久野康成公認会計士事務所/株式会社東京コンサルティングファーム(TCF)の 【国際化支援ブログ】

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誰にとっての事業承継なのか?

2007年07月20日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)

 M&Aを利用し、企業を売却しようとする場合、経営者にはさまざまな思いが出てきます。

 まず、第一は、より高く売却したいと思う『欲』です。しかし、これは決して悪いものではありません。
人間は誰しもそのように思うものです。

 ポイントは、悪いものを高く売ろうと努力することではありません。良いものは、それなりの評価がなされるのです。

 われわれの努力の方向性は、あくまでも良い企業を創ることでなければ、本質から外れてしまい、企業売却も成功しなくなります。

 

 第二は、従業員への思いです。多くの経営者は、企業評価額以上に雇用維持を強く願っています。やはり、共に働いた社員が心配なのです。


 しかし、ここで改めて考えなくてはならないのは、『誰にとっての事業承継』なのかということです。




 企業にとって最も重要な存在は、従業員ではなく『顧客』なのです。

 顧客があって始めて事業は成り立ち、社会的存在意義が生まれるのです。



 事業承継の方法は、さまざまあります。

 しかし、顧客が事業承継に関して何を思うのかが重要です。

 顧客の観点とは、事業承継によって、企業が提供するサービスがより良くなることです。

 子供だからといって、経営手腕の乏しい人に承継すれば、最初に損害を被るのは顧客なのです。そして、顧客が離れていくことによって、従業員や株主が次に損害を被ります。

 投資ファンドに売却しても、より効率的な経営が顧客の観点でなされれば、顧客に提供される製品・サービスの価格もより安くなるかもしれません。


 どのような事業承継方法が良いかは、顧客の観点からもう一度問い直す必要があります。