。なぜなら、これが久野氏の最高の商品であり、営業ツールでもあるからだ。
「経営者は、みな人材育成に苦労しているので、この研修を見ると皆うちの事務所に心酔してしまうんです」と久野氏は語る。
 通常の会計事務所が所長のコンサルティングスキルと月次の税務会計を売っているのに対して、久野康成公認会計士事務所では、経営者マインドを持った人材を売っている。普通の会計事務所とは店の品揃えが違うのである。
「会計事務所の所長になり、税務会計を扱っていると、デューディリジェンスや資産税のように、徐々に難しい分野に業務が向かってしまいがちです。上に行けば行くほど市場は狭く、スタッフも育てにくくなるのに、税理士・会計士は職人気質で自分にしかできない高度な仕事を求めてしまう。結果として、スタッフは付いてこれません。
 私は逆に自分の位置から下に降りました。下に降りることによって、マーケットは何十倍何百倍と大きくなります。しかも技術習得は容易になり、未経験者でもできる。そこから自力ではい上がってくるスタッフがいればいいわけですよ。所長の私が上に上がってしまったら誰も付いてこられないので、自分も苦労するし、スタッフも育ちません」
 スペシャリスト志向の会計人が、こうした柔軟な発想で物を考えるのは、難しいのかもしれない。組織でいくか、一人でやるかの岐路に立ったとき、組織を選び、「事業主」から「経営者」への転換を図った久野氏の決断に、もはや脱帽である。
経営者マインドのある人間を育成
 久野氏は、社員に理念を理解してもらうために、100ページ以上あるレジュメを作成した。そこには事務所の経営理念が凝縮されている。これを入所前に読ませて感想文を書かせるのも、久野流の人材育成法。このレジュメが研修の最初のテキストになる。
「朝の2時間半の研修タイムが最も重要な時間。この時間帯は、業務上も貴重な時間帯なのです。それでも研修をすることによってマインドが高くなるので、生産性が大変アップする。会計事務所で良く聞く話は、研修する時間がないということ。逆なんです。研修しないから一杯一杯になっているのです。先に投資しなければ、人は育ちません。
 逆転の発想をする、ここの壁が高い。私はこの壁を乗り超えたからこそ事務所が伸びたのです。社員の意識を変革し、経営者マインドに変えるというのが、当社のコア・コンピタンスです。派遣というビジネス・モデルに特性があるわけではないのです。教育・研修するため全てのスタッフを正社員採用しています。リスクが高いので誰でも出来る手法とは思いません。当社も右肩下がりになれば、すぐに倒産のリスクを負っています。リスクテイクできるのは、人を育てられる自信があるからです」
 以前は久野氏自ら、クライアント向けに社員教育・研修コンサルティングを行っていた。このような外部での講師をすべて辞め、事務所内だけで研修を行う方向に切り替えたのである。社員数が6名から一気に増えたのも、この毎朝の研修を始めてから。自社の社員に研修することで顧問数も爆発的に増えた。結果は増収増益という形になって返ってきたのである。
 増収増益のからくりは人材育成だけではない。「税務顧問料はゼロ、決算料のみ」を実現しているのも、久野氏の事務所の特徴だ。
「当社は、月次税務顧問料ゼロの会計事務所。顧問料はすべて月次の財務コンサルティング・フィーに含まれています。今、税務自体がどんどん値崩れしてきています。そうした流れであれば、どこよりも早くゼロにするのが信条。税務顧問料をゼロにした時、お客様が本当に求めるものは何かを考えました。要は、税務顧問料もすべて含めて明確なサービスにお金を払っていただくのです。必要とされるサービスを行い、結果として、顧客単価は維持されます」
 迅速な決断と割り切りの早さではどこにも引けを取らない久野氏である。だからこそ、こうした斬新なことが次々と実現するのだろう。
 久野氏自身の仕事について伺うと、次のような答えが返ってきた。
「基本的に私の仕事は、朝の2時間半の研修でおしまい。後は部屋にこもって今後の戦略やアイデアを練ったりします。言ってみれば365日有給休暇のようなもの。仕事こそ最高の道楽。これこそ最高の人生ですね。
 身体を使いラインに入って働くのは事業主や部長職。それを経営者とは呼びません。人を育てたら自分で体を動かす必要はないんです。10名のスタッフを育てれば、自分の一日は240時間増えるのです。一日が24時間しかなくて足りないと言っている経営者は、人を育てることを知らないのです。
 そうした意識転換ができている公認会計士は少ないですね。会計士はどうしても自分で何か難しい仕事をやりたがってしまいますが、私は違います。経営者なのです。ここが大きく意識転換した部分ですね」
 スタッフが成長し、パートナーとなる人材ができたら、税理士法人の設立も計画されている。株式会社人財開発の株式公開、独立系会計事務所日本一、10万人都市への出店計画……と、今後の展開が目白押しである。
 人材育成に注力しているだけに、受験生にも興味深いアドバイスをしてくれた。
「資格を取れば何とかなる時代は遥か昔に終わり、資格を取ってもどうにもならない時代になっています。それにはパソコンや会計ソフトの価格下落や異業種の参入、広告の自由化や低価格化がありますし、公認会計士制度の改定によって、今後試験合格者が大量に輩出される時代に突入する業界の環境の激変もあるでしょう。
 こうした環境の変化の中で、まず皆さんは合格を目的にしてはいけません。その先どのような仕事をしていくのか、どのようなプロフェッションになるのかをイメージしていかなければ、まったく使い物にならなくなってしまいます。それに、合格だけを目標にすると目標設定が低過ぎて結果として受からないものです。常に最高の実務家になる覚悟で勉強してほしい。それぐらいのことをしないと、受かった後、専門家としての方向性が定まらないのです。
 そして、プロとして自分はどのような仕事をするかが重要です。ここでのポイントは、『自分が何をしたいのか』ではなく、『世の中が何を求めているのか』をものさしにして考えられるか否か。自分が何をしたいかはアマチュアの思考です。お客様がしてほしいことを先回りするのが本当のプロフェッショナル・マインドで、心からお客様を成功させたいと思う顧客志向の人間がプロフェッションなのです」
 人に役立つためと思えば、中途半端な気持ちで勉強することは許されない。しかし、それができる人なら、受かった後も優秀な人材として周囲に認めらる。読者も、人のため、社会のために勉強に臨んでみてはいかがだろうか。