今日の一言(10月5日) 美人の日本語(山下景子著 幻冬舎)より
釣瓶落し
釣瓶を手繰り寄せて
釣瓶とは、井戸の水を汲み上げる時に使う桶のこと。井戸の上の部分に滑車をつけて、縄を結んで使っていました。
その釣瓶を落とすと、ストンと下まで落ちていく。その速さを、秋の日暮れのはやさになぞらえるようになりました。
実際に井戸に釣瓶を落としたことのある人は、今ではそう多くはないと思いますが、あっという間に釣瓶が落ちていく感覚、わかる気がしませんか。
まだ明るいと思っていたら、もう真っ暗・・・・・。誰でも、そう感じたことはあることでしょう。
時間に追い越されてしまったような、あわただしさを感じる時、でも、途方に暮れることはないのです。こんどは、釣瓶の縄をゆっくり手繰りよせるようにして、秋の夜長を味わえるのですから。