夏野菜は、ゴーヤーとモロヘイヤをのぞいてピークを過ぎた。夏野菜に見切りをつけて、すでに秋冬野菜の準備に入っている。
そこで、間もなく終わる夏野菜を総動員してカレーをつくることにした。若いころはよくつくった。参考にしたのが「檀流クッキング」。いまから35~40年ぐらい前になるか。「檀流クッキング」(檀一雄著・中公文庫)なる本をいま持ち出すなんて、わたくしの年がわかるというもの。カレーばかりでなくこの本に載っているほかの料理もつくった。うまそうだからつくってみようとその気にさせる本だ。いま本棚をさがしてみると見当たらない。
そのカレーは、タマネギを薄切りにして、飴色になるまで炒めてから作るもの。手間がかかり、調味料もなにかと加える。若いころだからこだわってつくったのだろう。それからもカレーは作ったことはあるものの、それだってほんの数回だからつくってないのも同然だ。何十年ぶりにつくるカレーだが、不思議と昔のそのレシピを忘れないでいる。
材料を冷蔵庫の野菜室から取り出す。豚バラ、ジャガイモ、タマネギ、ナス、ピーマン、ニンジン、シシトウ、オクラ。タマネギは昔と同じで飴色になるまで炒める。あとは適当だ。仕上げに醤油やジャムやウスタースースまで入れる。
カレーに失敗はないのでは。カレーを入れることでなんとか食べられるのがカレーの持ち味である。惜しげもなく野菜をこれでもかと入れた。鍋いっぱいに作ってしまった。どうしようの状態である。
お盆を過ぎると毎年のことだが、これで夏野菜とは長いお別れといった感じになる。