脳外科や心臓外科の世界では、ゴッド・ハンドとよばれる名医がいます。
そのような名医は、予約が1年待ちだったりします。
自分の技術を弟子に残すためには、自分の代わりに弟子に執刀させなければなりません。
そのときの患者の生存率は、名医が執刀するよりも確実に下がります。
目の前の患者の生存率にこだわれば、結果として、予約待ちの多くの患者が、手術を待たずして死んでしまいます。
これは、目の前の患者の「死」を選ぶか、予約待ちの患者の「死」を選ぶかの選択です。
しかし、多くの人は、「死」ではなく、「生」を選びます。
結果として、目の前の患者の「生」を選ぶのです。
その結果、自分の技術の伝承が弱くなります。
そして、より多くの優秀な弟子を残すことができず、多くの患者を救うことができないのです。
人間は、より安易な選択をします。
大義のための選択ができるかが、人を残せる人になれるかということでしょう。